購入の諸経費
渡邊浩滋
2016/05/31
大家さん専門税理士・司法書士の渡邊浩滋です。
初めて不動産投資をして、物件購入される方が増えてきました。 物件価額を全額借り入れをして(フルローン)購入される方もいますが、その場合でも、購入諸費用は、ご自身で用意しなければなりません。
概算として売買代金の8~10%を見込んでおくとよいと言われますが、諸費用が、いつ、いくらくらいかかるのかをまとめてみました。
1.印紙税
不動産の売買契約書を作成すると印紙税がかかります。
契約書に収入印紙を貼り、消印をすることで納税が完了します。
支払期日:契約書作成時
収入印紙は売買代金の金額に応じて決められています。
不動産売買契約書の金額 本則 平成26年3月まで 平成26年4月以降
1,000万円以下のもの 10,000円 10,000円 5,000円
5,000万円以下のもの 20,000円 15,000円 10,000円
1億円以下のもの 60,000円 45,000円 30,000円
5億円以下のもの 100,000円 80,000円 60,000円
2.登録免許税
不動産を取得すると、その所有権が自分であることを法務局に登記(登録)します。
その登記にあたり登録免許税という税金がかかります。
支払期日:登記申請の時(一般的には物件の引渡し時)
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に対して課税されます。税率は取得原因によって異なります。
売買で取得する場合には、
建物 固定資産税評価額×2%
土地 固定資産税評価額×1.5%(平成29年3月31日までの特例)
なお、建物を売買ではなく建築する場合には、保存登記をすることになります。
保存登記 固定資産税評価額×0.4%
また、不動産を取得するにあたり金融機関から融資を受ける場合には、その不動産に抵当権(もしくは根抵当権)などの担保権を設定することが一般的です。
担保権の設定登記 債権額(極度額)×0.4%
この他、金融機関に、融資事務手数料や保証料などを支払う場合があります。
なお、登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬がかかります。
3.固定資産税精算金
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を保有している方(固定資産課税台帳に登録されている方)に課税されるものです。
ですから、年の途中で売却しても、1月1日時点の所有者(売主)に課税されます。
翌年度は、買主に課税はされますが、売却した年買主に課税されることはありません。
そのため、不動産の引渡し時には、買主に引渡し以降の固定資産税の負担をしてもらうために、その固定資産税分を売主に支払うことで精算をします。
支払期日:物件の引渡し時
4.不動産取得税
不動産を取得すると不動産取得税が課税されます。
これは取得のときだけ1回だけ課税されます。
不動産の登記をすると、都道府県の課税部署に情報が回り、納付金額が記載された納税通知書が送られてきます。
その期日に従って納税することになります。
支払期日:物件の引渡し時後3ヶ月~1年後以内
建物 固定資産税評価額×3%(※)(店舗、事務所などの住宅以外の場合は4%)
土地 固定資産税評価額×1/2(※)×3%(※)
※平成30年3月31日までの特例になります。
不動産取得税は、物件購入後、期間があいてからの支払いになります。忘れやすいので注意しましょう。
5.火災保険料
火災保険を長期でかけるとまとまった金額を支払うことになります。
支払期日:保険加入時(一般的には引渡し時)
6.仲介手数料
中古の不動産を不動産会社さんに仲介してもらうと、仲介手数料がかかります。
仲介手数料は金額に応じて上限があります。
支払期日:引渡し時(売買契約時に半金、引き渡し時に残金を支払う場合などもあります)
売買代金|消費税を含まない 媒介報酬(仲介手数料)|消費税を含む
200万円以下の金額 5.4%以内の額(=5%+消費税)
200万円を超え400万円以下の金額 4.32%以内の額(=4%+消費税)
400万円を超える金額 3.24%以内の額(=3%+消費税)
なお、仲介手数料は、不動産会社さんから直接購入する場合や、不動産会社さんに仲介を依頼せず、個人間での売買をすれば、かかりません。
税金は必ずかかるものですが、仲介手数料はかからない場合もあることを覚えておきましょう。
この記事を書いた人
司法書士・税理士
渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。 大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。 [著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。 [担当]不動産登記 渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。