どうしてこんなことに… 大家さんの“思わず頭を抱えた”エピソードを大公開
2025/06/11

「賃貸経営」と聞くと、皆さんはどのような想像をしますか?
投資家のような大家さんがたくさんの所有物件をシステマチックに捌き上げるイメージをする人もいれば、昔のドラマさながらの人情味溢れる大家さんが入居者に家賃の催促をするイメージをする人もいると思います。
しかし、どんな大家さんでも賃貸経営での苦労はつきもの! なかには、とんでもない苦労や失敗した経験をした人もいるようです…。
大家さんが自ら賃貸募集できるサイト『ウチコミ!』では、全国の大家会員を対象に『大家さんの裏話コンテスト』を実施! 賃貸経営で「どうしてこんなことに…」と思わず頭を抱えたエピソードについて調査しました。
当記事では、入賞のエピソードやその他優秀エピソードをご紹介します。
■コンテスト概要
名称:大家さんの裏話コンテスト
内容:賃貸経営をする中で「どうしてこんなことに…」と思わず頭を抱えたエピソード
期間:2025年4月1日~2025年4月10日
対象:ウチコミ!大家会員
方法:株式会社ウチコミによるインターネット調査
入賞エピソード
入賞したのは以下のエピソードです。
◆なんだか切ないで賞
・『上京した娘が行方不明⁉』‐kobakobakoさん(60代・男性)
入居者は20代の東京都内勤務の女性でした。実家の四国のお父さんが連帯保証人でした。ある時期から滞納が始まり、本人に電話を掛けると、「すみません。直ぐ振り込みます」との返事です。数か月そんなことを繰り返していると、ある時からまったく電話が通じなくなり、連絡が取れなくなりました。
仕方なく、四国のお父様に電話しました。なんと、お父様も、全く連絡がつかなくて困っているとの返事です。なので、住んでいるかどうかアパートに見に行ってほしいと頼まれました。部屋に入るわけにはいかないので、「外から様子を見てみます。」と返答しました。ママチャリ出動です。
現地に着き、外から見たところ、まったく人が住んでいる気配が感じられません。そのことをお父様に伝えると、間もなく、お父様が四国から上京されました。私は、合いカギを渡し、お父様は部屋で何日か待つことになりました。その際、四国のお菓子を手土産に持ってきてくれました。ありがたいですが、なんか意味深な、紀貫之の歌がパッケージに書かれています。
『都へと 思うをものの かなしきは かえらぬ人の あればなりけり』
紀貫之が亡くした娘を思い詠んだ歌です。「亡くした」という部分は縁起でもありませんが、父が娘を思う気持ちとそのパッケージが重なり、切なくなってしまいました。
結局、1週間くらいしても、娘さんは戻らず、お父様は仕方なく四国に戻って行きました。
「まさか何かの事件に巻き込まれたのでは!?」「早く警察に相談した方がいいのか!?」とかなり焦りました。
そうこう心配していると、お父さんから電話がありました。「娘はだいぶ前に会社を辞めて、彼氏の家に泊まったり、ふらふらしていたとのことです。ご心配をおかけしました。」
「な~んだ、そうだったのかぁ~」とほっとしたところ、
「こんな感じで東京においていても仕方がないので、実家(四国)へ戻します。お部屋の解約をお願いします!」
「ガビーン!!」大家にとって一番聞きたくない言葉、『お部屋の解約』です。でも仕方がないですね。ほどなくして、お父様から、滞納分の家賃の一括振り込みがありました。
けど、その当時は多かったのです。会社を辞めて、故郷に帰るのでお部屋を解約したいという話は。正規雇用を増やし、若年層の給料を上げていかないとって気がします。私の物件は、高齢者の生活保護の方の入居も受け入れておりますが、これからの未来を担う若年層もバランス良くサポートする必要性を感じています。
◆てんやわんやで賞
・『入居者が逮捕⁉ 連帯保証人との訴訟劇』‐エンジニア大家さん(40代・男性)
入居者がとある罪で逮捕されたことが発覚しその時点で家賃保証が打ち切りになりました。
残置物放棄の同意を得たので大家側で残置物を処分。そして保証人である義姉に退去費用(14万程度)を請求したところ、その義姉にブチ切れられた。
連帯保証人という制度を全く理解しておらず、そこから説明をしたのだが理解を示さず、「私に◯ねって言ってるの?」と大げさな反応をしてきたので説得を諦め、少額訴訟を起こした。
訴状が先方に届いた頃に義姉から電話連絡があり、前回の電話と異なり超甘えた声で「1万円で勘弁して」と告げられ、後に私の口座に1万円が振り込まれた。
裁判所にこのことを告げたら、請求金額の変更をする必要があると言われ再び裁判所に出向き手続きを行った。
そして裁判の前日になったタイミングで義姉から残りの13万円が振り込まれた。
すると今度はその日中に裁判の取り下げをする必要が出てきたので再び裁判所で手続きを行った。
たかだか14万円を請求するのにこれだけの手間がかかるのかと思うと放棄しても良かったのではないかと今は思っていますが、良い経験でした。
その他の優秀エピソード
惜しくも入賞には至らなかったものの、興味深いエピソードを多数お寄せいただきました。一部を抜粋してご紹介します。
・『貸した物件が詐欺グループのアジトに⁉』‐主任調査役さん(60代・男性)
ある法人に大手の不動産賃貸会社の仲介でマンションを貸したが、そのマンションが振込詐欺集団のアジトに利用された。
その法人の履歴事項を見ると閉鎖された会社を新法人に書き換えられたことが明白であるが、当該不動産賃貸会社は現在のみを証明する全部事項のみを確認して、その他は全く調査をしていなかった。
また、振込詐欺集団は賃料未納して雲隠れ後に逮捕されたが、賃料未納への民事訴訟のみでなく刑事訴訟も絡む事から、その対応に相当の時間と費用を要した。
勿論、当該不動産賃貸会社は知らぬ存ぜずである。
この事件から不動産法務などを修得して精通するようになり、賃貸募集及び管理業務は不動産賃貸会社に依頼するのを止めて、ウチコミ経由もくしは自ら行うようになった。
・『この物件、“何か”が棲んでいる…』‐ヨシキさん(40代・男性)
私の物件で、本当に奇妙な出来事が起こり始めたんです。最初に入居した若い男性は、数日も経たないうちに、青ざめた顔で私のところへやってきて、『夜になると、部屋中に線香の匂いが立ち込めるんです。それも、まるで古いお寺のような、どこか不気味な匂いで…。』と訴えるんです。
私は、『気のせいだろう』と軽く受け流したんですが、彼は続けました。『それだけじゃないんです。夜中に、2階の誰もいないはずの部屋から、ガラスが割れるような音が何度も聞こえるんです。でも、朝になって確認しても、何も壊れていない。まるで、何かがそこにあることを知らせるかのように…。』と。彼は恐怖に耐えかね、結局、2週間も経たずにその荷物をまとめて逃げるように夜逃げしてしまったんです。
次に私の物件を借りたのは、一人暮らしの女性でした。彼女もまた、数日後には憔悴しきった様子で私のところへやってきて、『夜になると、線香の匂いがするんです。それと、2階からガラスの割れる音が…。でも、一番怖いのは、1階に降りた時に感じる、あの異様な寒気です。まるで、何かに見られているような、背筋が凍るような感覚なんです。』と話すんです。彼女の言葉は、先に引っ越した男性の証言と驚くほど一致していました。
私の物件は、過去に事故や事件があったわけでもなく、外観は古いが、内装はきちんと手入れされた普通の物件でした。しかし、二人の入居者が立て続けに同じような体験をしたことで、私はただ事ではないと感じ始め、専門家を呼んで物件の調査を依頼することにしたんです。
私の物件なので隅々まで調べましたが、異常は見つかりませんでした。
念のため住職を呼んでお祓い(5万円)をお願いしました。
賃貸経営をしていると、色々なことがあるけれど、やっぱり一番大切なのは、そこに住む人が安心して安全に暮らせることだと、改めて思いました。
ただ、今はまた、新しい入居者が入りましたが、いつ同じことを言われるのかびくびくしている状態です。
正直気を付けようも無いので、どうすることもできないです。
霊感が無い入居者であることを祈るのみです。
・『騒音クレームの真相は“被害者からの被害”?』‐仁礼瑞穂さん(~30代・男性)
初めて所有した物件でのことです。
大手ビルダーに発注した新築重量鉄骨のマンションで騒音問題が起きました。
被害を訴えていたのは1階の道路に面した部屋に入居しているOLの方(Xさん)。入居後暫くは何もなかったのですが、ある日「窓のサッシの軒に当たる雨音がうるさい」とのクレームを受領。同じ窓サッシは全戸に着いているのですが、クレームはこの方からのみいただきました。
早急に吸音材を軒の上に貼り、対策はしたのですが、今度は矢継ぎ早に上の住人(Yさん)の音がうるさいとのクレーム。注意文の投函を行いましたが、それでもうるさいと言われたので、実際に部屋の中で騒音測定をしたのですが、結果はたまに扉が閉まる音や流水音が静かにしていると聞こえる位のものでした。そこ辺りからこのXさんはモンスター化してしまったんだと思います。
ある日騒音元のYさんのポストに抗議文が投函されたようで、Yさんから入居時に教えていた私のLINE宛てに「細心の注意を払って静かにしているのにどうすれば良いのかわからなくて……」といった相談が来るようになりましたし、マンションの向かいに住んでいる住人の方(Zさん)のテレビの音がうるさいと「このようなことが続くのなら法的処置をとります」といった怪文書を投函されたりするなど傍若無人に振る舞うようになったのです。どんどん暴走するXさんの行動。
後日、Yさんにはヒアリングを行い、かなり音に気をつけるようにし始めたことは確認でき、お向かいのZさんについても、どれくらい気になるのか、道路に面した入居者の方全員にヒアリングを行いましたが、気になると回答したのは問題のXさんのみでした。
そしてこの問題をどう収拾つけるかを考えたのです。
このマンションは、入居者が迷惑を掛ける方の場合、契約更新を行わない定期借家契約(再契約型)で契約を行っていました。ただ今回の場合は、単純にXさんが正義とするべきか大いに悩んだのです。私の中で彼女は脅威となり得る存在でしたし、他の方への応対を考えると、Xさんの行いは過剰な要求のように思えたのです。
そして私は、Xさんは住環境を脅かす脅威であると断定したのでした。その後はYさんに「注意深く生活していることは理解しました。善管注意義務を果たしており、私はあなたを大家として守るべきと考えています。今後何か威嚇行為や問題が発生した際はお知らせください」と伝え、古くからお付き合いのあるZさんにも菓子折も持って行き「過剰な要求については承服しない。また威嚇行為や問題が発生した際はお知らせください」と伝えました。マンション内の治安を守る上で、入居者の方のクレームを素直に聞き入れるべきでないという結論に至ったのです。
その後数ヶ月、Xさんからのクレームは続きましたが、注意のチラシを投函するに留め、それ以上の介入はしませんでした。結果この入居者は契約満了前に自主退去となりましたが、次に同室へ入居した方からは一切の騒音クレームが無かったことから、やはりXさんの要求は過剰であったと考えざるを得ません。
騒音クレームは決して被害者が、真の被害者であるとは限らないことを知った良い例でした。
・『最悪を覚悟した突入劇 その結末は?』‐母は強しさん(60代・女性)
ケースワーカーさんから「●●さんと数日間連絡がつかない」と連絡があり、合鍵を持って一緒にお部屋に突入。テーブルの上にはお財布、スマホ、保険証など大事な物が全て置いてあって「これは、もしや!?」と思いながら恐る恐る押し入れの中まで探したがいない。
良くない事を想像したが、散歩の途中で倒れてそのまま入院。誰にも連絡がつかないだけだった。あの時ほど驚かされたことはない。
・『不倫相手に敷金返還⁉ 信じがたい“なりすまし”事件』‐母は強しさん(60代・女性)
25年も前の事です。父から物件を引き継いですぐの時でした。契約者から解約の申し出があり、仲介会社を通して敷金を返金しました。(当時親は、クリーニング代さえもらわず返金していたようです)
ところがその数週間後「契約者の●●だが、海外出張をしていて戻ったら部屋の中がも抜けの空だった!」と連絡が入りびっくり。どうやら亭主の留守中に奥さんが彼氏と夜逃げを計画し、その恋人が亭主のふりをして敷金を請求したようです。母も私もまんまと騙されました。仲介会社はしらん顔で、母はしかたなく2度敷金を返しました。
・『見上げてゾッとした… アパート管理は“自分の目”が命』‐ぱろぱろさん(50代・男性)
最初の1年間は管理会社の月1回のアパート掃除を任せていました。たまに私がアパートを見に行くとお隣の敷地に2〜3mのトユ(雨どい)が落ちていました。お隣さんの2階の排水溝のトユが外れたんだろうなぁと思っていましたが、次の月に点検に行くとまだ、そのトユが落ちたままになっていましたので、まさかと思いつつ自分のアパートの2階を見上げると、自分のアパートの205号室のトユが外れ落ちていた事に初めて気が付きました。自分の目と手と足で血の通ったアパートを何時も見てあげないと管理会社も入居者さんもお隣さんも教えてもらえないんだなぁと思い、毎週土曜か日曜のどちらかは自らの手でアパート掃除を5年間続けています。
まとめ
以上、お寄せいただいたエピソードの一部をご紹介させていただきました。
なかなか強烈な経験をされてきた大家さんもいらっしゃいますね……。
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