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信じられないほど○○が速いんです!

ご存知ですか? 不動産投資の世界で人気No.1銀行の秘密

尾嶋健信尾嶋健信

2016/06/01

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最大の魅力はローン審査の「スピード」

不動産投資の世界で、不動産業者に最も人気のあるのはどの銀行なのか、ご存知でしょうか?

もしかすると、私の身の回りに限っての話なのかもしれませんが、不動産業者に人気があるのは、日本三大メガバンクであるMTU銀行でも、M銀行でも、MS銀行でもありません。実は、地方銀行のS銀行なんです。

では、S銀行はなぜ、不動産投資物件を扱う不動産業者に人気があるのでしょうか。

理由のひとつは、不動産業者の顧客が物件購入のために銀行に融資をお願いする場合、ローン審査を経て融資の決済が下りるまで、信じられないくらいスピーディーだからです。

たとえば、信用金庫だったら決済まで1カ月はかかりそうな2億円クラスの案件でも、S銀行であれば、通常は1週間で決済が下ります。

実際、私は最短で、ローン申請の翌日に決済が下りた例も知っています。もっとも、そのときはちょうど年度末というタイミングで、融資を受けるのが国家公務員という、ピカピカの属性を持つ人であり、S銀行の支店長も仲介した不動産業者もすごくやり手だったと、即決する条件が揃っていたのですが。

ローン審査が緩やかなのも魅力

S銀行が不動産業者に支持されるふたつめの理由は、ローン審査の基準が比較的緩やかなことです。私の印象では、個人の不動産投資家でも、年収700万円以上の属性の良いサラリーマンであれば、上限2億円までなら、意外と簡単にローン審査は通ります。

ただし、そのかわり、他銀行のアパートローン(不動産投資ローン)に比べて、S銀行の金利は割高になります。他銀行が2.5〜3.5パーセント程度なのに対して、S銀行は基本的に金利4.5パーセントですから。

それでも、「審査が速くて、融資も下りやすい」S銀行は、不動産投資物件を扱う不動産業者にはもちろん、これから投資物件を買おうとしている不動産投資家にも、S銀行はきわめて魅力的に見えます。

現在の不動産投資市場では、スピードが命。個人投資家が続々市場 に参入しているいま、高利回りが期待できる優良物件は早い者勝ちでたちまち売れていきます。市場のムードは、「優良物件を見つけたら即、買い!」。だからこそ、不動産購入資金をすぐに用立ててくれるS銀行が人気を集めている、というわけです。

全額融資を受けるのは本当にラッキーか?

つい先日も、次のようなケースに遭遇しました。

大手通信会社に勤務する独身のAさんは、そこそこ貯金もたまったので、それを元手に副業で不動産投資ビジネスを始めようと、あるセミナーに通い始めました。すると、セミナー講師の紹介で知り合った不動産業者から、「ここだけの話ですが」と、耳寄りな話を持ちかけられたのです。

「実は、私の得意先のひとりが、所有する賃貸マンションを手放しがっているんですけど…」。話がちょっと入り組んでいますが、ご説明しましょう。

東京近県にBさんという、遊戯店経営者がいます。その人は副業でこっそりマンション経営もしていて、そちらのほうでも儲かっているそうです。そのBさんはいま、離婚の準備を進めていますが、妻に賃貸マンションの存在を知られると、財産分与とかいろいろ面倒なことになるので、マンションは早急に売り払って現金化したいんだとか。売値は、相場より多少安くても構わないといいます。

マンションの販売価格は8000万円。1室8万円のワンルームが全10室で、年間960万円の家賃収入が見込めます。しかも、現在満室。表面利回りが年12パーセントにもなる優良物件です。

その話を聞いた投資家Aさんは、ぜひ買いたいと思いました。幸い、手元には800万円近い自己資金もあります。

そこで、話を持ってきてくれた不動産業者に購入する意志を伝えると、融資してくれる先はもう想定済みだとか。そう、S銀行です。そして実際、アパートローンを申請してみると、上限9000万円まで融資してくれることがわかりました。

不動産業者は言います。「Aさん、ラッキーでしたね。銀行は借り入れ期間30年で、9000万円まで融資してくれるそうです。諸費用分の600万円もローンでまかなえますから、手持ちの資金を一銭も使わずにすみますよ」。

こうしてAさんは、諸費用分まで含めた販売価格8600万円を全額アパートローンで購入することができました。

本当に得したのは誰なのか?

一見、Aさんは得したように見えますが、そうではありません。ローン金利は4.5パーセントですから、結局Aさんは30年の総額で元利合計1億6000万円近く払わなければならなくなります。もし、諸費用600万円を自己資金でまかなっていれば、借入金額は8000万円で済み、支払い総額も1億5000万円弱に。つまりAさんは、400万円も余分に支払うことになります。

逆に得をしたのは、売り主と買い主の双方から仲介手数料(約520万円)を手にした不動産業者。そして、8600万円の融資実績を上げたS銀行の融資担当者。損をしたのはAさんだけです。

それでも今回のケースでは、購入した物件が優良だったため、まだ救われました。毎月約44万円のローンを返済しても、Aさんの手元には30万円以上のキャッシュが残るのですから。管理費や修繕費もしっかり積立ながら、健全なマンション経営にいそしんでいってほしいと思います。

 

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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