入居後から退去時までにかかる費用いろいろ
細山勝紀
2016/01/04
入居してからもお金がかかる
入居が完了した後も、毎月の管理費や生活費に加え、契約を延長する時にかかる契約更新料など、なにかとお金がかかります。毎月の生活費はどのくらい必要なのか?長期で住むつもりの場合は、契約更新にどれくらいの費用がかかるのか、など必要な費用をきちんと把握して、無理のない生活設計をしておきましょう。
入居後にかかる費用
(1)共益費、管理費
ロビーや廊下の清掃や電球の交換など、建物の共有部の管理や修繕にかかる費用です。毎月家賃とは別に管理費・共益費として支払う必要があります。金額は物件によって異なりますが、通常3000円から1万円程度のことが多いです。
ロビーやエレベーターなど共有スペースや設備が多いほど高くなります。はじめから家賃に含まれている物件もありますので、家賃の一部と考えておきましょう。
(2)更新料
賃貸契約では契約期間が決まっており、2年契約が一般的です。契約期間が満了になった後も引き続き入居を希望する場合は、契約の更新料を支払う必要があります。更新料は家賃の1カ月分と決められている場合が多いようです。
また損害保険も2年間で申し込んでいることが多いので同じタイミングで更新が必要になります。家賃1カ月分の更新料プラス保険の更新料が1万円くらい、加えて当月分の家賃もあるので、契約更新の月はかなり出費が増えることを覚悟しておきましょう。
(3)生活費
家賃以外にも、食費や水道代、光熱費など生活するのに毎月かかる費用はいろいろとあります。トイレットペーパーや洗剤などの雑費もかかります。ひとり暮らしの生活費の一般的な目安としては下記のようになります。
食費 3万円
電気代 3000円
ガス代 4000円
水道代 3000円
雑費 1万円
生活費だけで1カ月に合計で5万円くらいかかると考えておくといいでしょう。自炊や節約など工夫しだいで安くすることができる費用なので使わない電気はこまめに消したり、電気消費が低い省エネ家電を使用するなど賢く無駄のない生活を心がけましょう。
退去時に請求が発生することも
退去時にも請求が発生することがあります。特に物件の原状回復義務、敷金返金についてトラブルになることが多くなっています。
敷金は保証金として預けているお金なので、家賃の滞納などがなければ原則として全額返金されるべきお金です。しかし、部屋の修繕や掃除費用を敷金から引かれたり、足りない場合は追加で請求されたりするケースもありますので注意が必要です。契約時には、どういう費用が敷金から引かれるのかを確認しておくことをおすすめします。
特に『原状回復義務』については正しい知識を持っておきましょう。入居者は退去時に原状回復が義務づけられていますが、これは『部屋を入居前と同じ状態に戻さなければならない』という意味ではありません。経年劣化による壁のひび割れなど、普通に生活していて生じる損耗の修繕は、入居者の負担とはなりません。そうした修繕費まで請求された場合には、契約書を確認するとともに、請求を認めることができないという主張を管理会社に伝えましょう。
しかし、明らかに入居者の過失とされる場合は、入居者が修繕費用を支払う必要があります。たとえば、カーペットにジュースをこぼした時にできた染みを放置していた場合のクリーニング代金などは、入居者に支払い義務が発生します。
普段から部屋をきれいに使用して、退去時に追加の出費が生じないよう気をつけましょう。
入居後もいろいろとお金がかかります。とくに契約更新時にはかなりの出費になります。忘れていると急な出費に戸惑うことになりますので費用は余裕をもって用意しておくようにしましょう。
この記事を書いた人
株式会社ストーンズ 取締役社長
一般財団法人日本不動産コミュニティー認定 不動産実務検定講師、1級建築施工管理技士、宅地建物取引士。 1978年、神奈川県出身。武蔵工業大学(現・東京都市大学)建築学科卒業。大学卒業後、安藤建設株式会社(現・安藤ハザマ)に入社。主に賃貸物件の施工管理・企画営業に従事。2006年、賃貸管理業務に特化し地域に根ざしたサービスを展開しているストーンズに入社。10年より社長に就任し、現在に至る。 10年よりシェアハウス事業に参入し、12年シングルマザー向けシェアハウス『ペアレンティングホーム高津』を、一般社団法人ペアレンティングホームと共同企画してオープン。全国でも珍しいシングルマザーに特化した子育て応援型のシェアハウスとして、多くのメディアに取り上げられる。そのほかにも、川崎市を中心として多数のシェアハウスを運営し、13年5月に著作『賃料収 入が2倍に!?申込殺到!のシェアハウスの作り方』を刊行。