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不動産賃貸募集の仲介手数料と広告料(略称AD)とは

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不動産賃貸住宅の仲介に係る「仲介手数料」についてのお話しをします。賃貸住宅を仲介してもらった場合、実際に支払う仲介手数料は、誰がどれだけ支払うのか?

・借主さんが家賃の50%の仲介手数料を支払う場合、貸主から貰える仲介手数料は家賃の50%まで
・借主さんが家賃の100%の仲介手数料を支払う場合、貸主からは貰えません
・借主さんから仲介手数料を貰わない場合、貸主から貰える仲介手数料は家賃の100%まで

以上が「宅地建物取引業法」で定められた報酬額の上限です。

これは、不動産業者があいだに何社いたとしても、1円たりとも増やせません。つまり、賃貸募集の場合は「家賃の1カ月分」が絶対的な上限金額なのです。ただ、宅地建物取引業法には「依頼者から特段の広告などの要請があった場合、その広告料などを併せて請求できる」という、抜け道の様な規定が存在しています。

そのため、賃貸不動産業界では「そこをプラスに解釈」といいますか、自分たちの都合のいい方向に解釈して、借主さんから1カ月分の仲介手数料を貰ったうえで、さらに大家さんから「広告料」という名目で、1カ月分の家賃(普通に仲介手数料と同じ金額)を貰っています。もっと凄い不動産屋さんだと「広告料」名目で2カ月、3カ月なんてことをしています。

大家さん側に立ってみても、決して納得できる話ではないと思いますが、賃貸経営をしている大家さんにとっては、空き住戸を長い期間抱えるのは、非常につらいことです。

今の賃貸住宅に入居者を募集する手立てが、不動産業者にお任せするというのがほとんどで、大家さんには、あまり選択肢がありません。一時期のように、世の中の景気のいい時でしたら入居者の募集も今ほど苦しまないかもしれません。

しかし、世の景気もあまり良くないうえに、新築の賃貸物件もどんどん増えています。一番恐ろしいのが、頼みの不動産屋さんの属する業界の悪癖です。 

ややこしい賃貸のウラ側 

大家さんが、自身の物件を管理してくれている管理会社などを通じて入居者の募集をしたとしても、その先の実際に入居者を案内する不動産会社は、自分たちの実入りがいい物件しか興味を示しません。そこで業者間で流通する賃貸募集広告の「不動産業者の報酬」が記載されている部分を熱心に見て、「儲かる物件」の情報を集め、その物件を優先的に入居希望者へ案内します。ここに「AD」や「B」と呼ばれている広告費、バックマージンが記されているのです。

※AD=広告料として不動産会社が受け取る「法的に仲介手数料」と呼べない分の収入
※B=バックマージンとして、入居付けをする営業担当が直接もらえる「袖の下」のような収入

では、この費用は誰が負担しているのか? ずばり!借主さんです。

「え〜〜! 酷い! 知らなかった〜 」となりますよね。そのカラクリは次のようになります。

不動産業者が一人勝ちのシステム

物件募集する際に、管理会社が大家さんにかけあって「敷金:2カ月 礼金:1カ月」の内、入居者募集を頑張りますから契約した際、そのうちの敷金1か月分と礼金1か月分(計2カ月分)をADとして当社にください、とやって、交渉が成立したとします。

そして不動産業者向けの「募集の広告の図面」に「AD100%」と記し、業者間でその情報を共有します。それを見た入居付けを担当する不動産会社が、その物件に入居希望者を案内、成約した場合のお金の流れは次のようになります。

1.大家さんが2カ月分を管理会社に支払う
2.管理会社は受け取った2カ月分のうち、1カ月分を入居付けした不動産会社に支払う(管理会社は1カ月分の収入)
3.入居付けした会社は借主さんから1カ月分の仲介手数料を得られれば、計2カ月分の収入となる
※管理会社がほかの不動産業者に依頼せず、借主さんを自社で見つけ、借主から1カ月分の仲介手数料を得られれば、合計3か月分の収入になります。

これって冷静に考えてみてください。大家さんの立場では敷金・礼金を削られていますが、借主さんは「敷金:2カ月 礼金:1カ月」、そのうえ「仲介手数料」を払っています。これが前述のカラクリの仕組み、つまりADは、借主さんが負担しているということなのです。

大家さんは空き住戸を埋めるため、突っぱねる訳にもいきません。借主さんは賃貸での業者間のお金の流れなど分かるはずもありません。そして、その皺寄せは借主さんに。

この流れを断ち切るためには、一人ひとりが意識を高めるほかないのです。

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この記事を書いた人

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