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一戸建て賃貸に住む――そのメリットとは? 注意点は?

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賃貸・もうひとつの選択肢「一戸建て」

賃貸住宅といえば、アパートや賃貸マンションといった集合住宅がまず思い浮かぶ。特に、東京やその周辺など大都市部ではそうだろう。しかし、賃貸には集合住宅ではない「一戸建て」もある。借りて住む側として意外にメリットが多い「一戸建て賃貸」について、その良さや注意点をお伝えしていこう。なお、この記事の書き手は一戸建て賃貸居住経験者でもある。その際のエピソードも最後に加えておきたい。

1.一戸建て賃貸・メリット編

一戸建て賃貸は騒音に強いので「子育て」向き

ここでいう「騒音に強い」とはこういう意味だ。多少うるさい音を出しても一戸建てではアパートやマンションに比べて周りの迷惑になりづらい――。なので、一戸建て賃貸は子育てに向いている。

たとえば、子どもが部屋を走り回ったり、ソファやベッドから飛び降りたりするときの音や振動だ。集合住宅では、階下だけでなく床を伝って隣室にも響いてしまうことが多い。そのたび「ヒヤッとさせられる」「かわいそうだが子どもを叱らざるをえない」……そんな悩ましい状況から解放されるのが一戸建ての大きなメリットだ。ひょっとすると、住宅として一戸建てを選んで得られる最大の恩恵はこれなのかもしれない。

なお、子どもが出す音だけではない。日頃発生する生活音についても同じことがいえる。集合住宅――特に木造アパート等に比べて、段違いに気が楽になる。さらに逆の立場で、周りの騒音からも逃れられやすいのが一戸建てのメリットであることはいうまでもない。

ガーデニング、ペット、車……庭を使えるメリット

庭の広さ、敷地の空きスペースの大きさ……借りる物件によってもちろん使い勝手には差がある。そのうえで、適当な規模があって使いやすいとなれば、それも一戸建て賃貸の大きなメリットとなる。

たとえば、ガーデニングを楽しめる。車が置ける。子どもを安全に遊ばせられる。自転車やレジャー用品、遊び道具なども放置(?)できる。ペット、特に犬を飼いやすい……など、集合住宅に比べて格段の自由と余裕を手に入れられることになる。

もっとも、ペットについては、どんな種類が飼えるのか、そもそも飼ってよいのか? その点は一戸建てとはいえオーナーが存在する賃貸住宅なので、条件は契約内容次第となる。

設備の修理・交換費用はオーナー持ち

「エアコンが効かなくなった」「給湯器が壊れた。お湯が出ない」……賃貸借契約の対象となっている設備の故障や劣化にともなう修理、交換は、賃貸マンションやアパート同様、物件を貸すオーナーの責務となる。入居者が費用を出す必要はない。一戸建てを持ち家として所有、中の設備も全部自分のものという場合とは、ここが大きな違いとなる。

ただし、それらを交換するときには、自分の好きな機器等を通常は選べない不自由さは残る。また、設備がちゃんと動いて機能している間は、たとえそれが気に入らないモデルであっても、自ら交換費用を出さない限り我慢して使い続けるほかない。「古いエアコンなので電気代がかさむ。交換してくれ」など、なかなか言い出しにくい。

災害時につよく、環境が嫌なら引っ越せばよい

一戸建ては、借りるよりも持ち家として所有する人が多い住まいのかたちだが、そこには意外に重いリスクも伴われることは知ってのとおりだ。

ひとつは災害となる。台風や地震などの自然災害や、隣家の火災に巻き込まれるなどのいわゆる人災……所有物としての一戸建て住宅にこれらの被害が生じれば、持ち主は手持ちの資産に大小のダメージを受けることになる。一方、その家を借りている人にとってはそうではない。心配すべきは、自分や家族の命のほかは家財のみだ。

さらに、住まいを取り巻く「環境」が悪化した場合、持ち家として一戸建てに住んでいる人はなかなかそこから逃げ出せない。家や土地の資産価値が減少したりもして、まさに踏んだり蹴ったりだ。一方、借りている人は環境が嫌ならば“避難”が容易だ。ご近所とトラブルになり嫌がらせが絶えない……お隣がゴミ屋敷になった……引っ越しすればすぐに問題は解決する。

なお、以上述べたことは、ひとくくりには「一戸建て賃貸には所有リスクがない」ということになる。仮に税金もそのひとつと考えれば、一戸建て賃貸では固定資産税等を払わずに、戸建て生活を満喫できるということにもなる。

地域のコミュニティに参加しやすい

これは、一戸建て賃貸に住んでのデメリットになるケースもあることだが、ほとんどは逆だろう。恩恵となっている場合が多いように思える。

一戸建て住まいは、地域のコミュニティに参加しやすい。参加すると、町内会や自治会といった団体や、あるいはご近所同士のネットワークの中で、さまざまな情報を手に入れることができる。防災面・防犯面でのいわゆる「共助」の輪にも入れたりする。

こうしたコミュニティからの誘いや呼びかけには、アパートや賃貸マンションに住んでいるとなかなか出会えない。同じ賃貸でも、一戸建てならではのメリットといえるだろう。

反面、近所づきあいには、面倒が生じることもたしかにある。夫婦共働きで忙しいのにゴミ置き場の掃除当番を免れることが出来なかったり、ずいぶんと高めの町内会費を設定している地域だったり……。ただし、そうした環境が気に入らなければ、一戸建て賃貸ではさきほども述べたとおり引っ越しの判断が容易だ。

2. 一戸建て賃貸・注意点とデメリット編

ハード面での「不自由」は、一戸建て賃貸最大のデメリット

一戸建てを持ち家にする喜び、それはなんといっても自由なことだ。設備を最新の省エネ仕様のものに換えたい……窓の断熱性能を高めたい……収納をここに増やせばもっと便利になる……庭にはウッドデッキを……。一戸建て暮らしでは、そんな想いが日々生まれやすいものだ。その点、持ち家ならばあらゆる仕様変更もリフォームも、何もかもが自由に行える。誰に気兼ねする必要もない。

ところが、そんな一戸建ても賃貸となればそうはいかない。希望が叶うのか、叶うとしてコストは誰がどれだけ負担するのか? 賃貸借契約の内容も踏まえながら、全てがオーナー側との話し合いとなる。

まさに庭の隅から屋根のてっぺんまで――、敷地と建物のありよう全てが生活の快適さに直(じか)に影響してくるのが一戸建てというかたち・規模の建物だ。だからこそ、あってほしいこうした自由。それが賃貸では決して手に入らないのは大きなジレンマだ。

冷暖房、防犯対策……出費がかさむことも

集合住宅、特に鉄筋コンクリート造のマンションの途中階などに部屋があると、周りの部屋がいわば断熱材になってくれるため、温熱環境がとても快適であることが多い。

一方、一戸建ての場合は、屋根・床下もあわせて住戸の外側全てが外気に晒されている。断熱施工がしっかりとされていない場合、当然、寒さや暑さに悩まされやすい。一戸建て賃貸全般にいえる家賃の高さに加え、冷暖房費もかさむケースが生じやすいことになる。

さらに、防犯への負担も一戸建てでは入居者側に求められやすい。「近所で空き巣が多い。防犯カメラや人感センサー付きライトを家に取り付けたい」などとオーナーに相談しても、「設置はOKですが費用はそちらで」と、なることも少なくないだろう。それで守られるのは、もっぱら入居者個人の財産ということになるからだ。(実際にはオーナーの資産も守られる。給湯器、エアコン室外機、門扉等盗まれやすい金属製品など)。

入居者獲得に腐心する賃貸マンションが、セキュリティを充実させてそれを物件のウリにするような感覚は、一戸建て賃貸にはあまり浸透していない。

庭の草刈りは一戸建て賃貸では借家人の義務

一戸建て賃貸の広い庭。夏になると草がボウボウに生えてきた。ご近所への見映えも悪い……さて、刈り取ってキレイにするのはオーナーの責任か、入居者の義務か?

答えは後者だ。「庭付き一戸建てを借りるなら入居者は建物だけでなく庭も借りているものと理解し、きちんと管理しなさい」――すなわち、善管注意義務を果たしなさいとの判決が、過去の裁判で出ている。なおかつ、国土交通省のガイダンス(「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)にも、それをふまえた内容が明記されている。

つまり、賃貸マンションやアパートならば入居者の義務であるとは通常考えられない植栽・雑草の管理が、一戸建て賃貸では一転して入居者にふりかかってくるかたちだ。

もっとも、こうした考え方に限度はあるだろう。「建物の外壁が経年劣化でみすぼらしくなった。入居者の負担で塗装させる」と、いった例がもしもあれば、それはあきらかにおかしな要求だ。

では、その壁に「ツタが大量に這っている。みっともない」といった場合はどうなるだろう? 裁判官は、庭の雑草同様「入居者が善管注意義務を怠っている」と判断するかもしれない。

一戸建て賃貸では、貸すもの・貸さないものの「峻別」に気配りを

筆者が一戸建て賃貸の住人だったときの話だ。寒い地方にあったその家の庭には、屋外設置用の灯油タンクが1基立っていた。筆者と筆者の家族は、もちろんそれは入居した自分たちが自由に使えるものと、何の疑いもなくそう考えていた。

ところが、オーナーはなんとそのタンクを賃貸借契約の対象には含めていなかった。なぜなら、タンクは壊れていたからだ。数年前からすでに使用不能の状態のため、タンクから伸びている灯油を流すパイプは、途中の見えにくい場所で切断されていた。

しかし、そうとは知らず、わが家では引っ越し早々このタンクにたっぷりと灯油を貯めてしまった。数百リットルがほどなく土の地面にしみ込み、気付いた時には1滴も残らない状態となっていた。そこで、事態を報せると、オーナーは先の話を挙げて「仲介会社が事情を説明しなかったのが悪い」と、言い返してきた。

一方、仲介会社によれば「そもそもタンクが使えないなどという話は、オーナーからひとことも聞いてはいない」とのこと。つまりは、両者言った、言わないの状態に。見苦しい争いに嫌気が差した当方としては、「引っ越し早々ケンカに巻き込まれるのは面倒だからもうよい」ということで、結局、すべての損害を被るかたちとなった。

ここから教訓を掲げよう。建物賃貸借契約書には、通常冒頭に「賃貸借の目的物」を記載する欄がある。ここでの記載が、一戸建て賃貸ではあとで結構重要になってくる可能性があることに、ぜひ気を留めておこう。

車庫、物置、庭の水まわり、その他外構設備、さらにはさきほどの庭や植栽等々……家賃の対象として何が「貸すもの・借りるもの」になっているのかは、ここに明記されている。あるいは、一戸建て賃貸においては特に詳しく明記されるべきなのだ。

そして、それらが当該契約における賃貸借の目的物となっているのならば、それらは当然入居者が使用収益できるものとなる(=これらを利活用し、利益と利便を受けられる)。

一方で、すべてに善管注意義務がかかってくることも、前述したとおりとなるわけだ。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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参考資料

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 
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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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