「境界紛争」の話!? その2
ウチコミ!タイムズ編集部
2013/08/08
今回は、実際にあった土地の境界をめぐる問題・事件などの話をします。普段聞きなれない「境界」の話は、どことなく「対岸の火事」の様に思いがちですが、そう思うのもうなずけます。この問題・事件が起きるのは、土地を売却する時か相続が発生した時に、ほぼ限られるからです。
クルマなどでしたら、1年に1回メンテナンスがあったり3年程で「車検」があったりと、見直す機会が意外と多くあります。しかし、不動産の場合「メンテナンス?…。」となるのが普通の世の中ですし、メンテナンスの情報も特に公にされていません。そもそも、何をすればいいかの情報すら一般の消費者は持っていません。ですので、下記の問題・事件を参考にしてください。
【ケース①】
土地購入の際に測量図もあり、登記簿上の面積100㎡という内容で購入。しかし、建物を新築にあたり設計士が現地を調査してみると面積が小さい事が判明。面積自体は約20㎡ほど小さく80㎡しかなく、致命的。このままでは、希望の建物が建築できない。
結果:まず、売主に土地境界について聞き取りを行うも不明売主自体もこの不動産を5年程前に購入している。それ以前も5~8年程で所有者が3回ほど変わっている。短い間で所有者が何人も変わっている為、その方向からの調査は非常に難しくなる。
問題が起きている境界と思われる隣地の所有者に事情を聴きにいくと、こちらは40年程所有を続けている方でした。ただ、3カ月ほど前に相続が発生して相続人が住んでいました。当然、昔の経緯などは良くわからない。との事でしたが資料など無いか探して貰いました。
しばらくして、土地の契約書(個人間の)と測量図が出てきました。その書類からは、確かに約20㎡の売買が20数年前におきていた事がわかりました。その時、境界などは動かしていたのにもかかわらず、登記はされていなかった事が判明しました。
今では考えられませんが、個人間で土地の売買をして、境界を変えそこまでは良いのですが、登記がされず放置されていた。その後、土地を売った方の地主が、事情を知らずに売買を重ねてその間、建物の新築なども行われなかった為に、問題が露見しませんでした。
顛末等:この土地を購入した方は「目的が達せられない」事を理由に土地の購入を解約しました。この処理も簡単にはいかない事がありますので、今回はラッキーな面もありました。
問題:古い話になればなるほど、このようなケースも多くなります。前回もお話しした通り、日本の不動産の価値や使い方がこの50年足らずのうちに、激変しています。
ましてや登記簿謄本という「土地の戸籍」の様なシステムはあってももともと個々の測量図は無かったシステムからスタートしている事。境界の杭や測量についての精度やシステムが年々変わってきている事。測量や境界、登記についても強制の無いシステムの為、全ての動きについての同期が取れていない事も原因でしょう。
【ケース②】
事案:相続で取得した土地を兄弟で遺産分けする為に売却する事に。不動産を売却するについて、境界等が不明確な部分があり、測量などをする事になりました。実際に、測量等を始めると4軒のお隣さんの内、1軒だけが文句とともに立会い確認を拒否してきた。
この為、その問題が解決できないと売却も出来なくなる恐れがでる。因みに、この土地は40年ほど前から住んでいる土地。周りの方も古くからお住まいの方ばかり。当事者の兄弟も、子供の頃はこの家に住んでいたが、結婚などで今は皆別の場所に住宅を持っている。
顛末等:亡くなった父親と隣近所の付き合いはどうかと、母親に聞いてみたところ問題はなく、心当たりはないとの事。いずれにしても、境界上で揉めている様な形だと売却の際にも悪い影響が出てしまう。更に、正確な面積の特定もできない…。お隣の奥さんなどを通じて話を重ねる事で何とか理解を得る事ができ測量が出来る事になりました。
後でわかった事ですが、お隣のご主人は当事者の兄弟が子供の頃にあった騒がしさなどに大きな不満を持っていた様で、ましてや父親が亡くなるとスグに不動産を売却しようとしている事などを悪く想像していた様で、その後母親と長男が同居する為に売却する事などの事情が伝わる事などから軟化した様です。
問題:相続に備えて何かをする…。と言うのは、日本ではなかなか進まない社会の傾向があります。しかし、ケース①・ケース②ともどこかのタイミングで測量などを専門家に頼んで、近隣との関係が良好な時にやって置けば、無駄な時間などが解消されていたハズだったりします。
無駄な時間だけで済めばいいですが、場合によっては裁判にまで発展してしまうケースも少なくはありません。境界の問題は、両者が得をする結果には絶対になりませんから。
売り始めてからや、建物を建築しようとする時になってからだとこちらが若干弱くなってしまったりと、うまくありません。後の事を考えれば、「転ばぬ先の杖」と考えてください。
※他にも、裁判になっても揉めに揉めているケースもあります。
決して他人事ではありません。できたら一度は確認して見てください。
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この記事を書いた人
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