これがわからないと賃貸経営はできない!所得とキャッシュフローの違い

キャッシュと住宅

賃貸経営において一番重要なことは、現金の手残りがいくらになるかです。 借り入れをして購入しているような場合には、確定申告の所得は黒字になっているけれども、収支(キャッシュフロー)は赤字になっていることがよくあります。

キャッシュフローが赤字になっていないか常に確認が必要です。 そのためには、税金計算上の収入金額、必要経費と実際の収入、支出が異なる場合があることを理解しなければなりません。 「これがわかっていないと、賃貸経営はできない」と言っても過言ではありません。

●お金が入らないが、収入金額になるもの
・・・家賃の滞納金
滞納があって、家賃が入らないため、お金が入ってきませんが、所得としては、収入にあげなくてはいけません。
●お金が入るが、収入金額にならないもの
・・・敷金・保証金
敷金や保証金は、契約時にお金が入ってきますが、一般の契約では、退去時に返還するものになりますので、所得計算としては、預り金となり、収入にはなりません。
●お金が出ていくが、必要経費にならないもの
・・・借入金の元本、所得税・住民税、生活費
借入金の利息は経費になりますが、元本の返済は経費になりません。また、所得税や住民税もお金が出ていきますが、経費にならないものになります。 生活費も当然経費になりません。
●お金が出ていかないが、必要経費になるもの
・・・減価償却費、青色申告特別控除
減価償却費は、減価償却資産の購入時には、お金が出ていきますが、それ以後はお金が出ていきません。お金が出ていかなくても減価償却費として必要経費になります。

このように、所得計算と実際の収支計算にはズレが生じるのです。 表にして並べてみると違いがよくわかります。

左側が、所得計算です。つまり確定申告で使う数字です。 右側が、実際の収支計算(キャッシュフロー)になります。

確定申告書では、課税所得として、685万円も出て大きく黒字になっていますが、 キャッシュフローでは、最終的な手残りがマイナス44万円になっています。

この違いは何かというと、主なものとしては、

  1. 家賃収入の金額(滞納分が違う)
  2. 所得計算では、減価償却費が計上されているが、キャッシュフローでは計上されていない。
  3. キャッシュフローでは、借入金の元本が計上されているが、所得計算では計上されていない。
  4. キャッシュフローでは、所得税・住民税・生活費が控除されている。

このように、所得計算とキャッシュフローが違うことを理解していないと、所得が出ているからといって、浪費してしまい、実はキャッシュフローがマイナスになっていることに気が付かないことがよくあります。

賃貸経営において、現状分析は非常に大切です。 確定申告上の所得だけを見ていても、経営はできません。キャッシュフローは別物と考えて、しっかり把握しましょう。

年間所得計算書と年間キャッシュフロー表
(注)復興特別税については、考慮していません。

この記事のコラムニスト

渡邊浩滋
渡邊浩滋(司法書士・税理士)
渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。
大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。
[著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。
[担当]不動産登記
渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。