年末までにすべき節税対策
渡邊浩滋
2016/12/16
今年もあとわずか、年末までにどんな節税の対策ができるのでしょうか?
1.ふるさと納税の活用
ふるさと納税とは、都道府県や市区町村などの自治体に 2,000 円を超える寄付金を行うことで、2,000 円を超え一定限度額までの金額が、所得税・住民税から還付・減額される制度です。
国などに税金を払うか、自分が選択した自治体に寄付するのかの違いであり、お金が出て行くのには変わりありません。 厳密には節税にはなっていませんが、自治体により、寄付金のお礼として特産品などが送られてくるため、人気を集めています。 複数の自治体へ寄付できるので、実質 2,000 円の自己負担で、いくつもの返礼品を受け取ることができます。
限度額が、平成 27 年度税制改正により、平成 27年分のふるさと納税から住民税のおよそ 1 割から2割へ引き上げられました。
《改正後の上限額の目安》
課税所得が300 万円の場合 77,000 円
課税所得が500 万円の場合 144,000 円
課税所得が1,000 万円の場合 352,000 円
地域や返戻品などで検索できるポータルサイトを使うのが、オススメです。
「ふるさとチョイス」http://www.furusato-tax.jp/
「さとふる」http://www.satofull.jp/
など
平成 27 年 4 月 1 日以降に 5 カ所以内の自治体に寄付をした場合、一定の手続きをすると確定申告が不要になるワンストップ特例制度が創設されました。しかし、給与収入や年金収入のみで本来確定申告をしていない方が対象です。大家さんは、確定申告により、ふるさと納税による控除(寄付金控除)の手続きを行います。
2.ふるさと納税は今年の所得から上限額が決まる。
ふるさと納税をした金額のうち、2,000円を超える分の全額を控除の対象にするには、一定の計算式で算出された上限以内に寄付金を抑えなければなりません。
計算式は、ふるさと納税紹介サイトなどでも掲載されていますし、具体的な金額を算出できます。 (ざっくりと計算するのであれば、課税所得金額の2%です。実際の計算式に当てはめると、それ以上の上限額になります)
ここで注意したいのは、あくまでも今年の所得に応じて上限額が決まるということです。 つまり、今年の所得がどれくらいかがわからないと、上限額がわかりません。 今年、修繕費などの経費が多ければ、ふるさと納税の金額を抑えなければならないこともあります。 まずは、今年の所得がいくらになるのか、試算してみましょう。
3.小規模企業共済の加入
小規模企業共済とは、個人事業主の退職金制度です。掛金として積み立てた金額を将来共済金として受け取れます。掛け金は月7万円が限度( 年84万円 )。その掛金を支払う場合、全額が所得控除になります。
年払いも可能ですので、12月に84万円掛金を払って全額所得控除にすることも可能です。
事業的規模の大家さんか、会社の役員である大家さんが対象になります。 事業的規模があっても、サラリーマン大家さんは加入できないことになっておりますのでご注意ください。
ご自身の所得を把握し、年末までに悔いのない節税対策を行いましょう。
この記事を書いた人
司法書士・税理士
渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。 大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。 [著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。 [担当]不動産登記 渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。