民泊を実施した物件は住宅ローン控除が受けられるのか?
ウチコミ!タイムズ編集部
2016/08/18
住宅ローン控除は受けられる? 受けられない?
東京オリンピックで外国人観光客が増加することから、一般個人住宅の空き部屋などを利用した「民泊」に注目が集まっています。民泊のマッチングサービスの中で最も有名なAirbnb(エアビーアンドビー)にも続々と物件が登録されており、日本国内の物件数は5月1日の時点で3万4000件を突破しています。不動産投資を行っている人にとっても、空き部屋の活用ができる民泊は気になるところでしょう。しかし、民泊で収入を得た場合、納税義務はどうなるのでしょうか。
観光庁観光産業課課長補佐の谷口和寛氏は、「個人が生業として部屋を貸して、ある程度所得が積み上がってくると、確定申告が必要になってくる。それを税務署がどこまで捕捉できるかという問題もある」と発言しています(2015年8月4日、サイト「トラベルボイス」)。
つまり、ある程度収入があれば、納税義務が発生するということです。では、民泊の所得区分は何に分類されるのでしょう。これは、一般的には「雑所得」となります。給与所得および退職所得以外の賃料収入が20万円を超えない場合は、確定申告の必要はありません。ただし、民泊を始める時はそれなりに必要経費がかかりますので、賃料収入が20万円を超えない場合でも確定申告をすることによって所得税が還付されるケースも出てくるでしょう。
なお、不動産賃貸業を行っている人が民泊のために不動産を貸し出して賃貸収入を得ている場合は、その所得区分は「不動産所得」に該当します。
もう一つ、住宅ローン控除の適用期間中の自宅を賃貸した場合には、住宅ローン控除は使えなくなりますので、注意が必要です。住宅ローン控除を認めてもらうには「新築又は取得をした住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること」が要件です。自宅を丸ごと賃貸に出してしまえば、当然この控除は受けられません。
賃貸併用住宅の場合は、自己居住部分の借り入れについては住宅ローン控除を受けることができます。賃貸部分のローン金利については不動産所得の経費として計算することになります。50㎡以上の住宅であれば、床面積の2分の1以上を自分の住居として利用していれば、その分は住宅ローン控除を認めてもらえるでしょう。
なお、Airbnbに登録してサイト上に物件を掲載しただけであれば、住宅ローン控除に影響はないはずです。しかし、1度でも貸し出した実績があれば、控除が除外されるリスクはあると思った方が良いでしょう。
この記事を書いた人
賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。