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シリーズ「建築業界の裏側」その2

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前回お話しの続きになります。本題に入る前に「建築基準法の建築確認」についてお話しします。

 

~皆さんもご存じの通り、日本で建物を建築するには、建築確認の許可が必要です。許可を受けた建物しか建築できないのに、欠陥住宅の話題が絶えないのに不思議さを覚えませんか?何故か?・・・「答えは、建築確認の基準が低く設定されている事」すると、次には「何故、建築確認の基準が低いのか?」それは、こんな事情があります。

 

a.日本の1年間の建築着工戸数が約80万戸だとしますとその内訳は、大手ハウスメーカーが約30%弱中小工務店・大工等が約70%弱を建築しています。ご存じでしたか?

 

ハウスメーカーなどの手になる工事は、全体の3割にも満たない数字なんです。すると、中小工務店などが全体の7割方を建築しているわけです。日本の建築は、未だ中小工務店などが支えている訳です。

 

中小工務店や大工さんは、基本的に大規模な設備投資や、研究施設は持つことが出来ません。対して大手ハウスメーカー側はその辺りが武器ですので、幾らでも出来ます。もし、大手ハウスメーカー依りの高い基準の建築確認を作ったとした
らどうなるか?

 

~結果は明らかですが、中小工務店などは「基準の高さ」に対応しきれず大幅に建築戸数を落として、倒産・廃業などが増えてしまう。他方、大手ハウスメーカーでも急激な着工戸数には対応できないで結局、全体の住宅着工戸数を大幅に減らしてしまうことになるでしょう。更に、倒産・廃業の影響で世の中に大変な影響を及ぼすでしょう。

 

~もう一つ考えて頂きたいのは、建築業界は現在の日本の基幹産業になっているという事です。住宅着工戸数80万戸が40万戸になってしまったら、間違いなく大不況・不景気…..。という事が簡単に予測されます。高い厳しい基準が設けられない理由です。

 

※ですので、建築確認の基準はそのままに、選択基準として「長期優良住宅」や「高耐久住宅」などが作られています。以上が、建築確認のお話しです。本題に戻ります。結局、消費者の知らない闇があるという事です。確かに、専門知識の無い消費者が何から何まで選ぶ事は不可能と思いますが、業者なりの選択が「正しく行われているか」がとても重要になってきます。

 

■なんで、こんな事が起きるの?

 

~やはり、建築業界の合理化や再編、徒弟制度の崩壊が原因と思われます。簡単に内容を説明すれば、

 

①大手建築会社や大手住宅設備会社の製品開発力の向上や価格競争の激化により、大工・職人の立場がおとしめられてしまった。

 

~正常な商業活動としては、「良い物を作って安く売る」何の不思議もない状況ですが、中身や基準が統一されていない場合、どうなんでしょうか?

 

例えば、自動車の場合、材料などをわかっている消費者はいません。但し、人命がかかっている為に「安全基準が厳しい」です。それに対して、建物は通常の使用で命の危険はありません。ので、基準などは当然緩くなりますね。その上、職人さんの技術は無視されて商品ばかりが脚光を浴びる結果となり、商品を高い技術で紡ぎあげて、初めて商品の良さも出るはずなのに、手間賃仕事にされてしまった。

 

②手間賃仕事の低い収入では「徒弟制度」は維持できません。優秀な技術者も育ちません。いい加減な職人さんが増える温床に!

 

~もはや、プロとしての「モチベーションや誇り」の持てる環境では無くなりつつあります。 本当の技術者が減って行けば、建築業界自体の危機でもあるはずなのに、飽くなき価格競争だけを続けています。建物は石・木・鉄・紙・コンクリート・ガラス・ゴム・プラスチックなどや電気製品・住宅設備・電気配線・水道配管などアリトアラユル製品や素材を人の手で組み立てなければ完成しません。

 

「高い技術や経験」無くして出来るものではありませんし、企業の収益に縛られている様な職人では、良識や常識も期待できそうにありません。

 

③マトモナ職人さんほど、そんな仕事に愛想を尽かしていなくなります。残るのは、まともではない方々のみ…。

 

~実際に、自分の会社の収益の為に「職人叩き」を行う企業が沢山あります。当然、マトモナ職人さんから手を引いてしまいます。安い賃金で働く方の中には、材料を落としたり間引きしたり…。「親が親なら子も子」状態です。建築業界にとって、何一ついい事はありません。

 

※ただ、こんな状況の中でマトモナ考え方で仕事をしている会社も徐々に増えてきています。

 

その会社には共通する点があります。
「会社としてのセールスポイントをハッキリ押し出している事」
「過度の値引きや相見積の激戦には参加しない事」

 

例えば、100万円の工事に対して50万円の値引きを要求されたとします。極端な話、出来ない事はありません。最初から、50万円分の工事に(内緒で)組み替えればいいわけです。

 

~例 塗装工事の場合なら、塗料を半分にすれば出来ますよね。ただ、性能も効果も価値も半分以下ですが…。消費者は、そこを見抜く知恵をつけないと、大変な事になります。この例、マトモナ業者は乗りません。すると、悪い業者を見抜く知恵が必要です。

 

その話を、次回にしたいと思います。

 

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