ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

「民泊」と「旅館業法」の「簡易宿所」の違いについて(1/2ページ)

熊ヶ谷一幸熊ヶ谷一幸

2017/02/06

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

訪日外国人の急増で、宿泊施設の確保が急務となっており、その解決策として一般賃貸住宅を宿泊施設として貸し出す「民泊」に注目が集まっています。しかしながら、現状法整備が追い付いておらず、現在Airbnbなどで実際に民泊事業を行っている方は、旅館業法に抵触しているのが実態です。

関西圏を中心に現状を整理してみます。ご存じの部分も多いかもしれませんが、今後条例等が制定されていくであろう「民泊」と「旅館業法」の「簡易宿所」の違いについて、まず記載致します。大阪府・兵庫県・京都府に関しては、国家戦略特区法により、民泊の特区として指定されており、近い将来民泊の制度を定めた条例が制定されることになると思われます。

大阪府に関しては、既に民泊条例が制定されて申請受付が開始されています。この大阪府の条例は、政令指定都市や中核市には適用されませんので、大阪市・堺市・東大阪市・豊中市・枚方市には適用がありません。また吹田市等の一部市町村では、そもそも民泊を受け付けない方針とのことです。大阪市は、去年1月15日に民泊条例が可決されています。

しかしながら、「民泊」については注意が必要です。いわゆる民泊条例は、まず「外国人」を対象としたものです。よって、民泊条例に基づき、届出(許可)を行った物件において日本人(日本在住の方)を宿泊させることはできません。また、期間が最低7日以上と定められていますので、訪日外国人の平均宿泊数3~4泊は受け入れることができないことになっています。今後、例外も規定される可能性は十分にありますが、上記の点がネックになりそうです。

日本人や短期宿泊者をターゲットにするには、「民泊」ではなく、今後も「旅館業法」の「簡易宿所」の許可を取得する必要が出てくると思われます。「民泊」の届出(許可)の要件はまだ明確に定まっていませんが、「旅館業法」の「簡易宿所」よりも相当にハードルは低くなると思います。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

不動産鑑定士

株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。

ページのトップへ

ウチコミ!