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⽇本⼀空き家率の⾼いエリアを⽣き抜く オーナー自らつくりだす"付加価値"(1/2ページ)

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我が国の社会問題として悪化の⼀途を辿っている“空き家問題”——。空き家は、景観を損ない、⽼朽化による倒壊、不法占拠や不法投棄、放⽕などの犯罪の温床になる可能性といった危険をもたらす。2018年に総務省が⾏った「平成30年住宅・⼟地統計調査」で、21.3%と最も⾼い空き家率であった⼭梨県で、状況を打破しようと奮闘するオーナーがいる。⼭梨県の県庁所在地である甲府市で、賃貸事業を営む⻑⽥穣(おさだみのる)オーナーに話を聞いた。(取材/尾崎 光・⽂/佐藤 美⽉)

受け継いだ賃貸経営 他責ではなく⾃責

前述の⼟地統計調査において、現在の⽇本の総住宅数は6240万7000⼾とされており、13年での調査結果と⽐べ2.9%増加している。そのうち空き家は、848万9000⼾(3.6%の増加)、空き家率は13.6%と過去最⾼となっている。この空き家のなかで「賃貸⽤の住宅」が半数以上を占めており、その数なんと約432万⼾にも及ぶ。全国の空き家率1位という厳しい状況におかれる⼭梨県で、満室経営を実現させている⻑⽥オーナーはこう語る。

「祖⽗が相続税対策のために始めた賃貸経営でしたが、当初は順調だったものの2000年代に⼊ると、物件の供給過剰と築年数の経過による資産価値の低下で経営が悪化していきました。06年に私が引き継いだときには、すでに家賃収⼊よりも銀⾏返済などの支出がはるかに上回り、債務超過の状態だったのです。

当時私は、部屋が埋まらないことを『管理会社のせい』と考え、担当者に厳しく⼊居付けするよう伝えるのみで、実際の管理や集客は任せきりにしていました。しかしそれではいけないと気が付き、少しずつ⾃分で物件掃除を⾏ったり退去後のリフォームをしっかり⾏ったりしたことで、14年には満室にして⿊字化することができました。

しかし17年に物件が築24年を迎えた際、繁忙期になっても部屋が全く埋まらなくなってしまいました。物件の管理や退去時のリフォームを適切に⾏い、募集を不動産会社に委ねるといういわゆる“通常の集客”では通⽤しなくなってしまったのです。AD(広告料)を2カ⽉つけましたが、あまり効果がみられませんでした」


自ら物件の清掃を行う長田オーナー

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