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賃貸経営で気をつけなければならないデッドクロス!

渡邊浩滋渡邊浩滋

2016/11/16

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賃貸経営でデッドクロスを知らないと、大変なことになります。

デッドクロスとは、借金をしてアパートを経営している場合に、1年間あたりの元本返済額 が減価償却費よりも大きくなる時点をいいます。 このクロスする時点から、税金が高くなるため、資金繰りが厳しくなります。

1.減価償却を理解しよう。

減価償却とは、支出と経費のタイミングが違うものになります。

減価償却によって、支出の金額よりも、経費の金額の方を多く取ることが可能です。 しかし、先に経費を多く取ってしまうことは、後から支出が多くなることの裏返しになります。

経費よりも返済が多くなることで、手残りに影響することになります。

借入で賃貸物件を購入して、減価償却を先に多く取ると、減価償却が少なくなってから、支払い(借入れの返済)が大きくなることがあります。 つまり、減価償却とは、支出と経費のズレを生じさせるものにすぎないのです。

2.借入れを理解しよう

借入れの返済方法は、大きく元利均等返済と元金均等返済があります。

元利均等返済とは、元金と利息の合計を一定額にする返済方法です。 返済金額を一定にする代わりに、毎回の返済金額の元金と利息の内訳が変化していきます。 当初は、利息の割合が多く、元金の割合が少なくなります。返済を重ねるほど、利息の割合が小さく、元金の割合が多くなっていきます。

元金均等返済とは、元金の返済額を一定額にする返済方法です。利息は元金の残高に応じて課されていくことになります。 当初の元金の残高が多いときは、利息も大きいですが、返済が進み元本の残高が少なくなれば、利息も小さくなります。

支払う利息の総額は、元金均等返済の方が少なくなります。 借入金1億円、返済期間20年、利息3%の場合で比較すると下記の通りになります。

元利均等返済 元金均等返済

支払利息総額 33,116,329円 30,149,042円
では、元金均等返済の方がよいかというと、そうではありません。 元金均等返済の方が元利均等返済よりも、当初の返済総額が大きくなるため、家賃収入から返済できるかどうかになります。 借入金1億円、返済期間20年、利息3%の場合で比較すると下記の通りになります。

元利均等返済 元金均等返済

1年目返済金額 6,668,177円 7,939,130円
家賃収入が800万円以上ないと現実的に元利均等返済は難しくなります。

毎年の家賃収入>元金均等返済による年間の返済額 となっても、安易に元金均等返済にするのは危険です。

3.デッドクロスとは

借り入れの返済方法を元利均等返済としている場合、当初は利息の割合が多く、元本の割合が少ないのですが、徐々に利息の割合が少なくなり、元本の割合が多くなります。 つまり、経費となる利息が年々少なくなるということです。

また、減価償却についても、附属設備の耐用年数は15年のため、建物よりも早期に償却が終わってしまいますし、定率法を選択すれば、最初は大きく取れる減価償却費も徐々に少ない金額になっていきます。 ここでも経費が少なくなって、税金が増える原因になります。

税金が増えることで、キャッシュフローがマイナスになる危険性があるので注意しなくてはいけません。

つまり、年々支出する返済額はかわらないのに、利息金額と減価償却の減少から所得が大きくなります。そして、支払う所得税が多くなるため、キャッシュフロー上、手残りがマイナスになるになる可能性が高くなります。

年間の減価償却費よりも年間の元本返済額が大きくなる時を、デッドクロスといいます。

デッドクロスになりやすい例
フルローンで借りている
元利均等返済で借りている
土地の借入金が多い
デッドクロスの時期がいつなのかを把握し、そのための対策をしなければならないのです。

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この記事を書いた人

司法書士・税理士

渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。 大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。 [著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。 [担当]不動産登記 渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。

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