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失敗しない不動産投資の始め方(2)

不動産投資の初心者は「やることリスト」が少ない物件を選びなさい

尾嶋健信尾嶋健信

2016/06/15

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「やることリスト」の少ない物件を選ぶ

私はこれまで、「これから不動産投資を始めたいんですけど…」という、数多くの不動産投資ビギナーの方とお会いしてきました。それらの方に共通しているのは、「不動産投資の始め方」について、皆さんそれなりにお勉強していること。ところが、「不動産投資の続け方」=「賃貸経営のノウハウ」については、きちんと考えていない人が大半なのです。

不動産投資は、不動産を購入して終わり、ではありません。むしろ、不動産の購入からすべてが始まり、購入した不動産をその後どのように活用していくのか、そのマネジメントこそが重要になります。つまり、購入した不動産を使った賃貸経営ビジネスを起業するという意識をもたなければなりません。

不動産投資ビギナーにとって、実はこの「賃貸経営ビジネス」こそが大きなハードルになっています。

地元不動産管理会社とのリレーションや、入居者や近隣住民とのコミュニケーション、リフォーム・補修計画の立案と予算管理や施工業者との打ち合わせ、空室が出た場合の宣伝広告…などなど。オーナー(大家さん)としてやりべきことは山ほどあります。ときには、入居者同士、あるいは入居者と近隣住民との間で、何らかのトラブルが発生することも。

こうしたすべての案件に、最初からきちんと対応することは、サラリーマンなどほかにお仕事をもっている人には、ほとんど不可能でしょう。

そこで、私が考える「初心者でも失敗しにくい不動産投資の始め方」は、まずに、オーナーとしての「やることリスト」の少ない物件を選ぶことです。

初心者は新築マンションが狙い目

たとえば、ここに東京都港区に暮らす外資系証券会社勤務のAさんにとって、「やることリスト」の少ないのは、どちらの物件だと思いますか? ちなみに購入資金は、銀行から4パーセントの不動産ローンで用意できるとします。

(1)東京都八王子市にある築25年の2階建て、全16室の中古ワンルームマンション。価格は4500万円で、表面利回りは15パーセント

(2)東京都品川区にある新築の3階建て、全15室の新築ワンルームマンション。価格は7000万円で、表面利回りは8パーセント

答えは(2)です。その理由はシンプルで、(2)が新築マンションだからです。

賃貸マンションを経営する場合、築年数が古くなれば古くなるほど、何らかの手当てが必要になります。(1)のマンションは築25年ですから、配管などもかなり老朽化しているはず。購入した時点で漏水などが発生していないとしても、近い将来、トラブルが発生するおそれは十分にあります。

そのため、費用の捻出や施工業者の選定を含め、補修対策を真剣に検討しておかなければなりません。空室が出た場合は、大規模なリフォームも必要になるでしょう。それらを含め、築年数の古い物件の大家さんは、いろいろやることが多くなるのです。

一方、(2)の新築マンションであれば、補修やリフォームについては、当面の間、心配しなくてすみます。最初は全室の入居者を募集する手間はありますが、そのあたりは、地元の不動産管理会社に一括して任せることができます。不動産管理会社にしても、新築のほうが入居者を一括募集できるため、仕事はやりやすいようです。

初心者向けの物件価格とは?

ちなみに、不動産物件の価格は、「初心者におすすめかどうか」にあまり関係ありません。ここで例にあげた(1)と(2)の物件にしても、(1)のほうが価格が安いから初心者向き、とはいえないのです。むしろ、年収700万円以上という“属性の良い人”であれば、新築RCマンションである(2)のほうが、銀行から融資を受けやすいため、初心者でも買いやすいといえます。

なお、(1)と(2)のイールドギャップ(表面利回り−不動産ローン金利)を比べると、(1)が11パーセント、(2)が4パーセントで、(1)のほうが利幅は圧倒的に大きいですね。投資物件として「おいしい」のは、明らかに(1)の物件。とはいえ、たとえ利幅が薄くても、やることリストの少ない(2)のほうが、不動産投資初心者にはおすすめです。

法人化しないほうが融資は受けやすい!?

最後に、不動産投資を始めるにあたって、法人化を考えている人に一言。あなたがもし、一部上場企業のビジネスマンあるいは公務員で、年収700万円以上あるのであれば、法人としてではなく、個人として不動産を買うことをおすすめします。

あなたの属性はきわめてよいのですから(私は「属性財産」と呼んでいます)、その属性のよさを利用しない手はありません。わざわざ法人化して銀行から融資を受けるよりも、個人のままのほうがローン審査は下りやすいと思われるからです。

次回は、比較的年収の少ない初心者におすすめの物件をご紹介しましょう。

 

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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