賃貸住宅オーナーさんに必須な「街の比べ方」とは?
ウチコミ!タイムズ編集部
2020/01/27
「本当に住みやすい街大賞2020」(関東)と題されたランキングが、昨年(2019年)12月に発表され、話題を呼んでいます。賞を主催しているのは、住宅ローン専門に金融を行うアルヒ株式会社です。
「理想ではなく、実際にその地域で生活するという視点から本当に住みやすい街を選定する」との主旨のもと、
・住環境
・交通利便
・教育環境
・コストパフォーマンス
・発展性
以上5つの基準により、同社が持つデータを分析。さらに専門家による選定委員会がこれを審査し、街(駅)のランキングを行うというものです。結果はこのようになっています。
1位 川口(JR京浜東北線)
2位 赤羽(JR埼京線)
3位 たまプラーザ(東急田園都市線)
4位 柏の葉キャンパス(つくばエクスプレス)
5位 入谷(東京メトロ日比谷線)
6位 王子(JR京浜東北線)
7位 武蔵小金井(JR中央本線)
8位 小岩(JR総武本線)
9位 ひばりヶ丘(西武池袋線)
10位 東雲(東京臨海高速鉄道りんかい線)
ご覧のとおり、1位は川口ですが、この結果がインパクトを呼び、「地元川口の人が不思議がっている」といった反応までが報道に取り上げられるなどしています。
ちなみに、こうした住みたい街系のランキングとして、もっとも有名なものといえば、「SUUMO住みたい街ランキング」が挙げられるでしょう。リクルート住まいカンパニーが毎年公表しています。
このSUUMOのランキングは、いわゆる人気投票です。住みたいけれどもなかなか住めない憧れの街や、ビッグターミナル等の有名駅が上位にのぼる傾向が見られます。たとえば「2019 関東版」のTOP3を覗くと、このようになっています。
1位 横浜
2位 恵比寿
3位 吉祥寺
一方、SUUMOと並ぶ不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」からは、「データで見た住みたい街ランキング」が発表されています。
こちらは人気投票ではありません。「LIFULL HOME’S に掲載された賃貸物件・購入物件のうち、問い合せの多かった駅名をそれぞれ集計」ということで、実際のユーザーのアクションが順位のもとになっています。
そこで、「2019年 首都圏版」のTOP3を見ると…
「買って住みたい」
1位 目黒
2位 八王子
3位 恵比寿
「借りて住みたい」
1位 池袋
2位 川崎
3位 中野
と、いった顔ぶれです(これとは別に人気投票型のランキングも公表されています)。
なお、前記SUUMO・人気投票の方での1位「横浜」ですが、LIFULL HOME’Sでのランキングを見ると…、なんと買って住みたい・借りて住みたい、いずれにおいてもTOP10どころか20位以内にも見当たらないという結果です。
人気投票と、現実のユーザーの動きとの間には、さまざまな理由から、こうした大きな違いが見られるケースもあるわけです。そのほかにも、街や駅、各自治体の人気、暮らしやすさなどを測るランキングについては、いろいろなものがあちらこちらで公表されています。
それらの調査方法や評価方法については、似ていたり、独自性があったり、やはりさまざまなのですが、ここで、賃貸住宅オーナーさん向けに完全特化した(?)ある「街(駅)の比べ方」をご紹介したいと思います。
2つのポイントをぜひおさえてください。まずひとつは、「礼金がもらえる街かどうか」です。礼金がもらえる(もらえやすい)街か、そうでないかは、賃貸市場においてはとりわけわかりやすい、その街の人気をはかる尺度です。
ご存知のとおり、われわれオーナー側がいうのもなんですが、賃貸住宅の礼金は、いまひとつ根拠のわからない、説明しがたい慣習であり、コストです。入居者さん側からの評判は、当然ながら非常によくありません。
ですので、物件がダブつくなど、マーケットが借り手有利の状況になってくると、真っ先にこれが削られていきます。いわゆる「礼ナシ物件」の出現です。逆にいえば、礼金をもらえる物件の割合が高い街・駅は、これを払ってでも住みたい人が多い人気の街・駅ということになります。すなわち、投資先としては有望な市場です。
そしてもうひとつ、おさえておきたいもの。それは「フリーレント」です。礼金がもらえるのとは逆で、フリーレントを設定している物件の割合が高いエリアは、そうでもしないとなかなか競争を勝ち抜けないことを示すエリアです。
住む人はいても新築に集中しがち。築年数が増していくごとに需要が駆け足で退いていく…。そんな街で、フリーレント設定率は高まる傾向が見られます。当然ですが、投資の対象として有利な場所ではありません。
では、この礼金設定率とフリーレント設定率、どうしたら把握することが出来るのでしょうか? 方法はとても簡単です。ポータルサイトを利用するのです。さきほども触れた、SUUMOやLIFULL HOME’Sといったポータルサイトで、まずは条件を定めずに、当該駅の全物件を検索してみます。すると、物件情報とともに、その総数が表示されるはずです。
次いで、検索条件に「礼金なし」あるいは「フリーレント」を設定し、再度検索をかけてみてください。さきほどと同様、物件情報とともに検索後の総数が出てきます。
以上、それぞれの総数から、礼金なしやフリーレントを設定している物件の、その駅での割合がつかめます。借りて住みたいと思っている人が本当に多い街(駅)、少ない街(駅)が実態に近いかたちで把握できるというわけです。
なお、数字の比較は、必ず同じポータルサイトのデータ同士を突き合わせて行ってください。サイトごとに、物件の数え方に違いがあるためです。
(文/朝倉継道 画像/123RF)
この記事を書いた人
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