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「猫付きマンション・シェアハウス」に続いて広がる猫との共生住宅「猫付き賃貸併用住宅」

山本 葉子山本 葉子

2021/05/27

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写真提供/NPO法人東京キャットガーディアン

人が居るところではなく猫が居るところ

行き場のない猫たちの一時飼育場所を作りながら、マンション経営やシェアハウス運営に役立てる――これが「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」の目的です。

東京キャットガーディアンは、通常200から400頭ほどの猫達を保護している団体ですが、「猫付き――」のシステムは大家さんと入居人と保護団体の三者それぞれにとって都合の良くなるようなシステムにしてきたこともあって、長くご好評いただいています。

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2020年からは「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」の戸建てバージョンともいえる「猫付き賃貸併用住宅」の建設・予約販売をはじめました。

この「猫付き賃貸併用住宅」は、デベロッパーの担当さんからのご提案、初顔合わせ、内容の検討と、相当な時間がかかりましたが、とにかくスタートできたという感じです。

「猫付き賃貸併用住宅」は、オーナーさん、入居者さん、保護団体の三者に加え、「猫付き賃貸併用住宅」を各地でプロディースするデベロッパーさんの四者にメリットのある企画です。

この「猫付き賃貸併用住宅」のデベロッパーの若いご担当さんは実家で保護猫と暮らしていたそうです。

自分でも保護猫を迎え入れようとしたところ、猫を飼うことができる賃貸物件のあまりの少なさに驚き、そこからいろいろお考えいただいたようでした。保護団体には常に行き場のない猫(主に成猫)がいますが、この猫たちの居場所を作りつつ戸建て物件の提供に結び付けられないかとご相談いただいたことが「猫付き賃貸併用住宅」のきっかけになりました。

これまでも「預かり飼育」「ミルクボランティア」など、保護団体が一時的に猫たちのサポートをお願いするかたちが昔からあります。

猫の預かりについてはご協力を申し出てくれるボランティアさんの自宅が飼育場所になる、つまり、人のお宅に猫がお世話になるものでした。しかし、「猫付き――」は、保護場所が猫のためのマンションであったりシェアハウスであったり、今回のような賃貸併用住宅です。言い換えれば、人の居るところに猫が入るのではなく、猫の居るところに人が入るというわけです。

デベロッパーさんと「猫付き賃貸併用住宅」の提携を進めさせていただくにあたって、一番に気を付けた部分は「建築後の賃借人の入居率」でした。担当さんからは「ワンストップで、立地選定・建築・賃借人募集・管理を請け負っています」とのことで、基本的にお願いすることになりましたが、物件を建てたところは入居率もよい人気のエリアで、むしろ、こちらとしては願ったり叶ったりのお話でした。

お困りごとのサポートはしっかりと

「猫付き――」コンセプトは、「猫可」ではなく「猫との共生」で、この主旨に賛同していただけるオーナーさんで、すでに猫を飼っている方々でした。「猫付き賃貸併用住宅」もオーナーさん(購入者)はもとより、賃貸住宅への入居者も「猫の預かり飼育」をしていただける方になります。

そのためオーナーさん、入居者さん共に飼育者として適切な方かどうかの面談が必要になります。とはいっても、実際に猫を預かっていただくようになれば、飼育相談などについてはこちらでフルサポートします。

ですので、猫の飼育自体が初めての方・転勤があるお仕事の方など、猫との暮らしを望んでいても不安があったり、ずっと先のことを考えて踏み切れなかったりする方にも、検討しやすいシステムです。

物件の内装ですが、フロアはペット対応のフローリング。滑りにくく傷もつきにくい優れものです。また、腰高壁を採用して猫たちの爪研ぎによる壁へのダメージも回避。洗面台の下には猫のトイレスペースがあり、各部屋に猫ドアも付いています。

賃貸部分の壁面収納はキャットタワーとしても使える専用シェルフを入れて、楽しく便利に空間として活用します。そして、「猫付き――」で何よりも重要なのは、やはり逃走防止手段がしっかりしていることです。そこで玄関前にドアをもう一枚設置することで、毎日の出入りの際にも安心に出入りできるような内装になっています。

また、木造ではありますが、将来的に間取りを変更することもできるようになっています。

そのため、例えば、将来は賃貸部分を使って二世帯住宅にしたり、オーナーさんのスペースを広げて一戸建てに作り直すことも可能です。今、私たちのところには、こうした猫と共生するための住宅のお話が次々ときており、私が猫を保護するために自宅購入に踏み切った時代とはだいぶん違ってきたことを実感しています。

長期間にわたって無理なく猫との共生を維持して行ける居場所は、人にとっても猫にとっても大変ありがたいものです。今後も新たな「猫付き――」の企画も出てくると思いますが、今期は「猫付き賃貸併用住宅」に注目していきたいと思います。

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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