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コロナショック! 賃貸住宅オーナーが"利用すべき制度"と"やるべきこと" ~賃料の減免 編~(1/2ページ)

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国土交通省は2020年4月17日、不動産を賃貸する所有者などがテナントの賃料を減免した場合、災害時と同様にその免除による損失の額は、寄付金の額に該当せず、税務上の損金として計上することができると発表されました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店をはじめとする取引先において、入居するビルなどの賃料の支払いが困難となる事案が生じていることに対応した施策となります。

今回はコロナによるテナント家賃の減免について、大家さん専門税理士、渡邊浩滋氏のコラム「コロナによる家賃の減免を損金算入。節税になるの?」を紹介します。

「コロナによる家賃の減免を損金算入。節税になるの?」 

新聞などで、新型コロナウィルス感染症の影響によりテナントの賃料を減免した場合に税務上の損金算入ができるとあります。家賃減免すれば節税になるの?と思ってしまうことでしょう。

しかし、気を付けなければなりません。結論から申し上げると、節税にはなりません。減免分には、税金をかけません(寄付金にはならない)という意味です。

1.法人の場合

法人の場合、営利の追求が存在目的となるため、取引先などに売掛金を免除したときは、合理的な理由がない場合には、原則として相手方に対して寄付金を支出したものとして取り扱うことになっています。

【何もなく30万円の家賃を10万円家賃減額した場合】

(現金) 20万円   / (家賃収入)20万円

(寄付金)10万円   / (家賃収入)10万円

家賃収入が20万円ではなく、当初の30万円計上しなければならないことがポイントです。

そして減額した10万円は、寄付金として(一部※)損金不算入(経費として認めない)となります。

つまり、売上30万円-経費1万9375円(※の例の場合)=約28万円に税金がかかることになります。

 

※(一般の)寄付金の損金限度額

(資本金×0.25%+所得×2.5%)×1/4の金額だけ損金として認められます。

(例)資本金100万円、所得300万円の場合

(100万円×0.25%+300万円×2.5%)×1/4=1万9375円

 

【災害(コロナ)等により30万円の家賃を10万円家賃減額した場合】

(現金)  20万円 / (家賃収入)20万円

(貸倒損失)10万円 / (家賃収入)10万円

 

寄付金にならず、損金(貸倒損失)になるため、家賃収入30万円には税金がかからないことになります。

売上30万円-経費10万円=20万円だけに税金がかかることになります。

そもそも家賃受け取っていないのだから、そこに税金をかけること自体がおかしいと思うのが一般的な考えでしょう。

 

しかし、法人税の世界では、理由なく家賃を減額したら、そこに税金をかけることになっています。コロナによる家賃減額であれば、そこには税金をかけないということを確認しているにすぎません。大家さんの税金がこれによって大きく減額されるという話ではありませんのでご注意ください。

 

なお、会計上は、売上は減少していませんが(減額分は経費になるだけ)、減少したとして、納税猶予(売上が20%減少した場合の措置)や固定資産税の減免(売上が30%以上減少した場合の措置)の適用が受けられることになっています。

 

ちなみに、賃借人の処理は

(支払家賃)20万円 / (現金)   20万円

(支払家賃)10万円 / (債務免除益)10万円

経費(支払家賃)30万円-収入(債務免除益)10万円=20万円が経費計上できることになります。

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この記事を書いた人

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