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中国不動産投資の今後の傾向は?

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国家の力を背景に急速に発達した不動産市場

最近では、不動産情報を扱うサイトに「世界のお部屋探し」といったコーナーがあり、アジア圏の不動産というものが一昔前よりぐっと身近なものになった観があります。

中国の経済状況もがらっと変わりました。中国の改革開放路線は、元々は1978年に始まりましたが、1989年の天安門事件を境に下火になりました。しかし1992年の「南巡講話」(改革開放路線の継続・加速を呼びかけたもの)を機に再び外資による直接投資が活発になり、「社会主義市場経済」が本格化。今日の繁栄につながりました。かつては共産主義の強力な支配下にあり、1980年代まで人民服を着ていた中国の人々が、急速に近代化・西洋化したのには驚かされました。

かつては共産主義で私有財産は認められませんでしたが、2004年には憲法に「私有財産の不可侵」が明記されました。現在の中国では投資も大人気。不動産投資も一大市場となっています。

「南巡講話」を契機に始まった不動産投資ブームは、第1次不動産投資ブームと言われます。この時期のプレーヤーは主に華僑系の投資家や中国大陸の富裕層でした。第1次ブームはアジア通貨危機で一度下火になってしまいますが、2000年からは第2次不動産投資ブームが始まりました。第2次ブームからは実需のマーケットが本格的に動き出し、住宅ローン制度なども始まります。また、中国は国内を自由に移動できない仕組みになっているのですが、それを逆手に取って上海で不動産を買うと上海の戸籍をもらえるという制度を作り、上海の不動産価格を押し上げたりしました。この時の主な買い手は中国の実需層や日本、韓国、欧米の投資家などです。第2次ブームは2005年に終わりましたが、その後も金融緩和を行ったり、インフラ整備に50数兆円の投資をしたり、中国政府の強力なテコ入れが行われています。上海・北京の地価を見ると、2009年の1年間で約60%上昇したりしましたので、日本ではたびたび「中国のバブルが弾ける」と噂されたほどです。

とは言え、最近では中国も景気が悪化し、株価も下落したので、かつてほどの勢いはありません。ロイター通信によれば、中国国家統計局が発表した1-6月(2016年)の中国不動産投資は、前年比6.1%の増加。1-5月は7%増だったので、伸びが鈍化しています。このため不動産販売を支援する必要性から、特に在庫水準の高い小規模都市で追加措置が実施されるのではないか、と言われています。もし、この支援措置が市場の期待に届かなかった場合は「大きなマイナスのサプライズ」となり、不動産投資への信頼感が損なわれるのではないかと懸念されています。

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