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儲かる物件を探すのはむずかしい

地方高利回りアパート投資は利益率もリスクも高い(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/04/20

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マネジメントが面倒で、想定外の出費も

とはいえ、投資物件として見た場合の地方高利回りアパートにも、デメリットはあります。

デメリットその1は、マネジメントに余分な時間と労力がかかりやすいこと。

地方の賃貸アパート・マンションは、オーナーが地主さんであるケースがほとんど。不動産投資用につくられたアパートやマンションは数が少なく、その多くは地主さんの節税対策でつくられた物件といっていいでしょう。

こういった物件では、空室が出てもオーナーはそれほど気にしないし、物件を管理する不動産業者側にも、熱心に集客しようという意識はあまりありません。

一方、地方の中古賃貸アパートを土地・建物ともローンで購入した不動産投資家からすれば、空室は極力出したくありません。もし空室が出れば、一刻も早く入居者を入れたいと考えます。なぜなら、空室はただちに経済的損失につながるからです。

空室が出た場合、投資家としては当然、その物件を管理する地元の不動産業者に、できるだけスピーディーに動いてほしいところ。ただちに簡単なリフォーム工事を行ない、広告を打つなり、賃貸情報サイトに情報をアップするなりして、次の入居者探しに奔走してほしいと考えます。

ところが、地元不動産業者に、空室対策に対するそこまでの切迫感はありません。都市部に暮らすオーナー(投資家)が電話やメールでいくら催促しても、不動産業者側の動きはいつまでも鈍かったりして、結局はオーナー自ら現地に出向かなければならなくなったりします。

デメリットその2は、地方の格安物件を狙う以上、その物件がシロアリに侵されていたり、あるいは基礎部分に重大な欠陥が隠されていたりするリスクと常に隣り合わせだということ。もしそうであれば、建て替え同然の大規模なリフォーム工事が必要になり、想定外の莫大な出費を強いられることになります。

デメリットその3は、地方の格安物件を取得した場合、取得した本人に対する銀行の評価が低くなってしまうこと。格安物件は当然、不動産としての価値(評価額)が低いですから、価値の低い不動産を持っている不動産貸付業者(=投資家)への評価も当然、低くなります。そして銀行からの評価が低くなれば、今後融資を受けにくくなってしまうのです。

確かに高利回りは魅力ですが、メリット・デメリットを勘案して投資の判断をしてください。

 

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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