貸し物件は「定期借家契約」と「普通借家契約」のどちらが良いのか?
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/10/15
★普通借家契約のポイント★
≪契約期間≫
- 契約期間は1年以上。
- 通常は契約期間を2年とする契約が多い。
- 契約期間を1年未満としてしまうと「期間の定めのない契約」になる事に注意。
≪借主からの中途解約は?≫
- 中途解約についての特約が定められます。
- 解約の予告期間を定められます。
- 解約予告期間を過ぎてからの解約について、支払う金額を定めるなど。
≪貸主からの解約は?≫
- 借主が更新を希望している場合、貸主からの解除や更新の拒絶には「正当な事由」(貸主がどうしてもそこに住まざるを得ないなど)が無ければ、不可能。
- 借主の意向に強く左右されます。
★定期借家契約のポイント★
≪契約期間≫
- 契約期間は自由に定められる。
- 契約の更新が無い契約。
- 契約期間の終了で、確実に明渡しを受ける事が出来ます。
≪契約締結の方法≫
- 契約書とは別に予め書面を交付して、契約更新が無い事や期間満了で契約も終了する事を借主に説明しなければいけない。
- この説明を怠ると「定期借家契約」の効力は無くなり「普通借家契約」になる。
- 契約期間を確定させて、公正証書等の書面で契約する事。
但し、公正証書を必須とはしていません。
≪借主からの解約は?≫
- 居住用の建物の場合、契約期間中に借主に「やむを得ない事情」(転勤・療養など)が発生し、住み続ける事が困難な時、解約が可能。この場合、解約の申し入れから1カ月が経過すれば契約は終了します。(但し、この解約権が利用できる住宅は、床面積が200㎡未満のものに限られます)
- 中途解約についての特約を結ぶことは可能。
≪貸主からの解約は?≫
- 原則、できません。
≪契約終了時≫
- 借主と貸主が合意すれば、貸し物件の再契約が可能。
- 契約期間が1年以上の場合、貸主が期間終了の1年前~6か月前までの間に、契約が期間満了で終了する事を通知する必要がある。これを怠ると「普通借家契約」になってしまいます。
※ この様な違いがあります。
■契約締結中の「普通借家契約」から「定期借家契約」への変更について
更に「定期借家契約」は平成12年3月から施行されていますが、借主保護の観点から、契約締結中の「普通借家契約」など、「借主と物件が変わらない場合の普通借家契約」については「定期借家契約」への切り替えの契約は、当分の間、認めないとなっています。
「当分の間」とは、いつまでか?平成12年3月から今日まで、未だに撤廃されていません。
しかし、この変更が認められない契約は、あくまでも平成12年3月以前に契約された貸し物件の「普通借家契約」の事を言っていますので、それ以降に締結された「普通借家契約」にまで及ぶものではありません。つまり、それ以降の「普通借家契約」は「定期借家契約」に切り替える事が可能ではあります。
「可能ではある?」変な言い方だな~…。と思われるでしょうが、そこには、貸主さんと借主さんの間で「合意解約」が成立していないとダメなんです。普通借家契約の場合、貸主さんが「法律上、正当事由を持たない限り」借主は、更新を請求し続けられる。
つまり、住み続けられる権利を持っているのに、その権利を「タダで」手放すわけですから…。この合意解約は慎重に・確実にする必要があります。その後「定期借家契約」の締結となります。強引なやり方は、無用な損害賠償などの種にしかなりませんので、注意してください。
もう一点、ここまでの話は「居住用」住宅の貸し物件のお話しです。今の、定期借家契約への切り替えは、事業用の物件については該当しません。
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家を貸したいときの「定期借家契約」と「普通借家契約」について
普通借家契約とは|貸主からの解約や中途解約について
定期借家契約とは|期間や途中解約、再契約について
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この記事を書いた人
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