建物の外観からわかる「倒壊の危険性」 内見で確認したい場所

2025/10/25
先月、杉並区にある木造二階建ての住宅が倒壊するという事故がありました。
1968年に建ったお家なので、築57年。私の祖父母の家も、確かそのくらい。家の周りにも築古の戸建や集合住宅があります。これは長く外壁塗装などのメンテナンスをしていないだろうな〜という物件も、ちらほら。お部屋探しでは「倒壊のリスクがありそうな物件」を見抜き、そこは選ばないように気をつけましょう。

❶倒壊の危険性とチェックする場所
建物が倒壊してしまう要因の一つが、老朽化。長年の直射日光や雨風の影響。さらに地震などの揺れによって、建物にダメージが蓄積します。定期的な外壁塗装・耐震工事などがなく、長年放置すると倒壊リスクが高まります。(建物自体が違法建築や手抜き施工で建っていたり、地盤が弱い場所に建っている場合も倒壊の原因になります。)
<倒壊の危険性があるサイン>
- 外壁に「斜め」や「十字」のひび割れがある/住宅の構造バランスが崩れている可能性がある
- 基礎に水平方向のひび割れが発生している
- 幅や深さが 1mmを超えるひびは、建物自体に問題があるかもしれない
- コンクリートが朽ちて鉄筋が見えていたり、錆びている
- ベランダや階段がたわんでいる
- 雨樋や屋根が傾いている
- 周囲の地面や基礎に沈下・段差がある
- 建物の片側だけ沈んでいる
<物件の内部で注意するポイント>
- ドアや窓が閉まらない/閉まりづらい
- 床が傾いていたり、歪みを感じる
- 天井や壁に、雨漏りや漏水したようなシミがある
- 鉄骨が赤茶色に錆びて膨らんでいる
- 木造で柱の根元が黒ずんで柔らかい(シロアリ被害で柱が朽ちている可能性もある)
❷丈夫な構造と強い地盤
<丈夫な構造>
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、建物の中でも丈夫な構造です。1981年6月以降に建てられた「新耐震基準」対応のRC/SRC造だと安全性が高くなります。耐震等級2以上や免震・制震構造ならさらに安心な構造です。
<強い地盤とは>
建物の構造が強くても、地盤が弱ければ地震などで倒壊のリスクは上がります。強い地盤とは、地層年代が古く締め固まった地盤です。台地や丘陵地の平坦部や昔から住宅地になっている場所。盛り土ではなく、そのままの地形で使われている場所など。
反対に地盤が弱いのは、盛り土に建っている建物や、液状化のリスクがある埋立地。急な崖や斜面の近く。河川や用水路沿いなどです。
❸倒壊を防ぐメンテナンス
<持ち家の場合>
- 定期的に外壁塗装をする/外壁や建物自体を長持ちさせるために必要
- 耐震診断を受けたり、足りない場合は耐震補強などをする
- 重い荷物や家具などを家の片方だけに置かない(傾きが悪化する恐れ)
<賃貸の場合>
- 物件に異常があれば(外壁のクラックなど)写真を撮るなどして管理会社へ早急に報告
- 屋根や雨樋の破損なども気づいたら早急に報告
<あとがき>
リノベーションをして綺麗な外観・内装をしていても、実際に中へ入ってみると「床が傾いていた」「窓が閉めづらい」など気がつくこともあります。自分の目で見て、ときには触れて確かめることも大切ですね。
(絵・文/ながれだあかね)
この記事を書いた人
イラストレーター・ライター
武蔵野美術大学芸術文化学科卒業後、幼児教室にて絵の講師、不動産インターネットメディア事業「ウチコミ!」の広報部を経て、独立。現在はイラストレーター・ライターとして活動中。「お部屋探し」をテーマにした四コマ漫画を始め、似顔絵、結婚式のウェルカムボード、音楽をテーマにした作品を制作。水彩画を中心とした絵を描く。趣味はラジオと落語を聴くこと。 イラスト等のご依頼・ご相談は、下記URLのContactよりお気軽にお問い合わせください。 ながれだあかね 公式ホームページ https://nagaredaakane.morutto.com/






















