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不動産投資を成功させたいーーカギは街のポテンシャルを知ること

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文/朝倉 継道 イメージ/©2mmedia・123RF

当たり前のことをシンプルにやる

次々と投資を成功させている賃貸住宅オーナーに秘訣を尋ねると、よくこの答えが返ってくる。

「街のポテンシャルを見ることです」

賃貸住宅への投資は、いわば街への投資だ。よって大事な基本は、そこに住みたいと思う人がたくさんいること。手堅い市場が形成されていること。

単純な論理だが、魚のいない池に釣り糸を垂らしても魚は釣れないという当たり前のことをデキるオーナーはシンプルに語ってくれる。

では魚のいる池をどうやって見分けるか? 私は以前から、あるモノサシをオーナーに伝えている。誰でも使えるとても単純な尺度だ。

それは、「礼金をもらえる街」であること。礼金をもらえる街、もらいやすい街は、そこでの賃貸経営を安定したものにしてくれる。

理由は、語るまでもない。入居者さんにとってはきびしい条件となる礼金をあえて設定し、それでも入居を勝ち取れる物件が多い街は、とりもなおさず、そこに住みたいと思う人が多い街だ。

そうした街は、市場に厚みを持っている。築年数の増加による賃料の劣化もカバーされやすい。

フリーレントがキーワード

では、そんな「礼金をもらえる街」をどうやって探すのか? それは簡単。不動産ポータルサイトを使えばいい。

不動産ポータルサイトで、礼金あり・なしの検索条件を操作し、その街・駅の物件総数に対する割合を調べていく。そのことで簡単に、その街・駅での礼金設定率=「礼金率」を確かめることができる。

この礼金率がより高い街・駅こそが、市場が厚みをもつ街・駅であり、投資先としてのポテンシャルが当然ながら高いであろう街・駅となる。さらに、モノサシをもうひとつ加えたい。

「フリーレント」だ。これが設定されている物件のシェアも割り出してみる。方法はこちらも簡単だ。礼金同様、ポータルサイトでの“スイッチング操作”を行えば、数秒もかからない。

ご存じのとおりフリーレントは、入居者の獲得に苦しんでいる物件で設定されることが多い。よってフリーレント率の高い街・駅は、すなわち、賃貸経営が厳しい街・駅、あるいは厳しくなりやすい街・駅とみなせるだろう。

このフリーレント率を先ほどの礼金率と併せて見ていくことで、より確実に街の現状をイメージすることが可能となる。

フリーレント率の高い街は

ではここで、礼金率とフリーレント率を実際にいくつか確かめてみたい。サンプルは以下6つの街・駅だ。

本厚木(小田急小田原線)
大宮(JR京浜東北・根岸線ほか)
葛西(東京メトロ東西線)

横浜(京浜急行本線ほか)
恵比寿(JR山手線ほか)
吉祥寺(JR中央線ほか)

このうち、本厚木、大宮、葛西は、不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sが、この2月(2021)に公表している「2021年 首都圏版 LIFULL HOME’S 借りて住みたい街(駅)ランキング」のTOP3に並ぶ顔ぶれだ。(1位本厚木、2位大宮、3位葛西)

一方、横浜、恵比寿、吉祥寺の人は、同じく3月に不動産ポータルサイトSUUMOから発表されている「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」のTOP3を占めている。(1位横浜、2位恵比寿、3位吉祥寺)

なお、上記はそれぞれ顔ぶれがまったく異なるが、それは、両者においてランキングの基準に大きな違いがあるためだ。

LIFULL HOME’S
…その街・駅の物件へのユーザー検索・問い合わせ数をベースに集計

SUUMO
…住みたいと思う街・駅へ票を投じてもらった、いわゆる人気投票

そのうえで、上記6つの街・駅の礼金率、フリーレント率を以下に掲げてみたい。なお、これらは、21年4月末の同日、ほぼ同じ時間帯に、同じポータルサイトを使って割り出したものだ。

(礼金率・フリーレント率ともに、刻々と行われる掲載物件入れ替えの影響を受け、調べる時点によって微妙に変動することにご留意)

本厚木
 礼金率(礼金を設定している物件の割合・以下同) …31.0%
 フリーレント率(フリーレントを設定している物件の割合・以下同) …14.7%

大宮
 礼金率 …42.3%
 フリーレント率 …3.4%

葛西
 礼金率 …37.1%
 フリーレント率 …5.5%

横浜
 礼金率 …47.9%
 フリーレント率 …7.3%

恵比寿
 礼金率 …69.2%
 フリーレント率 …5.3%

吉祥寺
 礼金率 …59.8%
 フリーレント率 …3.3%

いかがだろう。なお、かさねて補足するが、礼金率は、高いほど入居者から礼金をもらいやすいということで、投資側に有利だ。逆にフリーレント率は、高いほど投資側に厳しい市場であることを意味している。

高い礼金率は人気を示す

そこで見ると、本厚木は、ポータルサイトでのユーザーからの検索・問い合わせ数をベースにした人気はたしかに高いとの結果が出ているが、礼金率、フリーレント率ともに、他に比べると一段と苦しい。

つまりその人気にあっては、街のブランドよりも、リーズナブルなコストで居住をスタートできる点そのものが、理由として多く含まれていることが示唆されている。(いまはブランド獲得のチャンスが巡ってきたまでの状態だろう)

一方、恵比寿、吉祥寺の高い礼金率は、まさに両方の街・駅におけるブランド力を示すものといっていい。

「SUUMO」による人気投票型のランキングでは、両者は、横浜にここ4年連続して負けている。だが、実際に「住みたい」と思う人を「住まわせて」しまう、現実的な力においては、おそらく恵比寿、吉祥寺は横浜に優っているだろう。そんな様子が上記の数字からは見てとれる。

以上、「礼金率」と「フリーレント率」。ポータルサイトが存在するおかげで、手に入れるのがとても楽な数字となっている。

ぜひ、参考にしてみてほしい。 

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この記事を書いた人

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