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物件内では使用禁止にすべき…? 「ストーブ火災」原因の多くが、実は電気ストーブ(1/2ページ)

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文/朝倉継道 構成/編集部 イメージ/©︎cylonphoto・123RF

意外に多い 電気ストーブでの火災

賃貸住宅を運営するうえでの心配事のひとつに、物件での火災がある。

保険によるリスクヘッジも可能ではあるが、ときには人命に関わり、取り返しがつかない事態になることもある。火災は、決して起きてほしくない事故であることに変わりはない。

「火災が心配」「一酸化炭素中毒の危険もある」――そんな暖房器具といえば石油ストーブだ。

物件内での石油ストーブ・石油ファンヒーターの使用を禁止している賃貸住宅オーナーも、少なからずいることだろう。

では、電気ストーブはどうか ?

電気ストーブとは、発熱体である管状のヒーターが、電気の力で熱せられ、赤外線を放射して体を温めてくれる、お馴染みの暖房器具だ。広義には電気ファンヒーターやオイルヒーターを含めることもある。

電気ストーブの場合、石油ストーブや石油ファンヒーター、ガスストーブなど、燃料を燃やすものとは違い、一酸化炭素中毒の原因となることはない。そのため、電気ストーブを、「部屋で使ってはダメ」としているオーナーは、まずいないはずだ。

とはいえ、火災は別だ。

電気ストーブでも起こり得る。というよりも、かなり起きると認識しておいた方が、実は正しいのが実態だ。

11月26日、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が、「衣類や布団などの可燃物の接触に注意!~暖房器具による火災を防ぐ~」と称し、注意喚起を促す発表を行った。このレポートの中には、電気ストーブの意外にも高いリスクが数字で示されている。

NITEが把握している「2010年度から2019年度までの暖房器具の火災事故1361件」における「製品別の事故発生状況」は以下の通りとなる。

製品別の事故発生状況

出典/独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)「衣類や布団などの可燃物の接触に注意! 〜暖房器具による火災を防ぐ〜」

このように、石油ストーブの数字に電気ストーブが迫っているのだ。おそらく多くの人が持つイメージ以上に、電気ストーブは火災を多数発生させているといえそうだ。

東京消防庁からも、同様のデータが示されている。

10月に公表された「STOP!ストーブ火災」だ。これは東京消防庁管内での集計で、本データによると、令和元年(2019)における「ストーブを出火原因とする住宅火災」103件の内訳は以下の通りとなる。

ストーブを出火原因とする住宅火災

出典/東京消防庁「STOP!ストーブ火災」

このように電気ストーブが群を抜くかたちとなっているのだ。

ただし、これは東京消防庁管内のデータということで、もともと電気ストーブ使用率が寒冷地等に比べて圧倒的に高いであろう地域ということも理由にありそうだ(さきほどのNITEのデータは地域を限っていない)。

【参考記事】頻発するカセットボンベの事故 多数の窓が割れ、火災、やけど、家屋の損壊も

ただし、ここで注目したいのが、電気ストーブとは別に集計されている「カーボンヒーター」(8.7%)と「ハロゲンヒーター」(5.8%)だ。これらは、電気ストーブの一種で、発熱体を電気で高温にし、赤外線放射させるという仕組みは一緒である。それらを含むと「電気ストーブ」というカテゴリーでは69.8%(55.3+8.7+5.8)、ほぼ7割ということになる。

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