改正区分所有法が施行。区分投資オーナーに求められる「積極的」な姿勢

2026/04/11
賃貸オーナーは改正区分所有法にポジティブ
4月1日より、改正区分所有法が施行されている。大改正、あるいは激変などともいわれるものだ。
アパートなど一棟ものや、一戸建てを賃貸しているオーナーには関係が薄いが、「区分マンション投資」を行っている場合はもちろん影響を受ける。
そこで、今般の施行に先立って、「不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家(けんびや)」を運営する健美家株式会社が、オーナーに向けたアンケートを実施、その結果を先月公表している。有効回答数154名、調査期間2月19日~26日となっている。
内容をいくつか覗いてみよう。まずはこんな質問だ。
| 知っている | 64.3% |
| 知らない | 35.7% |
この数字は、回答した人のうちどのくらいが区分マンション投資をしている「区分投資オーナー」であるかによって、評価が変わってくるものだ(公表分には明記されていない)。区分投資オーナーであれば、今年2月時点での「知らない」は、当然だがかなり心細いものとなる。
さらに、次の質問。
| ポジティブ | 85.9%(ポジティブとややポジティブの合計) |
| ネガティブ | 10.1%(ネガティブとややネガティブの合計) |
| どちらとも思わない | 4.0% |
このとおり、今回の改正・施行について、これをすでに知るオーナーにあっては影響をポジティブなものとする割合が高い。その上で、以下のような理由が多い順に挙げられている(複数選択可)。
| スラム化・管理不全リスクの低減 | 43.5% |
| 資産価値の向上 | 35.3% |
| 大規模修繕等の決議の円滑化 | 34.1% |
| 融資がつきやすくなる | 32.9% |
| 流動性の向上(売りやすくなる) | 31.8% |
| 出口戦略の選択肢の拡大 | 30.6% |
| 空室リスクの抑制 | 25.9% |
| 出口戦略の選択肢の明確化 | 25.9% |
| 築古物件の市場評価の見直し | 17.6% |
| 敷地売却制度の活用拡大 | 15.3% |
上位を占める3つなどを見てのとおり、改正法は区分所有マンション(以下、マンションと表記する)の資産価値をより長く維持させる方向に寄与するものと、多くのオーナーが考えているようだ。
上記アンケートについて、さらに詳しい内容は下記でご覧になられたい。
「健美家(株)2026年4月改正区分所有法の施行に対する不動産投資家アンケート」
適正・円滑な決議をさまたげる「無関心層」を排除
今回の法改正については、先ほども触れたとおり「激変」との声も挙がっている。そのため、主な改正点からして多岐にわたるが、大きく柱をまとめると、
- 「マンション管理の円滑化」
- 「マンション再生の円滑化」
- 「地方公共団体の(上記への)取組の充実」
これら3つとなっている。
そのうえで、最も注目されるポイントといえば、上記「管理の円滑化」と「再生の円滑化」のため規定された「集会決議における多数決要件の見直し」ということになるはずだ。(以下、集会は総会と読み替えて構わない)
たとえば、そのひとつとしてこんな変化が生じている。(おおまかな理解のため簡単に書く)
- 改正後
「建て替え決議など、区分所有権の処分をともなう決議―――を除き、決議は集会出席者の多数決による」(出席者には議決権行使書や委任状により権利を行使した者を含む) - 改正前
「全区分所有者の多数決による」
改正前は「全区分所有者の多数決」だったのが、改正後は「集会出席者の多数決」となった。そのため、欠席した区分所有者については母数に含める必要がなくなっている。
こうした措置の結果、生まれる効果とは、すなわち「無関心層の排除」だ。
全区分所有者による多数決の場合、マンションの管理に関心が無かったり、当人の所在自体がそもそも不明だったりする集会欠席者は、それでも議決においては母数にカウントされる。
そのため、当人の意志にかかわらず、これらは実質反対票(議案に対する否決側の票数)としての力を持つ。賛成票(可決側)の割合を下げる効果を生む。
しかしながら、これでは本来あるべき適正な決議が阻害されかねない。欠席者が多いほどその懸念も増す。そのため、今般区分所有法の改正―――さらには、それを含めた令和7年マンション関係法の大改正―――において、この部分は最も重要な変更点となっている。
ちなみに、昨年10月に開かれた国交省による「令和7年度 マンション管理適正化シンポジウム」で紹介された資料の中にこんなデータがある。区分投資オーナーは特に注目したい内容だ。
- 東京都心にある99戸(ワンルーム・1K)および1階店舗1戸のマンション
- 典型的な投資用マンション
- 居住している区分所有者は数名程度、その他区分所有者の住所は全国バラバラ
と、紹介されている物件だが、「ここ5年の総会出席状況(委任状・議決権行使書含む)」として挙げられている数字が、以下のとおりとなっている。
| 年 | 総議決権100のうち出席議決権 |
| 2024年 | 55 |
| 2023年 | 60 |
| 2022年 | 62 |
| 2021年 | 57 |
| 2020年 | 62 |
こうした状況では、改正前の区分所有法においては、適切な議決や議論がなされるかまさに不安となる。4割前後にも及ぶ欠席者が、前述した数の力を発揮するからだ。よって、こうしたものが今般改正においては“改善”されたということになる。
なお、上記資料は下記リンク先から覗くことができる。
「令和7年度 マンション管理適正化シンポジウム 各資料の掲載ページ」
(列記されているうち、「マンション管理の専門家等によるパネルディスカッション」の資料をダウンロードされたい)
物件の将来がどうなるか。大事な「見極め」の持続
今回の法改正は、主にはマンションにおける「2つの老い」の進行に対処するため行われている。2つの老いとは、建物の老いと、住む人の老いを指す。
これについて、国交省の資料には、「築40年以上のマンションは全体の約2割(約137万戸)、今後10年で2倍、20年で3.4倍に」「世帯主が70歳以上は5割以上」と、掲げられている。(「令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理」―――前記リンク先にて閲覧可能)
そのうえで、「マンションは国民の1割以上が居住する重要な居住形態」ともあるが、こうした“社会インフラ”としてのマンションが、今後も永くスムースに機能していくために、このたび大きな変革が図られたかたちだ。
冒頭に紹介した健美家(株)のアンケートでは、主催者側コメントとして、賃貸オーナー向けにこんなまとめが示されている。
- 今後は、この改正を機に制度を活かして再生へ動く物件と、放置される物件との「管理格差」が拡大する可能性がある
- 投資家は、物件の管理状況や修繕計画をより精緻に見極めることが、これまで以上に重要になるかもしれない
どちらも十分に言えることにちがいない。
また、後者の「見極め」は、物件購入時のみに留まらない。物件を維持・運営する間、さらには売却に向けてと、通期・長期にわたっての持続が要求されるものとなる。
なおかつ、そうした持続的な見極めのために、オーナーは物件管理に消極的な姿勢でいるべきではない。無関心な集会欠席者にはならないことがとても大事なはずだ。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室























