雑な「ペット可」はトラブルの温床
ウチコミ!タイムズ編集部
2019/11/27
スウェーデン発祥の家具量販店「IKEA」の日本法人イケア・ジャパン株式会社が、ペット用品シリーズ「LURVIG/ルールヴィグ」の新商品を発表しています。これを加えたラインナップを10月1日(2019年)より、全国のイケアストアで販売しています。
プレスリリースされているニューアイテムは、以下のとおりです。
ペット用ベッドカバー
…別売りのベッド用。取り外して洗濯機で洗えるので手入れが簡単
同・ブランケット
…車の中でも使いやすい防水素材を使用
同・旅行バッグ
…移動中のペットの安全を確保。目的地に到着後は快適なベッドに
キャットハウス
…IKEAの定番収納アイテム「カラックス シェルフユニット」に収まるサイズ
キャットハウス スツール用
…人間用の椅子「マリウス スツール」の下に収まるサイズ
リバーシブルフードボウル
…ひっくり返すことで、大小2種類のボウルサイズを選択可能
ところで、イケアのサイトにはこんなことが書かれています。「イケアで製品のリスクアセスメントに携わるBarbara Schäfer博士は経験豊富な獣医師でもある」そこで、そのBarbaraさんおっしゃるに、
「最大のチャレンジは、ペット用品に人間の視点を当てはめないことにある」
とのこと。
「寝る・食べる・遊ぶといった行動をその動物がどう行うのか、彼らのニーズや動きを起点にすることが大切」
「そこをおさえて初めて、スタイルや形状などを人間のニーズにも見合うものにしていける」
のだそうです。さすがイケアですね。どの商品も考え方のバックボーンがしっかりしています。以上の「LURVIG/ルールヴィグ」コレクションについては、こちらのサイトでご覧になることができます。
さて、ペットといえば、賃貸住宅の世界ではいわゆる「ペット可」物件にまつわる話題が色々とあります。そのうち今回は、トラブルの話です。ただし、定番の「原状回復」ではありません。
オーナーさんの安易な判断や、詰めの甘い雑な取り決めが、ペットを飼う入居者さんやそうでない入居者さんに、とんだ混乱を及ぼすことがあるというお話です。以下は、もっとも代表的な2つのケースです。
既存の入居者さんを無視してペット可に
その物件は、もともとペット可の物件ではありませんでした。ですが、長引きがちな空室への対策として、オーナーさんは、懇意の仲介会社に勧められるまま「ペット可」での募集を開始したのです。ところが、そのことはすでに住まれている入居者さんにはまったく知らされていませんでした。
オーナーさん曰く、「その辺は仲介会社がやるだろう」仲介会社の方はといえば、「ウチは管理会社じゃないからそちらは所管外」そんなスタンスです。
そのため、ほどなく新しい入居者さんと以前からの入居者さんの間でトラブルが発生してしまいました。
「この物件はペット不可だ」
「何の言いがかりですか。契約書にペット可と書かれてます」
周囲も巻き込んでの言い合いとなり、「じゃあウチも飼う」「それはやめて」の大騒ぎです。ペット不可の物件をペット可にする場合、既存の入居者さんの納得をいただくことは必須です。絶対に欠かしてはいけません。
中には、深刻な動物アレルギーをお持ちであるなど、「この物件でペットを飼う人は現れない」ことを前提に、ペット不可の物件に住まれている方もいらっしゃいます。
曖昧なルールが予想外の事件を誘発
ペットと聞けば、大抵多くの人は犬か猫を想像します。少し範囲を広げて、ウサギやハムスター、小鳥といったところです。
ですが、飼う人にしてみれば、ヘビや毒グモ、サソリなども可愛いペットです。大きな鳴き声を出す鳥を飼う人や、大型の水槽を部屋に置いて、何十センチもある熱帯魚の泳ぎを楽しむ人もいます。
そのため、物件をペット可とする場合、どんなペットならOKなのか、種類やサイズなどを細かく規定しておかないと、あとでとんだトラブルやハプニングを誘発します。あるオーナーさんは、ペット可で募集した物件で、入居者さんにヒツジを飼われてしまったそうです。
メエメエと鳴き声が響き渡り、さすがに勘弁してくれということで、他の入居者さんがクレーム。ですが、飼う方にしてみれば、たしかにヒツジも可愛いペットです。
毒グモが逃げ出せば物件内は大騒ぎです。猫や小型犬に限定すれば必ず安心というわけでもありません。数を制限しておかないと、多頭飼いする人が出てきたときに問題となります。
そのため、物件をペット可にする場合、ペットの種類やサイズ、数の規定は、必ず忘れずに行っておくことです。
そのうえで、
・入居時に飼っていたペット以外のペットを新たに飼おうとする場合
・入居時にペットを飼っていなかった入居者さんがペットを飼い始めようとする場合
決まりに沿っているかを確認するため、必ずオーナー(あるいは管理会社等)へ事前報告の旨、契約に盛り込んでおくことがおススメです。
以上は、物件を窮屈で不自由な場にするためでなく、トラブルが起こることによって、窮屈でギスギスした場所にならないようにするための提案です。
(文/朝倉継道 参照元/イケア・ジャパン株式会社)
この記事を書いた人
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