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賃貸住宅での孤独死 知られざる意外な事実(1/2ページ)

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文/朝倉 継道 イメージ/©dglimages・123RF

65歳未満で52%も 孤独死は高齢者のみに限らない

「賃貸住宅での孤独死は、高齢者だけに多いことではない」「若い現役世代でのリスクも高い」ーーそんな実態を明確な数字で掘り起こしているレポートが、この1月(2021)に公表された。一般社団法人 日本少額短期保険協会による「第5回孤独死現状レポート」だ。同協会内に設置された孤独死対策委員会が、これをとりまとめている。

レポートの対象となるデータは、上記委員会メンバーの各社および、協力会社から集められている。

・少額短期保険会社の家財保険(孤独死特約付き)に加入している一人暮らしの被保険者(賃貸住宅入居者)において

・自宅内で死亡した事実が、死後判明したケースを孤独死と定義

そのうえで、年齢、性別、事故発見日、死因、死亡推定日や、発見者が誰であったか、発見に至った事由、さらには、遺品・残置物の撤去費用や原状回復費用など、さまざまなデータが収集・分析され、課題がまとめられている。

いくつかその内容を紐解いていこう。

2015年4月~2020年3月までの5年間のデータ

孤独死人数 ……4,448人
(男性3,698人・割合83.1%)
(女性750人・割合16.9%)

死亡時の平均年齢 ……61.6歳
65歳未満の方の割合 ……52.0%

男性の数字が特に目立つのが分かる。一人暮らししている人に、そもそも男性が多いのではないかとの推測も成り立つが、ともあれ、結果論として孤独死する人の絶対数において、男性が多いことは明らかだ。

65歳未満の高齢者となる以前の年齢で亡くなっている人の数字にも注目したい。5割を超えている。早くも結論となるが、「孤独死は高齢者のみに偏ったリスクではない」ことがここではっきりと示されている。

次に「死亡年齢の構成比」だ。全体の数字に加え、カッコ内に男女それぞれに限った場合のデータを記していこう。

20代 ……4.3%
(男性 3.5% 女性 8.4%)
30代 ……6.7%
(男性 6.0% 女性 10.1%)
40代 ……10.3%
(男性 9.9% 女性 12.4%)
50代 ……18.8%
(男性 19.8% 女性 13.7%)
60代 ……29.6%
(男性 31.5% 女性 20.2%)
70代 ……22.4%
(男性 23.0% 女性 19.2%)
80代以上 ……8.0%
(男性 6.4% 女性 16.1%)

さらに、20~50代のいわゆる現役世代の数字を足し合わせて抜き出すとこうなる。

孤独死者・男女全体における現役世代(20~50代)の割合 ……40.0%
同・男性 ……39.2%
同・女性 ……44.6%

全体で4割という高い数字が出ていることが分かる。

これは「65歳未満が5割を超えている」に上書きしての「孤独死は高齢者のみに偏ったリスクではない」を示す数字といえるだろう。

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