残念な部屋づくりは、お任せ・丸投げ・無関心から生まれます
ウチコミ!タイムズ編集部
2019/08/11
イメージ/123RF
「家づくりをしたけれど、住んでみたらこんなところが失敗だった!」
「こんなところが上手くいった」
「こんな設計にしてよかった」
そんな声がたくさん集められた、とても参考になるアンケート結果が公表されています。調査を行ったのは、不動産情報サイト「不動産のいろは」を運営する株式会社スタークラフトです。
対象となったのは、実際に家を建てた経験がある全国200名の皆さんです。
これらの皆さんに、家づくりで成功した部分、失敗した部分などを尋ねた結果が、「教えて!間取りの成功例 失敗例」のタイトルのもと、ランキングにまとめられるなどして公開されています。
内容をいくつか挙げてみましょう。まず、失敗例のTOP3です。(サイトには20位までが公開されています)
1位「コンセントの配置や量」…89人/200人
2位「収納スペースつくり」…60人/200人
3位「窓の数や大きさ」…39人/200人
1位のコンセントは、賃貸住宅でも鬼門です。
「内見でよく確認せずに、コンセントの数が少ない物件に入居を決めてしまい、大失敗」という声が、入居者さん側から時折聞かれます。ついうっかりしがちな部分ではあるのですが、お客様満足という点からは、これはオーナーさんの失敗ともいえるでしょう。
次に、「こういう設計にしてよかった。おすすめ」のTOP3です。(サイトには19位までが公開されています)
1位「対面キッチン」…85人/200人
2位「ウォークインクローゼット」…69人/200人
3位「生活導線がいい間取り」…68人/200人
1位の対面キッチンは、リビングが見渡せ、子どもの様子も確認できるということで、ファミリー向けの賃貸物件でも同様に人気です。また、単身用であっても、特に女性には人気が高いという声が、仲介の現場などからはよく聞かれるようです。お友達が部屋に来たときなど、楽しそうですものね。
以上のほかにも、このアンケートでは、実際に家を建て、住んでいる皆さんからの生の声に数多く目を通すことができます。ぜひ、こちらでご覧になってみてください。
ところで、こうした家づくりの結果を問うアンケートをご覧になっていて、賃貸オーナーである皆さんの胸に、何か不安が湧き上がってくるということはないでしょうか?
「ある」とすれば、その内容は以下に記すことと多分一致しているにちがいありません。ですが、「不安など感じない」ということであれば、ぜひこのことを思い浮かべてください。賃貸住宅では、部屋づくりの失敗をオーナーさんは基本として「認識できない」のです。
なぜならば、当然ですが、オーナーさんはそこに住んではいないからです。住んでみてわかる失敗を経験することができないのです。
たとえば、こんな事例があります。ある単身用のワンルームです。ある程度予算が投じられた物件のため、ベランダの掃き出し窓が複層ガラスになっています。居室にあるもう1枚の窓も同様です。しかも、サッシはどちらも内側が樹脂製になった仕様です。
ご存知のとおり、サッシに樹脂を使用した複層ガラスは断熱性に優れています。低予算で済む1枚ガラスのアルミサッシに比べ、入居者さんにとってはかなり大きなメリットです。
ところが…!
一方でこの部屋には大きな問題がありました。もう1ヶ所、キッチンスペースに設けられた窓が、薄い1枚ガラスのアルミサッシなのです。キッチンスペースは玄関と一緒なため、そこには玄関ドアもあるのですが、こちらも断熱性には乏しい仕様です。
しかも、もっとも残念なこととして、この部屋ではキッチンスペースと居室を隔てる部分にドアが設けられていないのです。これでは頭に帽子をかぶり、上半身にセーターを着込みながら、下半身は素足にショートパンツで冬を過ごすようなものです。居室側に性能の良い窓がおごられている意味がまるでなくなってしまいます。
夏も同様です。エアコンをかけても効果はおそらく半減です。その結果、「冬寒くて夏暑い。やっぱり賃貸は早く卒業したいです」…それが、この部屋に実際に住んでいらっしゃった入居者さんの声です。
こうしたチグハグな結果は、物件を建てる際、オーナーさんが建物に関心を払わず、事業者にお任せ・丸投げをしてしまうことでよく起こります。ですが、そもそも施主はプロではありません。同じようなことは自宅を建てる際も当然起こりうるのです。
ただし、怖いのは、自宅を建てたユーザーはいやでも問題に気付けますが、賃貸オーナーはそうはいかないということです。
問題のある家でも、マイホームとして建てた住人はそこに住み続けますが、賃貸住宅の入居者の場合、嫌ならば無言で出て行くという選択肢をもっています。
すなわち、なかなか難しい話にはなりますが、「すべて業者任せ」が往々にして発生しがちな賃貸住宅を建てる時にこそ、オーナー自身の深い勉強と、計画への厳しい関与が、実は大変重要なのだということです。
(文/朝倉継道 参照元/株式会社スタークラフトプレリリース)
この記事を書いた人
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