法令遵守の重要性~法的リスク~

六法全書

日本は法治国家ですから、我々は法律を守らなければ社会生活を営む資格を得ることが出来ません。法律を守ることは大切です、といえば誰もが賛成してくれると思います。

しかし、不動産市場の現場ではまれに法に抵触するケースがあります。例えば、今注目されている民泊についても、現在Airbnbなどで民泊事業を行っている方の多くは、旅館業法違反となっています。法整備が追いついていないため、抵触されている方が一斉に検挙されることはありませんが、今後法律が整備され基準に満たしていない場合には法で裁かれることになります。

最近のマスコミ報道でも、国としては、民泊事業に求める基準を2段階で緩和し、民泊を経済政策の1つとして積極的に取り組む姿勢のようですので、動向にはとても注目しています。民泊というタイムリーな話以外にも、よく法律違反をお見受けします。

一つの例として、「消防法」を挙げます。(違反している不動産物件が多いため)。 不動産鑑定において、売買物件の調査や担保物件の調査を良く行いますが、消火用設備点検が行われていないことがかなりの割合であります。感覚的には、所有者の自主管理物件で多い傾向があります。

アパートタイプの物件では、消火器がそもそも置いていなかったり、使用期限が切れていたりします。こういったアパートは毎年の点検と3年に1回の報告が法律で決められていますが、何もしていない物件が多いように感じます。

マンションタイプの物件では、床面積が大きくなることから、消防法上の縛りが厳しくなり年2回機器点検と年1回の総合点検の実施が義務付けられていますし、消防署も調査を厳しくしています。それでも、点検を実施していないケースがよくあるようです。

点検をしない理由は、そういう義務があることをそもそも認識していないケースやただ単に点検コストがもったいないからということのようです。 不動産投資・賃貸経営を行う上では、様々なリスクを極力排除していく必要があり、多くの投資家・オーナーは空室リスクや修繕リスクだけに注意が行きがちですが、法的リスクについても、もう少し注意した方が良いのだろうと思われます。

消防用設備点検を行っておらず、火災によって人命が失われた場合、オーナーや管理会社が逮捕されたり、遺族から損害賠償請求を受けるリスクがあります。当然、知らなかったということで済む話ではありません。

新規で賃貸経営に参入する場合は、建物を所有することで様々な法律による規制を受けることを認識し、事業を行っていく必要があります。法的リスクについて、再認識することが大切です。

この記事のコラムニスト

熊ヶ谷一幸
熊ヶ谷一幸(不動産鑑定士)
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。
趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。
[担当]物件調査
熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。