募集図面と賃貸情報誌はこうして活用する
尾嶋健信
2016/01/04
ここではマイソクと情報誌を使った入居者募集の告知について説明していきます。情報誌とは、賃貸物件がたくさん掲載されている雑誌のことですが、マイソクという言葉は聞きなじみがないかもしれません。マイソクとは、不動産用語のひとつで「業界間で流通する募集図面」のことを意味しています。
マイソクという言葉は、もともと不動産業者間に情報を流通させている会社であるマイソクが配布していた募集図面のことでしたが、その後同様の会社であるアットホームが作成した募集図面もマイソクと呼ぶようになったことから、募集図面全般をマイソクと呼ぶようになりました。
このマイソクに関しては、カラーとモノクロ(FAX用)の2種類を用意しましょう。自分でつくる場合には、インターネットの検索サイトで「不動産チラシ+テンプレート」「間取り+フリーソフト」などと検索すると、募集図面の作成ソフトが見つかりますのでそのソフトを使用するのがおすすめです。
マイソクは、不動産仲介会社への情報源でもあり、入居希望者への情報源でもあります。現状、業者向けに作成されたマイソクが入居希望者への提案資料としても使用されていますが、仲介会社ではこのマイソクをベースにしオリジナルの募集図面を作成しているところもあります。
大家さんにとって、マイソクは入居希望者向けというイメージがあるようですが、仲介会社の営業マンにとっての資料にもなっていることを覚えておきましょう。
インターネット全盛時代でも効果のある情報誌
代表的な賃貸情報誌であるリクルート発行の「スーモ」の部数が減少し、インターネットで最新の情報を検索できるなど、情報誌は「あまり効果が期待できない」と考えている大家さんもいます。
しかし、インターネットが苦手な世代、高齢者や主婦層に効果的なのが情報誌なのです。また、この情報誌はエリアによっては大きな効果を上げています。情報誌には、全国区の大手不動産賃貸会社が制作している専門誌もあれば、各地域の不動産会社がオリジナルで制作しているものもあります。
情報誌は家に持ち帰って読むのが普通です。インターネットですと、情報量が多く入れ替わりも激しいことから、膨大の情報の中にあなたの賃貸物件が埋もれてしまう可能性があります。ところが、情報誌は入居希望者が捨てない限りずっと手元にあるものなので、ある日何気なく眺めていた時に「こんな物件に住んでみたい」と思ってもらえるかもしれません。
管理会社が費用を負担してくれるケースも
情報誌は、使い方・エリアによって大きな効果を得られる媒体です。あなたの賃貸物件があるエリアでどのような反応があるのかは、不動産管理会社の担当者に「入居希望者が何を見て来店しているのか」をヒアリングすればわかります。その上で「情報誌は効果あり」と判断したら、管理会社に掲載可能な情報誌や締切日などを確認し、募集条件を考えていきます。
また情報誌への掲載は広告費がかかりますが、まずは管理会社に相談してみましょう。実は、大家さんから「情報誌に掲載してください」というリクエストをする場合はそうそうないので、リクエストを出せば、管理会社が費用を負担してくれる可能性は高いと思います。もちろん、何でも費用を負担してくれるかといえばそうではありませんが、1件くらいであれば対応してくれる確率は高いのではないでしょうか。
管理会社がどのように情報誌へ掲載する物件を決めているかというと、実は、きわめて漠然と決めているきらいがあるのです。もちろん、新築・築浅物件のような目玉商品は必ず掲載されますが、そのほかの物件に関しては「単身者向け」「ファミリー向け」「エリア別」など、掲載のバランスを考えて選んでいるだけの場合が多いようです。
そのため、大家さんからお願いすれば、掲載物件を差し替えてもらえる確率は高いですし、実際に私がコンサルティングした案件で、差し替えになった例もいくつもあります。情報誌を活用したいという大家さんは、管理会社の担当者と密に連絡を取り合いましょう。
この記事を書いた人
満室経営株式会社 代表取締役
1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。