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賃貸に住んでも得る価値なし?

オーナーと入居者は、共に幸せを創り出せるパートナー

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住宅を購入するならば…

・あとで売らなければならなくなるケースのことを考えよう
・売却時のことも半分は頭に入れておこう

そんな主張を「リニュアル仲介株式会社」が、自社が実施したアンケート結果を踏まえて行っています。


たとえば、家を買ったあと、

・離婚した
・パートナーと死別した
・ローンを払えなくなった
・高齢者施設へ入居せざるをえなくなった

これらは「誰にでも起こり得る話だ」と、したうえでの上記のススメということです。


なお、同社は、「住宅購入者に徹底的に寄り添うバイヤーズエージェント」を旗印に、既存住宅流通の活性化を主な事業として展開、不動産情報配信サービス「物件提案ロボ」の提供などを行っている会社です。

こんな結果が挙がっています。


「自宅の購入は、駅から徒歩何分まで許容できますか?」

5分まで …6.8%
7分まで …15.2%
10分まで …32.0%
15分まで …23.4%
20分まで …10.8%
(もっと遠い)バス便使用でもよい …11.8%

以上のとおり、10分を超える時間でも許容できると回答した人が46%にのぼっています。


しかもそのうち約4分の1は「バス便でもよい」とのこと。


ですが、それに対して、リニュアル仲介さんは、

・駅からの距離は、住宅の資産価値にもっとも影響をおよぼすポイント

・家を手放さざるをえなくなるような、人生のネガティブイベントが起きたときのことを思えばそれではリスキー

・いざというとき、少しでも家が高く売れることでダメージが抑えられるよう、リセールバリューのことをしっかり考えて住宅選びをしてください

そんな主張をしたいようです。

一方、住宅のリセールバリューといえば、リスクに対する備えとしてだけでなく、自らを豊かにするためのポジティブな戦略として、このことを考えようとする人も増えているようです。


株式会社リクルート住まいカンパニーが今年の3月に公表した「2018年首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、住まいの購入理由として、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」を挙げた人の割合は23.9%です。堂々の第4位です。


もっとも、23.9%という数字自体は、さほど大きなものではありません。ですが、注目したいのは過去からの推移です。


「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから(マンションを買った)」は、2003年には9.1%に過ぎず、購入への大きな動機とはとてもいえないものでした。ところが、それが年々数を増し、いまでは上記のとおりとなっています。


さて、そこで賃貸です。


住む人にとっての賃貸住宅には、資産性というものはまったく存在しません。そのため、リセールバリューなどそもそも無縁の世界です。


では、賃貸暮らしには、バリュー(価値)はないのでしょうか?


たくさんあります。


たとえば、地震で物件が傾いたとします。あるいは、洪水で浸水したとします。オーナーにとっては一大事ですが、入居者さんにとっては基本、痛くも痒くもありません。(もちろん家財に被害がおよぶことはありますが)


固定資産税も払う必要がありません。修繕積立金も同様です。修繕積立金が足りる、足りないで、ほかの入居者さんと揉めたり、悩んだりする必要もありません。


隣の家や部屋がゴミ屋敷になったら? すぐに逃げ出せます。転職したならば、通勤に便利な場所へすぐに引っ越せます。子どもが学校でいじめに遭っていることが判った! 即、転校を検討できます。


雨漏りが発生した!オーナーが多額の修理費用を負担し、直してくれます。入居者さんは1銭も払う必要がありません。


すなわち、賃貸住宅暮らしは、住宅というきわめて流動性の低い資産を持つことによるさまざまなリスクから逃れられる、もっとも単純かつ最良の手段です。


しかしながら、それでもやはり多くの人が、


「可能ならば持ち家がほしい」
「賃貸暮らしはいつまでも続けるものではない」


と、考えるのはなぜなのでしょうか?


大きな理由が2つあります。


ひとつは老後不安です。多くの人が、年をとれば賃貸住宅は借りづらくなると思っています。この不安に関しては、実態以上に深刻に語られているきらいがありますが、たしかにウソであるともいえません。


さらには、住宅の質です。


残念ながら、日本の賃貸住宅には、住宅として低質なものが多く、このことがかなりの負圧となって賃貸住宅から持ち家へと人々を吸い上げています。


では、そんな状況を少しでも改善し、入居者、オーナー両方がWin Winのバリューを掴むにはどうしたらよいのでしょうか。


単純な答えですが、その本命といえるのは政策です。


賃貸住宅に高齢者が安心して暮らすことができ、オーナーも同時に安心できる環境をととのえるには、政策的補助がどうしても必要となってきます。


また、賃貸住宅の高品質化は、オーナーのかかえる投資リスクを一方的に重くします。これは、生産量の拡大が不可能な賃貸住宅という業態(その建物に存在する部屋数以上には稼げない)にあっては、取り去ることのできない足かせです。


いずれにしても、オーナーという個人の負担のみに頼っていては前に進まない福祉政策的側面が、この両方にはあるのです。


そうした意味で、日頃対立関係ばかりが語られがちなオーナーと入居者は、実はこの面では一致した政策要求者の立場にいます。


たとえば、広範囲な公的サポートの実施によって賃貸住宅の高断熱化が進めば、オーナー、入居者は、ともに等しくその恩恵を被れます。


「原状回復してくれ。いや、納得できない!」
「礼金?更新料?ガメツイぞ!」


そんなぶつかり合いとは別の、一段上のステージで両者が手を取り合い、共に前進すれば、この国にもうひとつ幸せな環境が生まれるのかもしれない…


そのことに、我々はそろそろ気づいていいのかもしれません。


(文/朝倉継道 参照元/リニュアル仲介株式会社)

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この記事を書いた人

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