入居希望者を引き寄せる室内写真の撮り方
尾嶋健信
2016/01/04
写真の枚数は多ければ多いほどよい
賃貸物件を宣伝する際に重要な要素のひとつが、「いかに魅力的な写真を見せるか」です。入居希望者はまずポータルサイトなどで物件の写真を見て判断します。そのときに物件の魅力を十分に伝えられる写真があるかどうかが大きな意味を持つのです。
写真には、「イメージを伝える写真」「内見者用写真」「記録写真」という主に3つの種類があり、それぞれ用途が違います。
「イメージを伝える写真」は、分譲マンションの広告などで多く見られるCGビジュアルを合成したり、近隣のロケーションを伝えたりする写真です。一方、実際の室内を撮影したのが「内見者用写真」で、室内の修理・修繕部分や設備を撮影したのが「記録写真」です。
どの写真も、枚数が多ければ多いほどよいのですが、構図がほとんど決まっているので、「センスが必要」と思われがちですがそんなにむずしくはありません。しかも、これからお話しするポイントを押さえれば、ほかの物件と差別化を図るために、写真が大いに役立ってくれるはずです。
ほかの物件と差別化できる「広角レンズ」の使い方
賃貸物件の募集で差別化を図るには、「一眼レフカメラで広角レンズを使用する」ことに尽きると思います。
通常、賃貸物件のポータルサイトや不動産会社のホームページに掲載されている写真は、標準レンズのデジタルカメラで撮影されているものがほとんどです。ですので、バス・トイレが同室の物件では、全部を納めきれずに凡庸な写真になってしまう可能性が高いのです。
そこでおすすめするのが広角レンズです。これを使うと、14平方メートルくらいの間取りの部屋でも全体を写すことができるため、かなりの差別化になります。とはいえ、管理会社の担当者がそこまで対応していないことが多いので、大家さん自身が一眼レフカメラで写真撮影をすることをおすすめします。自分で撮った写真を管理会社や仲介会社に提供すればいいのです。
押さえるべき写真と撮り方のコツ
それでは、どのような写真を撮影すればいいのかを紹介しましょう。
1.商店街・コンビニ・スーパー・病院など
室内写真だけではなく、生活していくのに必要な場所も撮影しておきます。入居者にとって、あると便利な施設を撮りましょう。
2.外観・共用部分全般
外観写真は、ベランダ側・エントランス側などできる限り多く押さえておきましょう。物件が幹線道路に面している場合は道路の反対側から、近くに高いビルがあれば上からも撮影しましょう。
共用部分は、当然のことですが、メールボックスから新聞・ちらしが出ていたらそれらをきれいにしてから撮影します。廊下にも物がある場合はすべて取り除いて、自転車置き場も整理してから撮影するようにしましょう。雑然とした写真を掲載してしまったら、入居者を呼び寄せるどころか逆効果です。
3.室内写真
基本は自然光で撮影しますが、室内にある照明はすべて点けましょう。照明と自然光の両方を取り込むことで、明るく美しい写真に仕上がります。
部屋全体が画面内にきちんと収まるように、広角で奥行きのある写真を撮ります。広角写真の撮影のポイントは、しゃがんで下の角度から上に向けて撮ることです。そうすれば室内を広く見せる効果があります。ベランダ側の両端・玄関側の両端など4点を対角線上に押さえることが大事です。
また、入居希望者からの質問を想定し、コンセントの位置がわかる写真やエアコンのメーカー・型番など設備の詳細がわかる「記録写真」もたくさん撮っておきましょう。入居希望者のなかには、水回りの環境や清潔感を気にする人が少なくありません。そのため、水回りの状況がきちんと見える写真も忘れずに撮っておきましょう。
不動産会社に写真素材を提供するときの注意
管理会社や仲介会社に写真を提供するときは、画素数を小さくして渡します。不動産ポータルサイトの最大手「Yahoo! 不動産」では280×280ピクセルを指定サイズにしているので、これを目安にしましょう。担当者に画素数の大きいまま渡してしまうと、その担当者がリサイズをするなど手間を増やしてしまうので、必ずサイズを小さくしてから渡します。
また、最近では「Youtube」などの動画投稿サイトも手軽に利用できる時代ですので、自分で撮影した動画や写真を多くの人に見てもらえる機会が増えました。
動画作成サイトや、一眼レフカメラの動画機能などを使って動画をつくってみましょう。手ぶれがあったり、うまく編集ができていなかったりしても、入居希望者にとって動画は参考になりますので、やってマイナスになることはありません。ぜひ挑戦してみてください。
この記事を書いた人
満室経営株式会社 代表取締役
1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。