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中古マンション投資の物件選び――100%パーフェクトな物件がないことを心得よ

斎藤 岳志斎藤 岳志

2020/11/16

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イメージ/©︎paylessimages・123RF

パーフェクトを望んではいけない理由

不動産投資、中でも中古の区分マンション投資の物件選びにあたっては、沿線選び、駅からの距離、周辺の雰囲気といった立地、物件の築年数、日当たりや階数、設備、管理状態、そして価格などさまざまな要素を見ていくことになります。しかし、ゼッタイに言えることは物件選びでは、

「100%自分の要望に沿った区分マンションは存在しない」

ということです。

もちろん、物件の詳細が書かれた募集チラシを見て「これだ!」と思う場合もありますが、実際に現地に行って周辺や、物件の内見をすると「ちょっと……」と引っ掛かってくるところが出てくるはずです。もし、そうした引っ掛かる点がない物件であれば、まさに運命的な出会いで“即、買い”です。

とはいえ、マンション投資である以上、入居者があっての物件。しかも、入居者が退去してもすぐに次の入居者が入らなくては完璧な物件とはいえないでしょう。

良いと思った物件でも「マンションの雰囲気は、入居希望者に選んでもらいやすい良さはあるけれど、駅からのアクセスは少し遠く感じる」「雨が降っても走れば傘もいらないほどの駅近だけれど、少し建物が古さを感じる」など、いざ購入するとなると、細かい部分が気になってくるのです。

あるいは「ショッピングや外食には便利。だけれどコロナ禍になってみると人が多くて心配」など、これまでは物件のプラス部分が、そのときの状況によって一変してマイナスになることもあるのです。つまり、不動産やマンションにはプラスに感じる面と、マイナス感じる面を持ち合わせており、1つとして同じものはありません。まさにこれは人と同じで、パーフェクトを望んではいけません。

誰でもできる メガネに適った物件を見分ける方法

100点満点の物件は、まず存在しないのですからどのように物件を選べばよいか。考え方はいくつかあるでしょう。

その1つはわかりやすく合格点を決めること。

例えば、資格試験イメージで、合格ラインが70点であれば、100点の人でもギリギリ70点の人も同じ合格者です。100点取れれば、それにこしたことはありませんが、本当の合格はその資格を使って活動することで、そのことで仕事であれば成果を上げることです。

これを不動産物件に置き換えれば、入居者が入り、収益を上げることです。

現在、私は10室の物件を所有していますが、100点満点の物件は1つもありません。全体的に見ると、「この部屋なら入居者が途切れないだろう」と思った物件は購入してきました。マイナス面ばかりを気にして購入をしないのは前に進まないことと同じ。物件探しに使った時間を浪費しただけです。まずはプラス面をとらえ、前に進むことが大切だと思います。

加点方式と減点方式で物件をチェック

では、どうのように合格点を付けるか?

わかりやすいのは、沿線、駅からの距離、周辺の雰囲気といった立地、物件の築年数、階数や部屋の向き、設備、管理状態、価格など項目ごとに配点していく「加点方式」です。

加点方式のポイントは評価項目をあまり細かくしないことです。10項目から多くても50項目ぐらいするのがよいでしょう。また、配点を均等にするのではなく、自分が重視したい項目に多めに配点するなどすることで、その物件の個性が見えてきます。

もう1つが、「減点方式」です。

加点方式同様、各項目に配点してそこからダメなところをマイナスしていくものですが、減点方式は加点方式より項目を細かくすることがポイントになるでしょう。人は加点方式にすると、自分の思い入れが混じって点数が甘くなります。しかし、減点方式は点数を辛くするといいます。つまり、どちらかというと、減点方式のほうが客観的な点数が出やすいというわけです。

入居者の立場で想像し、自らも楽しむことが大切

その物件を購入するかどうかの判断は、なかなか難しいものです。

今ご紹介した加点方式や減点方式というのは、その物件を総合的に判断するための方法です。言い換えれば、世間一般での評価になります。しかし、「家/部屋」というのは、そこに住まう人の個性が出てくるものです。

総合的に判断することも重要ですが、「どんな人だったこの部屋に住みたいと考えるか」というようにそこに住む人のライフスタイルを想像してみるのも1つの方法です。あるいは、「自分だったらこの部屋に住みたいと思うか」というような住む人の立場で、自分なりの選ぶ基準や優先順位を決めることも大切です。

そして、物件の購入判断を単に金銭的な収益で見るのではなく、そこ住む人がどんな生活をするのか、そのライフスタイルを想像しながら、自らも楽しむことも忘れないでください。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

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