地盤問題の大切さ
皆川聡
2017/01/13
新年の一本目になりました。みなさま、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
みなさま、新築であれば、雨漏りや水漏れなどはないと思われるでしょうか?
私自身も住宅診断をやり始めて、新築でも雨漏り・水漏れが思っていた以上に多いことを知らされました。先日記載した、新築アパートで給湯管に見事に釘が刺さっていたという事実が発見できました。みなさま、このように新築でも雨漏り・水漏れが意外にも多い実態をご存じでしたでしょうか?
なかなか聞かないと思います。私自身も不動産鑑定士をやっていただけではなかなかこのようなお話しは聞くことができませんし、現実に目の当たりにすることもないと思います。
勿論ご購入された方は、一生に一度の高い買い物ということで、 「やっとの思いで素敵な、素晴らしい家を購入できた!」 という思いで、これから新居生活が始まることを期待しておられたのだと思います。
「頭金を貯めるために、今まで頑張った甲斐があった!」 などとも思われるでしょう。
しかし、意外にもそのような新築なのに、 「まさか!」っていうことが意外にも多いことが分かりました。
そもそも、そういった事実は、所有者ご自身の家のことでもあり、あまり周りに言わないようです。と言いますか、言えないことが大きいようです。それは、自分の家が高く売れなくなってしまう可能性もあるし、自分の家の資産価値が他の新築住宅に比べて特別下がっていることを、自ら進んで口外することはしませんので、そのような話は巷には流れてこないということが現実です。
そこで、ここで記載させていただく内容は、私自身が、雨漏りしていた新築住宅の住宅診断をしたものの中から、分かりやすい事例を、以下に記載させていただきます。
その新築住宅は、築後1年程の戸建住宅で、そのような新築の建物も遠目からパッと見た雰囲気は、外装も今風の素敵な家なのかなと思いました。しかし、近くまでこない途中で外壁をよく見ると、クラックが大きく入っていることが確認できました。住宅診断では、0.5mm以上が著しいクラックと規定していますが、それを軽く超えていました。それが一か所だけではなく、数箇所、またその建物の反対面においても同様のクラックを発見しました。また、建物も斜めになっていることを確認できました。それで、外観を見た後、隣の家も一緒にみたところ、ちょっと遠くからでも確認できるクラックが確認できました。隣の方の家も同じ下り斜面において、角度がやや急になるところからクラックが入っていました。むしろ、ご依頼主様の家よりも隣家のクラックの方が、その程度が激しいとすぐわかりました。
そこは、8~10棟現場の建売住宅で、そのうち2棟を除き、平らなところに建っています。平らなところに建っている建物は、通常の新築と同様クラックは入っていませんでした。しかし、残りの2棟については、ちょっと下り斜面に建っていました。
その2棟のうちの一軒のお客様よりご依頼をいただいた次第です。
まず、第一声が
「とにかく、見てくれ!!!」
でした。
その後、ご依頼主様の家の内覧を行うと、まず、真っ先に目に飛び込んで来たのは、ブルーシートで、床面に敷いてあり、次に、ビニールのシートが天井から雨漏りの水の流れを確保するように洗面器までつながっておりました。新調された家具の脇を通って。。。
「これが新築住宅なの?!」
っというイメージです。クロスやフローリングは綺麗なのに。。。
この原因は、皆さん、何が原因だと思いますでしょうか? それは、施工不良ではなく、地盤にありです。 なんと、圧密沈下を起こしていました!
今回は地盤については、不動産を購入・投資するにあたって、見落とされがちですが、実は、とんでもないリスクをはらんでいることをみなさんに知っていただくため、文章は長くはなりましたが、記載させていただきました。
今回はここまでとさせていただき、次回はこの圧密沈下などの地盤問題について記載させていただきます。
いつもお読みいただきましてありがとうございます。 本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
この記事を書いた人
不動産鑑定士
株式会社あおい不動産コンサルティング。大手不動産鑑定会社、株式会社三友システムアプレイザルに従事し、その後独立。 不動産鑑定業務が主ですが、住宅診断(ホームインスペクション)も対応しております。財務諸表・会社法・税務等についても、スキームに応じた鑑定評価の立ち位置を認識しております。相続・事業承継関係等にも勿論対応させて頂きます。<br> 賃料の評価・査定につきましても、数多くの案件を携わっており、得意にしております。 [担当]物件調査 皆川聡は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。 個人間直接売買における皆川聡の詳しい役割はこちら