普通借家契約とは|貸主からの解約や中途解約について
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/11/02
「普通借家契約」とは、建物を賃貸して住居とする為に「借主と貸主」で取り交わす契約の事です。この契約は「借地借家法」が大本になっています。この借地借家法の成立した状況から、話をしていく方が「しっくりとわかり易く」なると思いますのでその説明からしていきます。
【借地借家法成立の経緯】
「借地借家法」はもともと大正10年4月に成立した「借地法」「借家法」という2つの法律が大本でした。この法律が出来た当時にも、その当時にも「当時の民法」が存在し取引の「公正・平等を原則」にした物でした。
ただ、大正時代の「地主」(大家さん)と「店子」(借家人さん)には、現在では想像しにくい「立場の違い」が存在していました。当時は、今のように個人が自由に住宅を購入できる時代ではありません。ハウスメーカーもほぼいませんし、住宅ローンも存在しません。
因みに、銀行の住宅ローンが商品として市場に登場するのは、昭和42年です。その当時、土地を所有していたのは「大地主や企業、上流階級の方々、政府」がその殆どでした。農家は別として、一般の庶民は土地を借りる、建物を借りるしかありませんでした。
ここまでの説明でも十分に伝わったかもしれませんが、当時の日本にはまだまだ階級の様な物が残っていました。そして、土地・建物を所有しているのは上級の方です。もうすでに力関係が発生しています。
昭和に入ってからでも実質的には階級制度はなくなっていないのですから…。そのなかでは、弱者を守る法律にしなければ成立しない訳です。そんな背景があって、借地借家法は借主さんを保護する色合いが強くなっているのです。
皆さんも記憶に新しい部分では「バブル時代の地上げ」の立ち退きなどでも、酷い追い出しが行われたりしていましたし、現在でも賃貸住宅の退去時の「原状回復」の揉め事なども、その延長ではないでしょうか。
【普通借家契約とはどんなものか】(建物の賃貸借契約)
1 契約の方法
原則、書面による契約でも、口頭による契約でも可能です。
ただ、今の世の中の煩雑さを考えれば、トラブル予防のためには「契約書」などの書面は必要です。
※ 不動産業者が仲介に入った場合は、書面は必ず作成されます。(法律で義務化されます)
2 更新の有無(貸主からの解約)
貸主からの解約は「正当な事由」がある場合のみで、無い限り更新されます。
この正当事由の判断は、貸主・借主の建物の使用を必要とする事情の優劣が最大の判断基準になり家賃の支払い状況等の、この賃貸借契約の経過状況や、建物の利用状況や現況、更新を拒絶しようとする貸主から借主への「立ち退き費用」の提供・その額などを総合的に判断されるわけです。
大家さんの「正当な事由」はこの通り、非常にハードルが高く借主さんが住みたいと思っている間はほぼ、住み続けることが出来ます。(借主さんにやさしく出来ています。)
更新の話合いや、更新期日を忘れていたなど理由の如何を問わず、更新期日を過ぎても更新が行われなかった場合は「法定更新」と見なされ、そこからは「期間の定めの無い契約」となり契約は継続します。
3 契約期間は?
普通借家契約で、1年未満の期間を定めても「その期間設定」は無効になり「期間の定めの無い契約」と見なされます。これも契約期間を短く設定する事が、借主に一方的に不利を生じさせるので無効になるパターンです。 因みに「期間の定めの無い契約は」当然、更新が無くなります。
4 賃料の増減に関する特約の効力は?
特約に拘わらず、借主・貸主ともに双方から賃料の増減を請求できる。但し、請求=決定では無いので注意も必要です。あくまでも、借主・貸主の合意が基本。双方の合意が取れなければ、実現が難しいです。(訴訟なり調停なりが必要になります。)
※ 一定の期間、増額しないなどの特約などがある場合、その特約に従う。
5 借主さんからの中途解約は?
特約があれば、その定めに従う。現在では、解約の1~2か月前に申し出れば有効に解約できる特約が、ほぼ付いています。ここは、確認しておきましょう。この特約が無いと、中途解約する時に「残りの期間の家賃を請求」される可能性があります。
以上の内容が「普通借家契約」です。
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この記事を書いた人
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