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空き室問題と住宅確保要配慮者の増加 大阪府の取り組みと今後の展開

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イメージ/©︎paylessimages・123RF

知っていますか? セーフティネット住宅

賃貸住宅オーナーが抱える“空き室問題”の解決策の一つとなるであろう、住宅セーフティネット制度。この制度について何人かのオーナーに伺ったところ、「聞いたことはあるが、細かい内容まではよく分からない」という回答が多かった。

現在、日本での高齢者人口は今後も増加することが見込まれており、その他、障がい者、子育て世帯など住宅の確保に配慮が必要な人(以下、住宅確保要配慮者)は多数存在していると思われる。一方で、民間の空き家・空き室は増加している。

この住宅確保要配慮者と空き室をマッチングさせる仕組みが住宅セーフティネット制度なのだ。


出典/「セーフティーネット住宅」HP

セーフティネット住宅の登録数の多いエリアでは、大阪府が3336棟・3万3584戸(2021年3月18日時点)の登録がある。大阪府での空き家や住宅確保要配慮者の現状は、前述のセーフティネット住宅の登録数の多さに比例している。

「現在、平成30年住宅・土地統計調査によると、大阪府内の空き室は約70.9万戸あり、そのうち賃貸用は約45.5万戸あると言われています」

こう話すのは、大阪府住宅まちづくり部 都市居住課 課長の日野出俊夫さんだ。

「さらに、大阪府での高齢者人口は15年に約232万人であったものが、25年には約11万人増えると推計されています。そして、障がい者人口は、障がい者手帳の所持者が18年時点で約56.7万人となっており、そのほかの住宅確保要配慮者を含めると相当数の住宅確保要配慮者が存在していると思われます」

大阪府では、賃貸用の空き室や住宅確保要配慮者の増加も踏まえ、住宅セーフティネット制度を広めるため独自の仕組みを10年以上も前から始めている。それが、「大阪あんぜん・あんしん賃貸住宅登録制度」だ。


出典/「大阪あんぜん・あんしん賃貸検索システム」HP

大阪独自の仕組み 細やかな支援のため

「大阪府では、07年より大阪あんしん賃貸支援事業を創設し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の登録、居住支援団体の登録、住宅確保要配慮者の相談に応じる不動産会社(協力店)の登録などを行ってきました。17年の法改正を受け、入居を拒まない民間賃貸住宅はセーフティネット住宅へ、居住支援団体は居住支援法人へ移行しましたが、協力店は現在も大阪府の独自制度であり、現在670近くの協力店が登録しています。そのうち、12店は積極的に取り組む相談協力店として大阪府知事が指定しており、今後はきめ細やかな支援を行うため、この相談協力店や居住支援法人の拡大を図り、市町村の住宅部局・福祉部局などともネットワーク化することで、各地域での居住支援体制の充実を進めていきたいと考えています」(日野出さん)

大阪府独自で行っている制度はほかにもある。大阪府では、20年に「大阪府家賃債務保証市場環境整備促進事業」を開始しており、住宅確保要配慮者の入居に対するオーナーの不安解消や入居者への支援を促進するため、家賃債務保証と併せてオーナー支援や入居者支援を行う居住支援法人を通じ、セーフティネット専用住宅への入居の際にかかる初回保証料のうち6万円を上限に補助されるものだ。

大阪府に居住支援法人として登録しているエルズサポートでは「大阪府向けセーフティネット住宅対応保証プラン」を提供している。エルズサポートの伊佐拓馬さんはこう話す。

「エルズサポートでは、大阪府の補助金を利用したプランをご提供しています。住宅確保要配慮者の方々がお部屋探しをすると、『保証会社の審査が通らない』という問題にぶつかってしまうとよく伺います。セーフティネット住宅を通じてこのプランを利用していただくと、属性が住宅確保要配慮者で審査が通りにくいということがあっても、他社と比較した場合、当社はお受けできる可能性が高いという点がメリットとなります。住宅確保要配慮者が入居される場合でも、保証会社がつくことでオーナー様も安心していただけると思います。そして、弊社のグループ会社では、高齢者の見守りサービスもご提案することができ、このサービスは万が一孤独死された場合の補償もついております」(伊佐さん)

空き室問題の解決策 まずは仕組みを知る

「大阪府では、住宅確保要配慮者の方が多くおられます。その方たちにお部屋を貸すことで、家賃滞納や近隣とのトラブル、孤独死など不安をもたれるオーナー様もいらっしゃると思います。しかし、大阪府にはさまざまな支援を行う居住支援法人がおり、エルズサポートのような入居支援を行う法人のほかにも、生活支援や退去後支援を行う居住支援法人もいます。その数は全国で一番多く、大阪府は60法人を指定しています。これらの居住支援法人にオーナー様、入居者様の不安を解消していただいています」(日野出さん)

“空き室問題”。これはオーナーにとって永遠のテーマである。昨年より大流行している新型コロナウイルスの影響で、苦しむオーナーも増えただろう。もちろん、費用をかけてリフォームすることも一つの空室対策である。しかし、空き室という社会問題と、入居に困っている住宅確保要配慮者を助ける仕組みの住宅セーフティネット制度も空室対策の一つではないだろうか。

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