賃貸の特約条文で注意すべきこと
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/11/25
賃貸借契約についての注意をお話しして行きます。皆さんは、何度か経験しているとは思いますが「契約条項」の難しい文章に惑わされて、肝心な部分を見落としてはいませんか?
「契約条項」と言いますのは「第○条~~~」と言う様な、敷居が高そうな条文の事をいいます。この条文の中にもチェックしておいた方がいい物もありますが、チェックする内容を鮮明にしておく方が簡単です。その方法をお知らせします。
【賃貸借契約書のチェック項目】
基本的に、前回お話ししました「重要事項説明書」のチェック項目は、目を通してください。重要な部分は「特約」として謳われている条文が第一番目です。「特約」と言うのは「特別に約束した事」という意味です。
日本の法律上では「当事者間の約束は自由」という原則がありますから、実は意外と重要な部分なんです。法律違反になる様な約束や、公序良俗に反するような約束は「無効」になりますから心配ないのですが、そのような無効になるものでは無い約束の場合、賃貸契約書に記載があって、その書面に「署名捺印」があると法律的にも有効と判定されて「良く見てなかったから…。」とか「良くわからなかったから…。」などという理由など通用しなくなってしまいます。
実は、そんなに「がっちりとした内容」であるのに、そう理解していない方が沢山います。
例えば・・・
・借主からの中途解約の申出は、退去日より2か月前までに書面にて貸主にしなければならない。
なんて感じで、特約が決められていると・・・。
「今日、退去の申出をした場合、退去が許可されるのはキッチリ2か月後」という事になり、その日までの家賃を支払い住み続けなければならなくなります。万が一、1か月後に「更新の期日」があった場合、当然の様に「更新料」は支払うしかありません。これにあわてても「後の祭り」ですし、訴訟をしたとしても「賃貸契約書」があるだけで、ほぼ勝てません。
これは、単なる1例でしかありませんが、舐めていると怪我をします。この様な内容が多いのが「特約」です。この内容だけは、十分に理解をしましょう。
特約の内容で、他に良く出てくるものは・・・
・借主退去時のルームクリーニングの費用は、借主の負担とする。
この様な文章を良く見かけます。この文章自体が完全にNGとはいえませんが、借主さんも大家さんも注意が必要です。この書き方だけでと、実際にどの程度の負担金がでるのかわかりません。その範囲も、どの程度の物か想像がつきません。
民法改正も準備が進められているさ中ですから、約○○○○円という様な表示か、約○○○○円/㎡という表示とどの様な内容を予定しているのかを記述する方が親切ですし、その方向は借主さん大家さん共にいいと思います。
・契約締結日以降、契約開始日までに借主が解約の申出を行った場合、損害金として賃料の2か月分を貸主に支払う。
こんな文章も、良く見かけます。普通の場合、これほどタイトな期間での解約はあり得ませんが、借主さんに不測の事態が発生しないとも限りません。この文章が入った賃貸契約を交した場合、入居前の解約は「2か月分の家賃」が損害金として請求されます。
そして、賃貸契約は何事も無く終わっているのでしょうから、仲介手数料や礼金なども返還されません。ですので、キッチリと確認しておくべきですね。
但し、この文章が記載された契約書であるにも関わらず、大家さんが「○○の金額は返しましょう。」などと言ってくれる事もある場合がありますが、それはあくまでも「善意」での話です。その時は、素直に感謝しましょう。 間違っても悪態をついてはいけません。
※ このように、聞いていただくと「すごく重要」な事が理解いただけたと思いますので、ここでお話しした事や「特約」として記載されている事だけは、十分に理解・確認してください。
それと老婆心ではありますが、借主さんは「大家さんとの人間関係」を大切にしてください。賃貸契約の特約などで「キッチリ」決められている事であっても、人間同士の付き合いなどが良い影響を及ぼす事も良くあることです。
そういった目に見えない事も「情けは人の為ならず~~~」という事もあります。良好な関係で悪い事は起きません。こちらも参考にしてください。
この記事を書いた人
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