不動産投資のポイント①-物件資料編

物件情報

収益物件の売買情報は市場に多数ありますが、その中で投資するに値する優良な物件情報は、ほんの少しです。また、集めた収益物件情報の全てを内覧する事は現実的には困難です。まずは物件資料をしっかりとチェックし、見に行く価値のある物件を選別しましょう。

■利回りについて
利回り=年間収入÷購入金額(投資金額)
利回りが上記算式で計算される事は殆どの方がご承知でしょうが、物件資料に利回りと表記されていても、資料によって「表面利回り(グロス利回り)」が記載されている場合と「NOI利回り(経費控除後利回り)」が記載されている場合がある事にお気づきでしょうか?
また、「表面利回り」と「NOI利回り」も、更にそれぞれ現況収入のままで計算した「現況利回り」と満室になったと仮定して計算した「満室想定利回り」という2種類に別れています。ややこしい事に、同じ「利回り」という表記であっても、資料によって記載されている内容は異なり、「表面&満室想定賃料」、「表面&現況賃料」、「NOI収入&満室想定賃料」、「NOI&現況賃料」の4種類の組み合わせの中から、各々の不動産会社が採用する利回りを記載している訳です。この4種類の利回り違いは、利回りを計算する際に分子となる年間収入をどう計算するのかによって異なるものです。なお、分母となる購入金額の値は、どの利回りが採用されている場合であっても基本的に同じです。
では、この利回りの高低には、一体どのような意味や差があるのでしょうか?
一見すると、利回りが高い物件の方が、投資に対するリターンが大きいため、魅力的な投資商品に映ります。しかしながら、利回りの高い物件を見つける事が、そのままお値打ち物件の発掘に繋がるという訳ではありません。収益物件も投資商品である以上、他の投資商品と同じく、一般的に以下の法則が成り立ちます。
「リターンの高い商品(ハイリスク)」=「リスクが高い商品(ハイリターン)」
「リターンの低い商品(ローリスク)」=「リスクの低い商品(ローリターン)」
確かに、利回りは収益物件を選定する上で、最も大事な指標の一つではありますが、利回りだけに着目して収益物件の購入を行うと思わぬリスクを抱える事になりかねませんので、十分注意をしましょう!!
■立地条件について
収益物件の収入は、その物件を借りる入居者やテナントの賃料収入から得られます。よって、収益物件の購入を検討する時はその物件の借り手の立場になって検討する必要があります。中でも最寄駅への距離や周辺環境は、 非常に重要な要素といえます。又、マンションであれば生活関連店舗、学校区等の建物用途毎に入居者が求める立地条件は異なるので、誰をターゲットとする物件なのか、具体的なイメージを持って検討する事が重要です。(マンションでも、ファミリー向けとシングル向けでは、求める立地条件が異なる事にご注意下さい。)
現地内覧時には、現地周辺に嫌悪施設(臭気、騒音を伴う工場、墓地、葬儀場等)の有無についても、事前に住宅地図などで確認しておきましょう。又、マンションならそのエリアの人口増減率や所得水準を調査する事も、不動産投資成功の確率を高める上で有用な手段です。
■築年数など
1981年に建築基準法が改正され、建物の耐震基準が大幅に強化されています。よって、1981年前後に建てられた建築物は、それ以降の建物と比べ耐震性が劣る可能性がありますので注意が必要です。また利回りが高くとも、築年数が古ければ、既存の建物が賃料を生んでくれる期間が短くなるばかりか、大規模修繕費などが必要となり、 賃料収入の大部分を改修費用などに費やすはめになる事もあります。特に築年数が経った物件では、それまでの所有者が計画的メンテナンスを行なってきたかどうかで、購入後の改修費用が大きく異なります。内覧時に躯体に歪みが無いかなどをしっかりとチェックするとともに、可能な限り過去の改修履歴の提出を求めて、その内容をしっかりと精査しましょう。
■遵法性について
建物の建築は建築基準法によって制限されています。この建築基準法に適合した建築物であることを証明するために、建物建築前に「確認済証」、 建物建築完了時には「検査済証」が行政機関(民間検査機関)から交付されます。
残念ながら、私の地元「大阪」では他の都道府県と比べて、確認済証や検査済証の交付を受けていない物件の割合が高いので、十分な注意が必要です。利回りが高く、立地や築年数に問題が無くとも、違法建築などにより遵法性に問題があれば、金融機関の融資が受けられない可能性が高まるので特に注意が必要です。また仮に自己資金で投資したとしても、融資先が確保できない物件では、売却が難しくなります。また、検査済証があっても、検査時点から用途変更・位置変更等、官公庁に届出を要するような大きな変更が行なわれていないか、確認しておく方が望ましいでしょう。そのほか、各自治体により設けられた駐車場附置義務や景観条例等の条例を充足しているか否かについても、チェックする事をお勧め致します。
■その他について
最後に、案外見落としがちなポイントが既存入居者との賃貸借契約書です。現在の所有者又は管理会社がしっかりした賃貸借契約書を作成・使用していない場合、将来時点で入居者との紛争が起こる可能性があります。特に敷引や原状回復などに関わる文言は、契約書の表記方法によっては、その記載内容が消費者保護法や民法上、無効なケースが多く、入居者から「契約書に記載された敷引や原状回復義務を無効とする訴えを起こされ家主側が敗訴するケース」が激増しております。
今後、更に敷引・原状回復による紛争が増える事は、ほぼ間違いない状況下にありますので、収益物件の購入を検討する際には十分注意しておく事が必要です。

この記事のコラムニスト

熊ヶ谷一幸
熊ヶ谷一幸(不動産鑑定士)
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。
趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。
[担当]物件調査
熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。