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物件にこんなキケンはありませんか?

入居者さんの命に及ぶことも!

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イメージ/123RF

先日、沖縄でこんな事件がありました(2019年10月)。那覇市の4階建て鉄筋コンクリート造マンション(報道ではアパート)の3階外廊下が崩落したのです。写真を見るとかなりゾッとする光景です。

居室のドアを開いて外へ出る一歩目、その足元部分の床がまるごと無くなっているのです。万が一、これに気づかずに住人が外に出ようとすれば、そのまま真下へ一直線です。この事故では、部屋から出られなくなった70代の入居者さんが駆けつけた消防署員に救助されています。物件は築46年とのことです。

似たような事故は、2016年に北海道の函館でも起きています。こちらでは2階外廊下の床が抜け落ちました。一挙に6人が落下し、重軽傷を負っています。

なぜ6人も?

実は、この皆さんは全員警察官でした。自殺をはかった住人を止めるために駆けつけたところ、起こった事故でした。ザ・ドリフターズがかつて演じていたコントのようだと、当時話題になりましたが、笑いごとではありません。2人が骨折しています。また、もしもこの際、騒ぎを気にして1階の住人が廊下に出てきたりしていたならば、死亡事故となっていた可能性も高いでしょう。6人を乗せた床の下敷きです。

賃貸住宅には、入居者さんの命にかかわるような危険が知らず知らずのうちに潜んでいることがよくあります。代表的な例を挙げてみましょう。

■外廊下や外階段・ベランダまわりの劣化、腐食

上記の例に示すとおりです。崩落が起こってニュースになるなどしなくとも、鉄製の外階段や、手すりなどでも、事故はおそらく全国で無数に起きているものと思われます。

■電気コンロ、特に飛び出したタイプのスイッチ

うずまき状のヒーターが発熱するタイプの電気コンロが、以前の賃貸住宅、特に単身用の物件ではよく見られていました。高温を発しても炎が見えないため、火災や火傷など、事故を起こしやすい設備として知られています。このうち、特に危険なのが、スイッチの周りが囲まれておらず、むき出しになったタイプのものです。人の体や物が触れた際、偶然スイッチが入ってしまいやすいのです。実際に火災事故の発生が報告されています。

■換気扇の故障

換気扇が動かなくなってしまうことで、特に問題が起きやすいのが、瞬間湯沸かし器が設置された物件です。一酸化炭素中毒が起こりやすくなり、入居者さんの命が危険に晒されます。瞬間湯沸かし器が付いているような、古い、すきま風を通しやすい物件でも、リフォームされることで気密性が高まり、換気扇なしでは危険な状態になっていることもよくあります。

■瞬間湯沸かし器

さらに、換気が必須の使用条件である瞬間湯沸かし器自体が、賃貸住宅に取り付けるにはいまは危険といわざるをえない設備です。最新型の瞬間湯沸かし器には、それでも事故が起きないようさまざまな安全装備が施されています。ですが、古いものになればなるほどそうなってはいません。

さらに、古ければ古いほど、それら安全装置自体が正常に動かなくなるケースも増えてきます。一方で、瞬間湯沸かし器の危険性を知らない世代もいまは増えてきています。生まれた時から家には屋外型の給湯器が付いていて、瞬間湯沸かし器を触ったことがないという皆さんも少なくないのです。オーナーは、自らが知る常識は誰もが知っていると思わず、徹底した入居者さんへの注意喚起が必要です。

なお、危険を避けるもっともよい方法は、瞬間湯沸かし器を外して屋外型の給湯器に換えることです。ただし、新規の配管が必要となるので、通常はそこそこ大きな工事となります。

■浴室内設置型の風呂釜

瞬間湯沸かし器と同様です。燃焼を浴室内で行う古いタイプの風呂釜に、一酸化炭素中毒や火傷などのリスクが集中しています。扱い方を誤ると排気の逆流が起こる可能性のある自然排気式(CF式)、その危険性をとりあえず解消したバランス釜、さらに改良を加えた新型のバランス釜と、新しいものほど安全性が高まってはいるのですが、これらを扱ったことのない人が増えた現在、誰にでも注意喚起なしで使ってもらうのはすでに危ない時代となってきています。

■漏電

入居者さんから、漏電ブレーカーが落ちるとの報告を受けたのに、何もしないで放っておいたオーナーさんがいたという話を聞いたことがあります。漏電ブレーカーの存在と意味をご存知なかったのか、応急処置をしたとの入居者さんの言葉を聞いて(該当回路の安全ブレーカーの停止)、問題がすべて解決したものと思い込んでしまったようです。

漏電ブレーカーは、誤作動でない限り、どこかで漏電が起きているため作動します。火災等の大事故に結びつかないよう、原因の徹底究明が必要です。

■ロフトのはしご

入居者さんの高齢化が進んでいる現在、ロフト付き物件のはしごは大変危険な存在となってきています。落下事故が起きないよう、階段化するなどの対策が必要です。ただし、法令上の制限があるため、階段化に関しては、事前に自治体への相談が必要です。

以上、賃貸住宅内に知らず知らず潜んでいる「命の危険」について挙げてみました。まとめるとご覧のとおり、


・古い物件にはリスクが多い
・物件が古くなるとリスクが増える

絡み合う2つの現実がよく判ります。さらに、もうひとつリスクが重なるとすれば、それは、オーナーさんの対応です。賃貸住宅の事故では、入居者さんから修理を求められていたのに、なぜかオーナーが放置、そのうち不安が現実化したといった話がよく聞かれます。

その場合、オーナーが責任を免れることは、事前に動いたケースに比べ格段に難しくなります。「危険を知ったらすぐ行動」の態勢をつねに整えておくことが肝心です。


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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この記事を書いた人

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