お客さんだけが知らない 普通の物件を「最高」と思わせる不動産仲介マンのストーリー営業術(5/5ページ)
大友健右
2017/02/07
営業マンの描くストーリーに乗せられないために
最後に、営業マンのストーリーに乗せられないためのヒントとして、私の経験談をお話ししたいと思います。
私が勤めていた不動産会社を退職して独立したばかりの頃、会社に泊まり込む日があまりに多かったので、会社の近くに1年ほどワンルームマンションを借りていたことがあります。
その部屋を探すとき、不動産会社の営業マンが最初に私を案内したのは、あるマンションの半地下の部屋でした。半地下の部屋は一般的に日当たりが悪く、上の階に比べて道路からの騒音の影響を受けやすいので好まれません。
まずは「残念な物件」から紹介するという営業マンのストーリーづくりが始まったのです。
私はすぐに、そのことに気づきましたが、「もういいから早く本命に案内してよ」というのは大人気ないですし、ふと、この後に営業マンがどういう行動を取るのか興味をもったので、黙って彼のストーリーにつきあうことにしました。
営業マンの手の内がわかっていれば、営業マンが描くストーリーに踊らされて、誘導されてしまうことはありません。
大切なのは自分が納得して部屋を選べるかどうかです。どんな物件を紹介されたとしても、自分が希望する条件をどれだけ満たす物件なのか、自分が本当に住みたい部屋かどうかを冷静に判断すればいいのではないでしょうか。
この記事を書いた人
株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。