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管理会社の導入でオーナーさんは楽に。

でも入居者さんにはストレスに?

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「自主管理が少しキツくなってきた。管理会社の導入を考えようかな」そんな思いでいらっしゃる、シニア世代のオーナーさんも多いことでしょう。もちろん、シニアの皆さんだけに限りません。若いオーナーさんも同様です。

自主管理オーナーにとって、管理会社による物件管理の導入は、仕事を楽にし、時間を作ってもらえることでは、メリットの大きな選択肢です。ですが、オーナーさんは楽になっても、入居者さんは…?

残念ながら、入居者さんにとっては導入がさっぱりメリットになっておらず、逆にストレスが増しているケースも見られます。すなわち、顧客満足がレベルダウンした状態です。

そこで、以下にご紹介するのは、ある賃貸物件にお住まいの入居者さんからいただいたお話です。一例ですが、ぜひご参考にされてください。

物件は、8室の小さなマンションです。その物件では、約半年前より、オーナーさんのご意向により管理会社が導入されました。それ以前は、オーナーさんが完全自主管理されていたとのこと。

そんな物件で、ある日、入居者さんのもとへ、オーナーさんから突然の手紙が届いたそうです。開けてみると…

「○月より管理会社の管理に変わります」

加えて、管理会社からの挨拶状も同封されていたそうです。さて、問題はそのあとです。当該マンションでの住み心地がどうなったかといえば…

「ストレスが増えました」
尋ねると、3つ挙がりました。

1.家賃が銀行引き落としになり、毎月手数料を取られるようになった
2.切れた照明がまったく取り替えられないようになった
3.物件のエントランスに管理会社の大きなプレート看板が貼り付けられた。みっともなくてうんざり…

まず1です。

家賃は、管理会社が導入されるまでは、入居者さんが毎月オーナーさんの口座へ振り込む契約となっていたそうです。ただし、今回お話をうかがったこちらの入居者さんの場合、振込手数料はゼロで済んでいました。

なぜならば、こちらの入居者さんはご自身の銀行口座にある程度の額の預金を維持しているため、他行への振込手数料が毎月一定回数無料となるのです。

ところが…

「管理会社から、これからは銀行引き落としだ。楽になるだろう。代わりに手数料を負担せよと、一方的な書面を送りつけられました。仕方なく従いましたが、心象は大変悪いです。金額こそ1回に数百円程度ですが、随分強引なやり方だなと、とても嫌な感じです」

そこで、実際の書面を見せてもらいました。言葉使いこそ丁寧ですが、なるほど、「今後は銀行引き落としにする」以外に、選択肢は示されていません。強引との印象もこれでは無理がないようです。

とはいえ、この案内が実際に強制だと、当物件の場合は賃貸借契約書に定められた内容を勝手に変えることになります。そのため、入居者さんが「今後も振込みを続けたい」ということであれば、それは当然可能なはずです。

ですが、その選択肢があることは、繰り返しますが、文中のどこにも示されていませんでした。次に2です。「切れた照明が取り替えられない」です。

自主管理から管理会社の管理に変わると、たびたびこうしたことが起こります。真面目な自主管理オーナーさんは物件をよく見に行きます。週に1度ならず2度ならず、掃除に出向きながら、夜も散歩がてら、設備や備品の様子にも細かく気を配ります。ですが、同じレベルでこれができる管理会社は、仕方ないことですが、ほとんど存在しません。

ですので、この物件の場合も、オーナーさんが自主管理されていた頃と現在との間に、ギャップが生じているのです。

なお、問題の照明ですが、共用階段の途中にあります。なんと、もう4ヶ月以上切れたままなのだとか。つまり、この管理会社は、入居者さんから連絡もしくは苦情があるまでは、備品の取り替えについては「待ち」のスタンスを決め込む会社なのです。

一方、オーナーさんの方もいまは管理を手離れさせ、すっかり安心しきっているのでしょう。以降、物件をおそらく一度も見に来られてはいないようです。同じようなギャップは、掃除のレベルにもよく表れます。自主管理時代の管理・清掃が丁寧だった物件ほど、入居者さんの目には落差が目立つことになるわけです。

さらに3です。

「エントランスに管理会社の看板が貼り付けられた」です。管理会社がよく行うアピールです。空室発生の際は、一応これがきっかけとなって、問合せが入ることもないではありません。あるかも知れません

しかしながら、元々デザインに優れた建物や、外構・外壁の塗色が美しい物件でこれをやられると、入居者さんは本当にがっかりです。しかも、築古の場合も、なぜか見かけが一段と貧相になります。まさに「みっともなくてうんざり」の状態になりがちです。

以上。最後にこうお尋ねしてみました。

「管理会社導入とともに、24時間駆けつけサービスは導入されましたか?」

答えは「NO」でした。管理会社の管理メニューにこれが入っている場合、入居者さんにとってはたしかにメリットです。設備の故障、事故、災害と、緊急の際はとても頼りになり、安心です(事業者のレベルにもよります)。

ですが、答えは上記のとおりでした。結果、メリット0からストレス3を引き、スコアはマイナス3。

「次の更新は半年後です。退去を検討します」

その意向を入居者さんはかなり強められた様子でした。


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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この記事を書いた人

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