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ウィズコロナにおける生命保険業界の変化 オンライン相談&申し込みがデフォルトに?

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イメージ/©︎maru123rf・123RF

緊急事態宣言中の「オンライン保険相談」が増加

新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、生活は大きく変わりました。マスクの着用、毎日の検温、アルコール消毒の徹底、ソーシャルディスタンス、オンラインでの飲み会や打ち合わせ、非対面での宅配の受け取りなど、すでに多くの人が「新しい生活様式」を実践しているのではないでしょうか。

保険業界でも、緊急事態宣言が発令されてから変化がありました。保険料の払い込みが困難な場合の猶予期間の設置、契約の更新手続きが困難な場合の柔軟な対応、金利0%の契約者貸付、新型コロナウイルスに感染した場合の入院給付金の支払い……。こういった期間を限定した特別な措置がいくつかありました。

また、営業の現場でも変化が求められることになりました。これまで保険の相談や契約については、保険ショップに行ったり営業職員と会ったりして、説明を受けてから意思決定する人が多かったと思います。生命保険業界のデジタル化は、少し遅れていたといっても過言ではありません。

しかし、緊急事態宣言発令中は外出自粛が要請され、対面での営業は難しくなりました。そこで消費者のニーズが増加したのがオンラインでの相談です。保険ショップ「保険クリニック」では、4月から開始した「オンライン保険相談」が、5月には3倍程度に増加したということです。新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、今後は、生命保険や医療保険を契約したり、更新したりする際も、オンライン相談が当たり前のことになるのでしょうか。もしかしたら、感染症に対応した新しい保険商品も登場するのでしょうか。そこで、これからの生命保険、医療保険の変化と課題について考えていきます。

コロナ後も、消費者はオンラインでの相談や申し込みを希望

はじめに、「保険クリニック」が行った「新型コロナウイルス感染症の拡大による、保険相談チャネル選択動向の調査」というアンケート(【調査方法】サンプル数:男女1400名/年齢:20~65歳/調査方法:Webアンケート/調査期間:2020年5月7日~2020年5月8日)の結果を紹介します。いくつかの質問のうち、まず次の2つの質問に対する回答をチェックしてみましょう。

Q,新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛が続いた場合、どのような手段で保険の相談をしたいですか。(複数回答)

Q,新型コロナウイルス感染症の拡大が収束後、自由に外出できるようになってからは、どのような手段で保険の相談をしたいですか。(複数回答)

外出自粛要請中は、「オンライン面談で相談したい」「メールやチャットで相談したい」「電話で相談したい」といった非対面での相談を希望する回答が多くなっています。そして、収束後になると、「来店して相談員と対面で相談したい」「相談員に訪問してもらって対面で相談したい」といった回答が多くなります。しかし、注目するべきポイントは、非対面の相談を希望する回答が外出自粛要請中と収束後にそれほど差がないことです。

つまり、オンライン相談は、新型コロナウイルス感染症拡大予防のための新しい生活様式としてだけでなく、多くの消費者が以前から求めていた相談の形だったといえるでしょう。さらに、保険の申し込み手続きについての2つの質問に対する回答もチェックしてみましょう。

Q,新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛が続いた場合、どのような手段で保険の申し込み手続きをしたいですか。(複数回答)

Q,新型コロナウイルス感染症の拡大が収束後、自由に外出できるようになってからは、どのような手段で保険の申し込み手続きをしたいですか。(複数回答)

 

これらの質問についても、「インターネットで申し込み手続きしたい」というオンラインを求める回答が、外出自粛要請中、収束後ともに最も多くなっています。新型コロナウイルス感染拡大予防の観点に加え、こういった消費者のニーズに応えるためにも、保険業界でも営業面におけるデジタル化は必須といえるのではないでしょうか。金融庁でも、20年6月25日に「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」を設置し、電子化に向けた取り組みを進めていくことを検討しています。この構成メンバーに生命保険協会も加わっているため、国としての取り組みが決定すれば、生命保険業界のデジタル化は一気に進んでいくはずです。

さらに、大手生命保険会社でもオンラインへの取り組みを進めています。明治安田生命では、スマートフォンアプリで申し込みできるようにしたり、本人確認書類などをカメラで読み取ってオンライン上で送信できる機能を付けたりといった、保険商品の加入手続きをオンラインで行える取り組みを21年4月から進めていくという方針を発表しています。第一生命では、保険商品の提案から加入までをLINEやビデオ会議などを使ったオンラインで完結する体制を20年度中に整えるとしています。このような大手生命保険会社が先陣を切って取り組んでいくことで、営業の現場は早いスピードで変化していくかもしれません。

とはいえ、保険商品は保険料の支払い条件や細かい特約、重要事項など、やはり営業職員などによる説明が必要な部分も多くあります。契約のすべてを「スマホひとつで」といった手軽な感じでできるようになるまでには、もう少し時間がかかるのかもしれません。ちなみに「保険クリニック」では、『保険IQシステム』というサービスを提供しています。これは、加入中の複数の保険商品を並べてデータ化することで、保障内容や保険料の推移などをまとめて比較・確認できるサービスです。相談員の主観に偏ることもなく、相談者に適した保険を分析することができるのです。これからのオンライン相談とも相性がいいサービスといえるでしょう。

未知の感染症をカバーする保険商品は登場する?

医療保険や生命保険の申し込みがオンラインで可能となった場合、課題となるのが消費者の保険商品への理解でしょう。細かな条件も多い保険商品は、契約内容の書類を隅から隅まで読む消費者も少ないでしょうし、たとえ読んだとしても完全に理解することは難しいかもしれません。

すべてを非対面で完結するには、よりシンプルな内容の保険商品が必要になります。しかし、各社がシンプルな商品を提供すれば、差別化が難しくなり、単純に保険料の競争になっていきます。そのため、営業職員の説明が不要なシンプルな商品がメジャーになる可能性は低いかもしれません。また、新型コロナウイルス感染症のような疾病に対応する保険商品が登場するのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、それも実現困難です。なぜなら、未知の感染症はその都度状況が異なると考えられ、すべての感染症をカバーする保障を販売すれば、保険会社のリスクが高くなるからです。そのため、今回のように新型コロナウイルス感染症に感染して、入院ではなくホテルや自宅での療養にも医療保険の給付金が支払われたように、その都度、特例として対応されることになるでしょう。

ちなみに、感染症対策の保険というと、すでに『コロナ助け合い保険』というシンプルな医療保険が登場しています。月々の保険料は、40歳男性なら月額580円で保険期間は1年間。ケガまたは病気により1泊2日以上入院したときに10万円の一時金が支払われるという保険です。新型コロナウイルス感染症により、自宅やホテルなどで医師の治療を受けた際も対象となっています。テレワークが不可能な仕事、接客の多い仕事などで、感染するリスクが高いと考える人は、加入を考えてみてもいいかもしれません。

参考)コロナ助け合い保険

以上が、ウィズコロナにおけるこれからの保険業界の変化と課題についての考察です。

新型コロナウイルス感染症の完全な収束が見通せないなか、新しい生活様式は一時的なものではなく、日常のこととして継続していかなければならないかもしれません。そして、その時々に合った新しい生活様式も作っていかなければならないでしょう。すでに保険に加入している人はもちろん、これから保険を見直そう、保険に加入しようと考えている人も、変化にうまく対応できる保険会社や保険商品を選んでいく必要があるのではないでしょうか。

■取材協力:保険クリニック
1999年に日本で初めて*オープンした保険ショップ。日本の約90%の世帯が加入している生命保険を、視覚的に分かりやすくご説明するために、保険分析・検索システム『保険IQ システム』を独自に開発している。保険商品の検索や比較の機能を追加し、保険の現状把握からお客さまに合わせたプランのご提案まで、全国の『保険クリニック』でお客様にとって適切な保険選びをサポートしている。
*「日本初の来店型乗合保険ショップチェーン※」※店舗数11店舗以上または年商10億円以上をチェーン店と定義 東京商工リサーチ調べ(2018年6月)

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この記事を書いた人

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