内見で気付こう。暮らしにくい部屋、使い勝手の悪い部屋
賃貸幸せラボラトリー
2024/12/24
住んで分かる・暮らしてみて分かる
賃貸住宅の内見で、賃貸マンションやアパートを訪れたとき、皆さんはまずどこに目が行くだろうか?
ちなみに、部屋に入った瞬間、窓に歩み寄る人は結構多い。そして、外をいっとき眺めるなどする。日当たりや、部屋の明るさ、そこから見える風景といったものに最初の感想を漏らす人が、実際に案内をすると少なくない。
この記事では、「内見で気付こう。暮らしにくい部屋、使い勝手の悪い部屋」と題して、実際にひろい集めたいくつかの声を紹介していく。これらは、いわば「住んで分かる」「暮らしてみて分かる」事柄の一部だ。
経験談を先に聞いておくことで、来たる部屋選びの際、あなたの役に立つかもしれない。
郵便受けが小さい・ドアポストしかない・雨に濡れる・中が見える
まず、外まわりからスタートしよう。ある古い賃貸マンションに入居したAさん。彼を困らせたのは、郵便物などを受け取る「集合ポスト」のサイズが小さすぎることだった。
「住み始めてから気が付きました。ウチのは本当に小さいんです。A4の書類が入った封筒や冊子などは、必ず折り曲げられてしまいます。だけでなく、外に大きく飛び出す始末。ポストに投函される形式の宅配便ももちろん入らないので、いつも再配達です」
内見の際は、部屋の内側ばかりに気を取られ、郵便受けには注意が向かなかったというAさんだ。
ほかにも「郵便受けがストレス」の声はよく聞かれる。たとえば……
「私の住むアパートには集合ポストがありません。小さなドアポストが各部屋にあるのみです。大きめの郵便物はギュウギュウに畳まれるか、あるいは外にはみ出す状態です」
「集合ポストの位置が悪い。雨が当たります。内部に染み込んだ雨水で、郵便物がしょっちゅう濡れてしまう」
「投函口にフタがないため、何が入っているのか外から丸見えです。見られたくない郵便物が届くこともあるし、盗難も気になるしで……」
「私の場合、ドアポストしかない状況に困った挙句、管理会社に断った上で、大きな自分用の郵便受けと、それを置く台を買いました」
コンセントが少ない・位置が悪い
部屋にあるコンセントの数や位置については、内見の際、忘れずチェックする人が最近は増えてきた。それでも「うっかり見逃した」との声はやはり少なくない。コンセントが少なかったり、位置が悪かったりすると、以下のようなストレスが生じてくる。
- タコ足配線しがちになり、火災の危険が増す
- 延長コードが床を這うことで、足をひっかけやすくなったり、掃除しにくくなったりする
- 少ないコンセントを塞ぎたくないため、家具を好きな場所に置けない
なお、以下は、食器棚に塞がれたコンセントを致し方なく使っていたというBさんの声だ。
「棚の裏側の奥深くにあるコンセントから引いた延長コードを長年使っていました。引っ越しの際、様子を見たところ、プラグがやや抜けかかった状態になっていて、しかもホコリが溜まっていました。トラッキング現象(ホコリを介してのプラグの発火)が起きる一歩手前だったようです。火事にならなくてよかった……!」
携帯電話や、モバイルバッテリーをはじめとして、コンセントを長い時間占領する充電型の機器が増えた昨今、コンセントの数と位置は、暮らしの利便性のみならず安全性も左右する大事なポイントのひとつだ。
さらに、こんな奇妙(?)な物件も。
「広めの1Kですが、居室にはワンセット2口のコンセントがひとつあるだけです。キッチンには物件備え付けの冷蔵庫用が1口ありますが、場所は冷蔵庫を移動させなければ手が届かない奥の方です。なので、調理・キッチン用の家電を使いたくとも、近くに電源を探せません」
その一方で、
「梯子をのぼったロフトの壁に、もう2口コンセントが付いているんです。私はロフトを物置に使っているので、こちらはハンディクリーナー用に1口でいい。そのため、そこから延長コードを居室内に垂らし、先端をタコ足にして、色々としのいでいます。思えば奇妙な建物です」
掃除しにくい水まわり
内見の際、水まわりのチェックを怠る人はまずいない。ただし、その際注目されがちなのは、第一に「キレイかどうか」。第二に「機能」といったところだろう。
加えて、自炊をする人がキッチンの広さを気にしたり、くつろいで入浴したい人がバスタブの大きさにこだわったりすることはあるものの、一方で、見逃されやすいのが「掃除のしやすさ」だ。
ある賃貸マンションに暮らしていたCさん曰く、
「キッチンの水道まわりに、手も指も入らないところが多く、日ごろの掃除が行き届かない状態。そうこうしているうちに、カビ汚れやカルキ汚れがひどくなり、見るたびストレスに。次の引っ越し先は、調理と食器洗いのたびにサッとひと拭きで掃除ができる物件にしました」
同様に、水洗トイレのタンクまわりや、洗面台の周辺、バスルームなど、快適に暮らしたければいずれも要チェックポイントだ。
玄関から部屋の中が丸見え
内見で部屋を見る機会は、当たり前だが、その部屋にまだ暮らし始めていない時点に訪れる。そんな前提もあり、入居後少ししてから、重要な問題に「アッ」と気付いたというのが、Dさん、20代の女性だ。
「部屋はワンルーム。玄関ドアを開くと、外からベッドのある奥の方までが真っ直ぐに見渡せてしまうんです。宅配便のスタッフの方が初めて来られた時に気が付きました」
そこで、目隠しにカーテンを下げようと思ったものの、構造上うまくいかず……
「今は、荷物などが届いたら、オートロックを開錠操作したあと、すぐにドアの外へ飛び出すことにしています。3階にある私の部屋まで先方が上がって来ないうちに、玄関前に出て、ドアは閉じ、その場で待機です。なので、いつもバタバタです(笑)」
ちなみに、Dさんのお悩みに関しては、「宅配ボックス」や「置き配」を活用して切り抜けられる場合もある。
しかしながら、Dさんの住む物件に宅配ボックスはまだ無いそうだ。そこで、インターホン越しに置き配を頼もうとしたところ……
「荷物じゃないんです。書留郵便です」
そんなパターンもあって、やはりバタバタしたそうだ。
うるさい。眩しい。ワンルームで知ったこと
長年にわたる恋人との同棲が破綻、同時に失業も加わったため、広い1LDKの部屋から初めてワンルームに移り住んだという男性、Eさんによる素直な感想だ。
「まず、ワンルームのよい点。狭いので暖房費も冷房費もさほどかかりません。以前に比べると格安です」
一方、驚いたのは、
「意外なことでした。冷蔵庫の作動する音が、深夜びっくりするほどうるさいんです。さらに、インターネットのルーターの光がやはり夜中眩しい。寝る場所と同じところにさまざまな機械があるというのは、こんなにもストレスなんだと初めて知りました。ちなみに、冷蔵庫と代わりばんこに音を立てていたコンプレッサー式のワインセラーは手放しました(笑)」
冷暖房費をしっかり節約して、Eさんにはぜひ人生再チャレンジを図ってほしい。
窓は生活の「質」を左右する重要アイテム
最後に。この記事の冒頭、内見で部屋に入った瞬間「窓に歩み寄る人は結構多い」と書かせてもらった。
窓こそ、健康面、快適面、さらには節約面、賃貸での生活の質を左右する最重要アイテムと言っていいだろう。
理由は、窓が「熱の通り道」であるからだ。室内と外を出入りする熱のうち、5割以上が窓を通過するとの研究結果もあるほどだ。
夏暑く、冬寒いタイプの残念な窓……
すなわち、不健康と、光熱費の余計な出費を招く以下のような窓にぜひ注意したい。残念ながら、古い物件を中心に、これらは賃貸でよく見られる。
- アルミサッシのガラス1枚窓
- 手回しハンドルの付いたルーバー窓
アルミサッシの1枚窓は、掃き出し窓など居室のメインとなる窓、さらには、出窓などそれに次ぐ広さの窓に使われていることが多い。熱を通しやすく、冬は冷気が床を伝って広がるコールドドラフト現象を起こす原因ともなる。
一方、ルーバー窓は、キッチンや浴室、トイレなどによく見られる。通常、サイズは小さい。ハンドルを手回しし、羽重ねされたガラス板を動かして開閉する。1枚窓であるだけでなく、構造上、閉じても隙間が生じるのが最大の難点だ。
一方、部屋の窓がいずれも以下のような仕様であれば、熱環境の面である程度安心できる。
- 窓が2重に設置されている「二重窓」
- 窓ガラスが2枚以上重ねられ、気体の層を挟んで一体化している「複層ガラス」
- ガラスがはまっている枠=サッシが、熱を通しにくい「樹脂製」
なお、これらを採用している物件では、1、2、3がセットになっていることも多い。すなわち「窓全体が二重窓であり、複層ガラスや樹脂サッシの窓がそのうち一方あるいは両方で使われている」かたちだ。入居者思いの仕様と言えるだろう。
こうした窓に囲まれた環境に暮らす人から、「二度と貧弱な窓だけの部屋には住めない」との声がよく聞かれるくらいに、両者の差は大きい。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室