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僕と大家さんの関係性は、「今、この時代だからこそ」

賃貸契約の「甲」と「乙」を超えた新しい関係(1/4ページ)

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都会の孤独な青年と 都会の孤独なおばあちゃんの交流、ここにあり

──『大家さんと僕』を読ませていただきました。入居者と大家さんの関係性性って、ちょうどよい距離感を構築することがなかなか難しいと思っているのですが、矢部さんは大家さんと非常によい関係性を築かれています。そもそもなぜ、この『大家さんと僕』という本を描こうと思われたのでしょうか?

僕が住んでいる物件は一軒家なんですけど、2階に僕が住んでいて、大家さんが1階で一人暮らしをされています。すごく距離感が近いんですよ。洗濯物を干してて、雨が降ってきたら電話がかかってきたり、帰ったら「お帰りなさい」と電話がかかってきたり、「いただいたメロン半分いかが?」と声掛けしていただいたりしてすごく距離感が近いんですよ。そんなことを楽屋で話していたら結構面白がられたんですね。住んでいるうちに大家さんとの色々なエピソードがどんどん溜まってきて、誰にも話していないこともいっぱいありました。
ある日、京王プラザホテルで大家さんと食事をした後、お茶をしていたら、偶然、『夜王』『女帝 SUPER QUEEN』の原作者である倉科遼先生にお会いしたんです。もともと面識がありましたのでご挨拶したら、「おばあちゃん孝行だね」と言われ、「いえ、僕が住んでいる物件の大家さんです」と答えたらすごく興味を持っていただき、「都会の孤独な青年と都会の孤独なおばあちゃんの交流、ここにあり」みたいな感じですごく感動されたんです。で、「ぜひ作品化したいから、矢部くんが原案を書いてくれないか?」と言われました。それで「こんな感じでどうでしょうか」と4コマ漫画っぽい感じでお見せしたら、「すごくいい!」と褒めていただいて。ヒットメーカーの先生ですし、そんな方に褒められ、調子に乗って描いちゃったみたいな(笑)。まったく違うタイプの作品を世に出している方ですけども結局は人と人とのつながりというところに興味があるんだなと。それがこの本を描くきっかけになりました。先生も出版に向けて各方面に働きかけてくれました。

──絵も独特で温かみのあるタッチですね。

絵の勉強をしたことはないのですが、マンガはめちゃめちゃ読んでいますし、映画も観ていますので素養としてはあったと思います。みなさんも描こうと思ったらできると思いますよ。最近実体験をエッセイにして、ネットで発表するのも流行っていますし。

──これ以前に大家さんとコミューニケーションをとられた経験は?以前、住まれていた物件では、テレビのロケで部屋を使用し、更新時に拒否されたエピソードが『大家さんと僕』に描かれていましたが。

実はその大家さんも、同じマンションに住んでいるタイプの大家さんだったので、エレベーターでご挨拶したり、普段からよく喋ったりはしていました。でも、今ほど深い感じではなかったですね。

──不動産会社から「大家さんがおばあちゃん」と聞かされたとき、どう思われましたか? 1階に大家さんが住んでいる物件に抵抗はなかったですか?

なにも思いませんでしたし、抵抗もなかったですね。家に対して、あまりこだわりがないのです。すごくいい部屋でしたし、この時は住む家を早く決めなければいけない状況だったのですぐ決めました。大家さんが1階に住んでいるといっても元々二世帯住宅の仕様で設計されていて、外階段を使って部屋に入りますので、プライバシーも確保されています。

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