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「100万円からの空き家投資術」 高橋洋子さんに聞く(2)

全国で820万戸! 空き家投資で成功する極意とは?

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空き家投資にもリスクはある!


100万円からの空き家投資術(WAVE出版 定価1400円+税)

——空き家投資のリスクにはどんなものがありますか?

どんな投資にもリスクがつきもので、空き家投資にも「三大リスク」があります。三大リスクとは、(1)空室リスク、(2)建物リスク、(3)人的リスクです。

空き家投資で最も怖いのは、お金をかけて手直ししても入居者が見つからないこと。実は、820万戸の空き家のうち、半数以上が「賃貸住宅」なのです。ということは、空き家投資を始めても2軒に1軒は入居者が見つからないということです。しかも、これから日本の人口はどんどん減っていきます。需要のあるエリアをいかに見きわめるかが大切です。

また、建物リスクについていえば、空き家の多くは老朽化が目立つ建物です。当然、修繕費用がかかります。空き家を見るに当たって大切なポイントのひとつが、1981年以前の「旧耐震」か、1981年以降の「新耐震」かということです。

投資という観点からいえば、耐震補強にまとまったお金をかけてしまうと、利益が出にくくなってしまいます。しかし、耐震補強をせずに貸し出して、災害時に住む人の命にもしものことがあったら取り返しがつかないことになります。もちろん、新耐震の家であれば、必要最低限のリフォームで貸し出すことができます。

人的リスクについては、まず、空き家投資はお金を投じるだけでなく、大家として経営をしていかなければならないということがあげられます。また、入居者のなかには家賃を滞納したり、トラブルを起こしたりする人もいます。さらには、高齢者の孤独死や自殺、殺人があれば事故物件として入居者を見つけるのがむずかしくなってしまうことも考えられます。

現在、空き家投資で成功している大家さんたちも、実際に話を聞いてみるとたくさんの失敗をした末に成功した人たちがほとんどです。失敗談はあまり語られることがないので、空き家さえ手に入れればすぐに儲かるように錯覚してしまう人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。

物件とエリアをどう見きわめるか

——空き家投資で成功している人の共通点はありますか?

「とにかく安く手に入れる」ということがいえます。空き家のなかでも激安物件を現金で買えば、ローンを背負わずにすみます。私が取材した大家さんのなかには、「土地値以下の物件」しか購入しないという人もいます。なぜなら、失敗しても土地値では売れるからです。

先ほどお話しした建物リスクに備えるためにも、とにかく掘り出し物を見つけることです。売りに出しても買い手がなかなかつかないような空き家は、こちらが購入するタイミングや交渉しだいでぐっと安く手に入る可能性があります。

とはいえ、実際に掘り出し物を見つけるのは簡単ではありません。成功している投資家さんのなかには、まるでデイトレーダーのように常にスマホで物件をチェックしているような人もいます。空き家投資のレジェンドといわれる加藤ひろゆきさんは、最初の1軒を買うために1000軒の図面を取り寄せ、80軒の内見をして、4軒に買い付けをいれても買えず、5軒目でようやく購入したそうです。

——需要のあるエリアはどうやって見きわめればいいのでしょう?

ひとつは、生まれ育った場所など、土地勘のあるところで始めることです。自分の地元であれば、人気や需要のあるエリアが肌感覚でわかります。もうひとつは、その土地の不動産業者に聞いてしまうことです。

知り合いの投資家で、都心から電車で2時間ほどの郊外に戸建を買った人がいます。そのエリアは空き家が多く、商店街もシャッター街、普通に考えたら需要がありそうには思えない場所でした。ですが、地元の不動産業者の「ここは絶対にニーズがある」という言葉を信じて買ったところ、すぐに入居者が見つかったそうです。

というのも、そのエリアでは空き家は多くても、賃貸物件が少なかったのです。空き家投資に限らず、信頼できる不動産業者を見つけて情報を得ることが大切とわかる事例ですね。

Airbnbは要注目!

——リフォームにどれくらいお金をかけるかも重要ですね。

先ほどの耐震補強の話にも通じますが、リフォームにお金をかけすぎると利益が出にくくなってしまいます。リフォームは手を入れ始めるとキリがありません。そのため、空き家投資をやっている大家さんはDIYに取り組んでいる人が多くいます。

壁紙を自分で貼るのは当たり前、珪藻土を塗ったり、床を自分で貼ったりしてしまう人もいます。なかには、シンクをIKEAなどで買ってきてキッチンを自分でつくってしまう大家さんもいるほどです。電気、ガス、水道に関する工事は資格保持者でないとできないので、それ以外のところを自分でやってしまうのです。

——空き家を外国人向けに貸し出している人もいますが…。

現在、東京、大阪、京都などの観光地では、外国人観光客の増加によるホテル不足に陥っています。そのため、最近ではAirbnbなど、旅行客向けに短期間、部屋を貸し出す「民泊」が注目されています。ただ、現在は旅館業法に抵触する可能性はあるとして、法律的にはグレーゾーンにあるとの見方もあります。

実は私も自宅の1FをAirbnbに登録して貸し出しているのですが、サイトに登録してからわずか10分ほどで問い合わせが2件入り、英語で返事を書こうとしている間に宿泊予約が入りました。私の家が特別なのではなく、それほど需要があるということです。

ゴミ出しや騒音の問題など、民泊のネガティブな面ばかりがクローズアップされがちですが、利用者には旅慣れた人が多いので、ハウスマニュアルといった形でマナーや習慣を教えてあげればちゃんとそれを守ってくれます。ゴミ出しも、わからないからやらないだけで、分別方法を教えてあげればいいのです。大切なのは、守ってほしいことをきちんと伝えること。英語で会話ができなくても、サイトに明記しておけばきちんと守ってくれます。

今後、民泊には法的な規制が入る可能性もありますが、東京オリンピックの2020年までにはまだまだ伸びしろのある外国人向け宿泊業は、空き家の有効活用に大いに役立つといえるでしょう。

——最後に読者の方へメッセージをお願いします。

人口が減っていく日本では、空き家が増えていくことは避けられません。ですが、取り壊してしまう前に、有効に使う手立てはないか、いま一度考えたいものです。家は使われるのを待っています。家を再生させ、再び家に命が宿るシーンを目にすると、家が喜んでいるように感じます。この感動を、ぜひ一人でも多くの人に感じていただきたいと思っています。

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この記事を書いた人

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