若者の叫びがアンケートから聞こえる?
ウチコミ!タイムズ編集部
2019/10/26
イメージ/123RF
ひとり暮らしの学生には、6畳の部屋よりも3畳ロフト付きでバス・トイレ別の「超狭小部屋」の方が人気の傾向…! え、それってつまりどういうこと? こういうことなんです。
まず、以下、A、B、2つの部屋があるとします。
A. 6畳+3点ユニット
(居室は広いがバス・トイレが一緒)
B. 3畳+ロフト+バス・トイレ別
(居室は狭いがトイレは単独で独立)
この両方の部屋を間取り図も添えて示した上で、回答者であるひとり暮しの学生・社会人に対し、
・今後住み替えるとしたら
・家賃など、表記されている以外の条件は同じものとして
・A、Bどちらを選びたいですか?
と、尋ねてみたのです。
この調査を行ったのは、ポータルサイト「SUUMO」でお馴染みの株式会社リクルート住まいカンパニーさんです。学生さんの答えはこう出ました。
A(居室は広いがバス・トイレが一緒)を必ず選びたい …11.3%
A(〃)をかなり選びたい …25.4%
A(〃)をやや選びたい …9.5%
…A派は合計で 46.2%
B(居室は狭いがトイレは単独で独立)を必ず選びたい …24.2%
B(〃)をかなり選びたい …1.8%
B(〃)をやや選びたい …17.7%
…B派は合計で 43.7%
A、Bどちらともいえない …10.1%
ご覧のとおり、A派とB派の数字は拮抗していますが、それぞれを「必ず選びたい」とする、譲れないスタンスの方々となると…
(再掲)
A(居室は広いがバス・トイレが一緒)を必ず …11.3%
B(居室は狭いがトイレは単独で独立)を必ず …24.2%
このように、B派がA派の倍以上となっています。このデータをもって、今回、リクルート住まいカンパニーさんは、「2018年度 賃貸契約者動向調査」報告書のトップに、本記事の冒頭に挙げたトピックを掲げているといったかたちです。
つまり、部屋は超狭い3畳間…でも、
・ロフトがあって多少の物は置ける(人によってはここで寝るでしょう)
・バスとトイレが別だ
と、いうことであれば、「バス・トイレが一緒の6畳の部屋よりも、絶対にこっちがいい」と考える人が、学生さんの場合にかぎっては、4人に1人程度におよぶという結果です。すなわち、この皆さんの気持ちはこうでしょう。
「バス・トイレが一緒だけは、極力避けたい!」…です。一方、この数字ですが、社会人も含めた回答者全体(調査数307)ではこうなります。
A(居室は広いがバス・トイレが一緒)を必ず選びたい …20.0%
B(居室は狭いがトイレは単独で独立)を必ず選びたい …13.5%
すなわち、「Aを必ず」が優勢です。ところが、年代を若い10~20代に区切るとこうなります。
A(居室は広いがバス・トイレが一緒)を必ず選びたい …15.3%
B(居室は狭いがトイレは単独で独立)を必ず選びたい …15.7%
ご覧のとおり拮抗しています。ここで、こんな経験が頭に浮かぶオーナーさんや、賃貸住宅業界関係者も多いことでしょう。
「学生さんの部屋選びがいまは贅沢だ。バス・トイレ一緒や、洗濯機置き場がベランダにあるなんて見向きもしてくれない。親御さんは大変そうだ」
「学生さんねらいで大学近くのバス・トイレ一緒の築古物件を買ったところ、入居してくれたのは年配の方ばかりで意外だった」
そんな声をおおむね裏付ける、今回の調査ともいえそうです。なお、これだけに終わりません。リクルート住まいカンパニーさん、何やらダメを押すように、次にはこんな質問を掲げています。
A. 6畳+バス・トイレ一緒
B. 6畳+トイレ独立+シャワーブース(バスタブなし)
このどちらを選びたいですか?と、いうのです。つまり、今度のBは、さきほどの場合のように、Aよりも部屋が狭くはありません。しかもトイレは独立しています。ただし、バスタブは無いのです。どうなるでしょうか?
ここで、「バスタブでお湯には浸かれなくても、トイレが独立してくれている方がまだうれしい」と、する答えが優勢だと…今回の調査対象者の皆さんにおける「バス・トイレ一緒」への厳しい評価が、さらに浮き彫りになってきます。
結果はこうなっています。
学生:
A(6畳+バス・トイレ一緒)を必ず選びたい …6.6%
B(6畳+トイレ単独・ただしバスタブ無し)を必ず選びたい …26.0%
10~20代:
A(6畳+バス・トイレ一緒)を必ず選びたい …6.4%
B(6畳+トイレ単独・ただしバスタブ無し)を必ず選びたい …19.1%
30代:
A(6畳+バス・トイレ一緒)を必ず選びたい …11.1%
B(6畳+トイレ単独・ただしバスタブ無し)を必ず選びたい …19.2%
40代以上:
A(6畳+バス・トイレ一緒)を必ず選びたい …24.0%
B(6畳+トイレ単独・ただしバスタブ無し)を必ず選びたい …10.8%
ご覧のとおりです。学生さんのみならず、学生を含む10~20代や、30代においても、「Bを必ず」派(すなわちトイレ独立派)が、「Aを必ず」派を大きく上回っています。さらに、A、Bそれぞれを「かなり選びたい」「やや選びたい」とする回答を含めても、結果は以下のようなかたちです。
学生 A派…22.5% B派…63.3%
10~20代 A派…30.1% B派…54.2%
30代 A派…34.7% B派…45.7%
40代以上 A派…47.4% B派…32.6%(唯一A派が優勢)
以上の結果に対して、多くの説明は必要ないでしょう。
・若い世代ほど避けたがる、バス・トイレ一緒の3点ユニット
・この傾向は、これら若者と続く世代が年齢を重ねるごとに、さらに市場全体に及んでいくのではないか?
こうした事実と予測が、今回の調査では如実に示されたかたちとなっています。
(文/朝倉継道 画像/123RF)
この記事を書いた人
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