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「ひろしま大家の会」代表 横山顕吾×「一般社団法人 広島空き家流通促進ネットワーク」

中山間地域の空き家は地域のニーズや特色を引き出すことが重要

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空き家対策は切実な問題になりつつあるが、単に空き家情報の場を提供するだけでは売買も賃貸も簡単には成立しない。多くの空き家が都市部にあるわけではなく、利用価値を見出せないことが理由のひとつだ。つまり、空き家の再利用や移住者支援を実現するためには、その地域や空き家の特色を見つけ、伝えていくことが必要になってくる。「ひろしま大家の会」代表の横山顕吾氏と「広島空き家流通促進ネットワーク」代表の縄田康一氏に、空き家問題の現状と解決策について語ってもらう。(取材/佐藤 美月・文/財部 寛子)


一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク 代表 縄田 康一氏


ひろしま大家の会 代表 横山 顕吾氏

中山間地域にある流通しない空き家

―――縄田さんは、「一般社団法人広島空き家流通促進ネットワーク」の代表を務めるかたわら、空き家活用を中心にした不動産業もされていますね。

縄田 以前、福岡県北九州市で21年間暮らしており、不動産会社に勤務していました。実家が広島にあることもあり、50歳を過ぎて東広島市で不動産業を始めることにしました。ただし、不動産業といっても特徴がなければ、競合が多く商売は難しい。そこで、中山間地域などで増えている空き家をターゲットにしようと考え、開業しました。

「広島空き家流通促進ネットワーク」も、一般の不動産業者には扱われないような空き家をデータベース化して流通させていくことを目的に立ち上げました。

―――一方で、「ひろしま大家の会」代表の横山さんは、分譲マンションを購入して賃貸経営をされています。大家さんの立場で、中山間地域の空き家は購入先として候補に挙がると考えられますか。

横山 正直、あまり考えられませんね。大家業は、アパートなど複数戸を賃貸に出すことが事業のメインになります。中山間地域の古い戸建てとなると共通項のニーズが少なく、やはり賃貸物件としての購入にはなかなか至らないのではないかと思います。

現状のままでは賃貸経営に不向き

―――今回の「空き家×移住」というテーマに“賃貸”というキーワードも外せないのですが、さっそく空き家と賃貸のズレが顕著になってきました。縄田さん、空き家の所有者が賃貸物件として貸し出すことはあるのでしょうか。

縄田 そもそも、所有者には売却をおすすめしています。不動産経営の知識がなければ、いきなり賃貸経営を始めるのは難しいからです。もし、賃貸経営をしたとしても、10~20年後に再び相続が発生し、また同じような問題が浮上するでしょう。結局は課題を先送りしていることになってしまいます。

もちろん、賃貸経営のプロに売却して、空き家を賃貸物件として活用する分には問題はないと思います。

横山 しかし、賃貸経営者の立場で考えても、中山間地域とまとめると広すぎてどんな人がそこに住みたいと思うのか、ターゲットを絞りづらいという問題もありますね。中山間地域にも人は住んでいるので、個別具体的に各地域でニーズを明確にすべきです。

―――実際にはどのような空き家がどのくらいあるのでしょうか。

縄田 広島空き家流通促進ネットワークが拠点を置く東広島市豊栄町を例にすると、空き家率は23.6%です。約350軒の空き家があり、そのうち流通しているのは10軒もありません。

また、国土交通省が空き家の外観調査をしてA~Eのランク付けをしていますが、家として使えるだろうというAランクは約200軒です。ただ、危険家屋を除却することが目的なので、移住者などが住むといったことはほとんど意識することなく調査されているというのが現状です。

環境の価値を見出すことが重要

―――横山さんから見て、なにか打開策があると思いますか。

横山 その地域にすでに住んでいる人はいるわけで、今後、そこに住む人も必ずいると思います。ただ、その人を受け入れる準備ができているかどうかが問題ですよね。たとえば、国交省外観調査のEランクのような物件では準備はできていないことになります。そして、産業や仕事も含めた地域の環境的な価値を見出してイメージさせることも必要。その結果、住む人とのニーズが合致すれば、賃貸経営を展開できる可能性はあると思います。

そもそも中山間地域の賃貸経営は、不動産業者のライバルがほとんどいないことが魅力にもなりますからね。

区分の分譲マンションを購入するときも、多くの物件を見て最終的に購入するのは全体の1%です。空き家も準備が整えば1%くらいは購入していけるのではないかと思います。

縄田 現在は、行政による補助制度も整ってきています。東広島市の場合、所有者の空き家バンクへの登録費用が無料のほか、リフォームの補助金が受けられる、相続登記費用を一部負担してくれるといった制度があります。不動産業者に対しても、リフォームにかかる補助金の交付などがあるんですよ。

―――空き家の具体的な活用事例はありますか。

縄田 レストランを空き家で開業するために、行政の補助制度を活用されている方がいます。

また、その地域の幼稚園を気に入って移住してきた方もいます。やはり、単純にマスとして空き家の情報を出すだけでなく、ピンポイントな魅力が必要ですね。

横山 私は、所有物件の入居者に「なんでこの物件を選んだのですか」と聞くようにしています。すると、自分の予想とはまったく違う理由を聞かされることがよくあります。そういった聞き取りをすることで、中山間地域もそこに暮らす理由が明確になってくると思います。

また、物件の使い方についても、私たちのような立場の者がいろいろな角度から発想することで、新しい解決策も生まれてくるのではないでしょうか。

縄田 多くの方に横山さんのように考えてもらえると私たちも助かりますし、広島空き家流通促進ネットワークの活動にもいい影響が出ると思います。

―――中山間地域の空き家と賃貸という難しい組み合わせですが、新しい価値を見出すことで結びつけられそうな期待を持つことができました。本日はありがとうございました。

 

<プロフィール>
横山 顕吾
ひろしま大家の会代表。マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザーなどの資格を持つ。分譲マンション管理会社に勤務していた2012年から、分譲マンションの区分購入で賃貸経営を始める。自己資金40万円からのスタートだったが、10年で40物件を所有。2018年に独立し、専業大家になる。自己資金が少なくても分譲マンションを買い続けるノウハウ「BMBメソッド」を確立し、5年で10物件取得するコンサル受講生を2名輩出している。

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この記事を書いた人

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