不動産業界の「闇」についてのお話し その2
ウチコミ!タイムズ編集部
2013/04/06
前回の続きになります。では、何故「一般媒介」で契約する業者がいるのか?
~前回お話ししていた様に、不動産業者としてはどんな場合でも、専属、専任媒介契約の方がいいのはご理解いただいていると思います。
同じレベルで媒介契約を結んでいる業者が沢山いると言う事は、状況の確認をする為には毎回、売主さんに直接連絡しなければわからない上に、連絡が取れなければ問合せ頂いている顧客にも返事もできず、いつ物件が無くなってしまうかもわからない。非常に扱いにくくもあります。
~この「一般媒介」という形態で不動産業者が契約を結ぶのは、あくまでもこれから何かの機会に専属や専任媒介に切り替えるチャンスを狙っているだけの事です。「一般媒介契約」のほぼ99%までが、売主さんからの希望で契約しているケースが殆どです。
要するに、一般の方が選択している契約形態なんです。「一般媒介契約」が決していけない訳ではありませんが契約を希望しているお客様が、期待している効果などがないとしたら、はなはだ問題ではないでしょうか?どんなふうに問題なのか?
~わかりやすく、一つの例でお話ししましょう。
例えば、今ここに2000万円が相場の中古住宅があったとしましょう。持ち主の方は、周りの相場とか特に詳しい訳ではなく、一般媒介の方が自由に何社にも頼めるから有利だろうと、一般媒介を5社に頼んだとします。売却金額も2500万円でと、3社に依頼しました。ここで、どんな事がおきるか?
~どの不動産業者もプロですから、このままでは売れない予測は立てられます。実際500万円も相場より高ければ反応もないかと思います。下手をすると、3社とも広告物件として使う事もせずに前回お話しした、不動産流通機構のサイトにも登録すらせずに、完全放置しているかもしてません。そんな状況があったとしても、契約した売主さんは、それを知るすべもありません。
そんな事をして業者のメリットは?
~実は、メリットがあるんです。ここで示した一例は、決してレアなお話ではなく、どちらかと言えば良くある話ぐらいの頻度と思っていただいた方がより正確と思います。
基本的に、相場より500万円も高い物件ですから、スグにお客様は付きません。もっと相場に近い金額でなければ広告・営業などの活動をしても、回収の見込みが立ちません。
それを放置するのは、市場の反応がなく、時間が経過すれば売主さんも値段をさげる判断をしてくれるのでは?という誘因を、売主にキチンと知らせずに行います。そんな事では、売主さんに信用されないのでは?
~そこは、不動産業者もただぼう~としている訳ではありません。機会がある度に、お客さんを連れて物件を見にいきます。「えっ!どうやって?」と思うでしょうが、相場より高い物件は、自分が本当に勧めたい物件の当て馬の様に使えるんです。
以前にもお話しした事がありますが、例えば次のように「この周辺は、中古の物件でも、2500万円もするんです!」「先ほどご覧いただいた物件は、お買い得ですよ」などと、いわゆるダシのように、使います。それでも、その持ち主にとっては「お客さんを連れてきた!」となりますから、それを重ねておけば、感謝される訳です。
酷い話ですが本当の事です。こんなお客さんでしたら、何客連れてきたとしても絶対売れるわけがありません。でも、お客さん側から見たら、あの業者さんは真剣に頑張ってくれている。すると、その業者の言っている意見は聞いてしまう。
結果、その業者さんの術中です。専任に切り替えて、値段を下げて…。これだけとお思いですか?
~「一般媒介」を結んでいる業者は、普段どういう行動を取っているかご存知ですか?例えば、「一般媒介」を結んでいない業者さんが、その物件を問合せた際に、具体的なお客様がいない問合せだったりすると物件の住所を教えない…。なんて事を日常的に行ってます。
売主さんにしてみれば、完全な「機会損失!」なんで、そんな事をするの?
~この業界の病んでいる部分でもあります。要するに、物件の住所を他業者に教えてしまうと、その不動産業者が売主さんの所に「うちにも売らせてください!」などと営業をかけられてしまう。という恐怖からです。この構図を不動産業界では「ヌキ行為」という呼び方でご法度としています。
でも、ちょっと待ってください。この行為って、法律に触れます? 商法に抵触します?お客様は、売主さんです。その方が判断する事ではないでしょうか?こういった事が毎日当たり前の様に起こっているんです。
※お客様にキチンと説明もせず、いい顔をして、さも努力をしている様にみせて、自分たちの都合のいい方に誘導する。本当の売主さんの要求は、売り物件の情報を広く広めて、出来るだけ早く、出来れば少しでも高く売りたい…。という事です。
しかし、現状では売れなくても、機会損失をしても、時間がかかっても不動産業者は損失がありません。これは、大手不動産業者でも中小でもぜんぜん大差ありません。かえって、大手の方がもっとひどい事を平気でしています。
次回はその話もしてしまいます。
【「一般・専任・専属専任」媒介契約記事まとめリンク】
不動産売買の媒介契約について
「一般媒介」という契約形態の落とし穴
何故「一般媒介」で契約する業者がいるのか?
専属よりも専任媒介契約が選ばれる理由
不動産業界の「闇」についてのお話し
不動産業界の「闇」!
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この記事を書いた人
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