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「突然の家賃値上げ」日経新聞7/30の記事から!?

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日本経済新聞の掲載されていました「突然の家賃値上げ」という記事について、解説したいと思います。しかし、不動産を取り巻く環境下での「揉め事」は問題自体も多岐にわたる上、件数も多いですね。そして、決まって「立場の弱い方」が困っているケースが、昔から内容まであまり変わらずに起き続けています。こういった所にも、消費者に対する手抜き加減が見て取れます。

 

対策として、法律や条例などが施行されていても、不動産業界の意識、責任感覚などが欠如している事も去る事ながら、世の中に広く知らしめる「広報」や、被害者をサポートをする機関などが何処にあって、どのようにコンタクトすればいいのか?分かる方は、殆どいないでしょう。こんな所も、この業界の悪い部分ですね。

 

話を戻します。新聞を読んだ方は、なんとなく分かったと思います。が、こんな感じの記事は昔から良く見かけます。

 

■突然の家賃値上げ!どうすればいいの?

 

~基本的に、賃貸住宅の家賃などは「賃貸借契約」で貸主借主が契約している状態です。家主の方が強いとか、有利であるとか、当然ですがありません。と言う事は、家主の一方的な値上げなんて考えにくい事なんです。ただ、税金の上昇や物価の値上がりなど一部許されている事はありますが、基本的に契約状態ですから、フィフティ、フィフティなはずです。つまり、借主・貸主間での「協議」が必要です。

 

■でも、家主さんが話を聞いてくれない時はどうすればいいの?

 

~正に、その説明が新聞に掲載されていました。「法務局に弁済供託」をすれば良いと書かれています。これではむずかしいですね。以下に簡単に説明していきます。

 

①家主さんから、一方的に家賃値上げの通知が来る。
②家主さん若しくは不動産屋さんに抗議などを申し入れる。
③しかし、全く取り合ってくれない。
④そうこうする内、今月の家賃の支払期日が来る。
⑤仕方がないので、旧家賃を持って家主さんに支払いに行く。
⑥値上げ後の家賃では無いと受け取りを拒否される。
⑦どうしよう~

 

と言う様なながれになりますね。この場合、借主さんにとって注意しなければいけない事があります。家主さんが家賃の受け取りを拒否した…。と言いましても、このままでは「家主が受け取り拒否」したのか「借主が家賃を滞納」しているのか傍目にはわかりません。当然、証拠もありません。

 

下手をすると、借主が一方的に家賃滞納をしている様にしか見て貰えなくなる可能性が大です。すると、契約書に記載のある家賃滞納ですから、何か月かするとアパートを出されてしまう可能性だってあるんです。酷い話ですが、昔から良くあるトラブルですね。

 

先ほどもお話ししましたが、このケースの場合やはり家主さん側が有利ではあります。借主さんは、家賃を期日までに支払う責務があるのに対して、家主さん側には建物の部屋を渡していますから、それ以上の責務が現状ないわけですから…。そこで、こんな困ったケースに先ほどの「弁済供託」というシステムが用意されているんです。

 

■どんなシステムなのか?

 

~法務局はご存知でしょうか?殆どの市町村などに設置されています、法務省管轄の出先機関です。基本、土地建物や会社・法人などの登記を預かる機関です。

 

ただ、場合によっては都道府県の本局に行かないと受け付けてくれない場合もありますので、事前に電話などで確認してください。

 

この法務局に、事情を話して受取を拒否されている家賃などを供託(預ける)事で、家賃を家主に払っている「効果」を保証してくれるのです。と言う事は、家主には家賃を払っていませんが、法務局という公的機関が家賃を払っている(払う意思がある)事を証明してくれます。ので、家賃滞納にはならないわけです。

 

■それで、どうなるの?

 

~この供託は、供託と同時に家主さんへの通知も出されます。つまり、この件に関して「供託状態」が発生している事を知らせてくれますから、いずれ家主さんから連絡がくるでしょう。其のタイミングで話合いをすればいいわけです。中には、連絡を寄越さない家主さんもいますが、何カ月も放置された場合こちらから、連絡ぐらいはした方が良いでしょう。

 

これは、裁判や調停の時に、善処しようとした経緯としてです。そしてもう一つの注意は、一旦供託を始めた場合、裁判や調停などで解決が図られるまで供託し続けなければいけません。先ほどお話しした、家賃滞納状態を公的機関で証明する事になってしまいます。

 

※いや~面倒だな~…。と感じられる方も多いかと思いますが、トラブルになった場合の対処法ですので、なんにでも使えばいい話ではありません。変な事に使うと、しっぺ返し…なんて事もありますから。あまり簡単に使って、家主さん側が裁判などで勝ってしまった場合などは借主は、家賃の不足分に対して「年1割の割合による利息」などの負担があったりもしますので…。

 

いずれにしても、借主にとって「危機的状況」の切り札的な手法です。出来る限り、交渉等で解決しましょう。ただ、そんな努力をしているのに「家賃の受け取り拒否」などの場合は使わざるをえないでしょう。悪質なケースに該当させるのが基本と考えて頂くのが良いでしょう。できましたら、専門家などに相談する事をお勧めします。

 

 

大家さんも借主もお互いをよく知ってから賃貸契約をしていくということが今後もっと増えると思います。

そして、その後も良い関係を続けていきたいものです。そのためにはお互いコミュンケーションをはじめからきちんととっておくことでお互いの齟齬がなくなります。

ウチコミ!ではコミュニケーションの場を提供しています。

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この記事を書いた人

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