揺れるレオパレス21への募る不信感と経営問題(3/4ページ)
大谷 昭二
2019/12/29
オーナーの告発によってはじまったアパート施工不良問題
このアパート施工不良のトラブルである「界壁施工不備」は、どのようにして、明らかになったのでしょうか。その経緯を見ていきましょう。
・18年3月29日および4月17日に2名のオーナーから、確認通知図書との相違の指摘を受け界壁施工不備が発覚。
・5月25日、国土交通大臣が会見にて、特定行政庁が建築基準法違反と判断した物件については、違反状態を速やかに解消するよう指導し、必要に応じて免許権者である国、または都道府県が建築士を処分すると答弁。
・19年7月12日、消防庁の発表によると、レオパレス21が施工した267棟の共同住宅において、界壁が耐火構造または準耐火構造に、外壁または天井部が準耐火構造に不適合であり、消防法または火災予防条例の基準に違反する恐れがあること、加えて、レオパレス21が施工した3964棟の共同住宅についても*建築構造等を調査中であることがレオパレス21から報告された。
これに加えて基礎工事についての疑惑も指摘されています。この問題もまともに調査すればさらに数多く出ると予想されています。
ここまでに明らかになった不良物件の詳細は以下のようになっています。
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〈19年11月末時点で明らかになった問題物件の状況〉
全棟数 調査対象棟数 調査判定済み棟数 明らかな不備棟数 改修工事
着手棟数 完了棟数
39,085 38,517 37,999 13,517 4,004 896
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レオパレス側では、約3万9000棟に上る全物件の調査を10月末にほぼ終え、法令違反の疑いのある約1万3000棟を含め8割近くで何らかの不備が見つかりました。同社では耐火などの改修・補修を進めていますが、2020年3月期だけで改修費など100億円を特別損失として計上。工事の進捗(しんちょく)次第では来期にも追加損失が発生する恐れがあります。
とはいえ、改修施工は遅々として進んでおらず、この先が見えない状況に嫌気をさし、ソフトバンクグループは手を引いたのはないかと言われています。
この記事を書いた人
NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事
1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。